第308話 いただきます
ミーシャの股間蹴りを耐え抜いた、サムの股間。
だけど女神であるカスミの股間への一撃は、玉殺しのミーシャの一撃よりも強烈だった。
気を失い、玉も潰されかけたサムの股間を、ジンガの回復魔法が救ってくれた。
カスミは、ジンガが自分よりサムの事を慕うのが、我慢できなかった。
「サムー、生きてるかー。」
翌朝、まだ寝ているサムにジンガが呼びかける。
「うーん、」
サムは寝返りをうって、反対方向に頭を向ける。
昨晩、股間に強烈な一撃をくらい、気を失ったサム。
ジンガのかけた回復魔法で、一命をとりとめていた。
「おっきろー!」
サムの生存を喜ぶジンガは、サムの掛け布団を勢いよく剥ぎ取る。
「うーん、あと五分ー。」
サムはジンガの持つ掛け布団を引っ張りながら、うたた寝る。
「ぷ、」
そんなサムを見て、カスミは思わず吹き出す。
この世界にて、こんなに無防備な寝相をさらす間抜けはいない。
しかも相手は、泣く子も殺すと言われる、魔竜族。
カスミにとっては非日常的な光景が、目の前で繰り広げられている。
そんなカスミの気配に、サムはハッとする。
ずきっ!
「う、」
飛び起きるサムだが、股間を走る痛みに思わずしゃがみ込む。
「大丈夫か、サム。」
ジンガは慌てて回復魔法を使う。
「ああ、ありがとな、ジンガ。」
サムも回復魔法を使いながら、カスミをにらむ。
サムは昨晩の事を思い出す。
カスミに股間を潰されかけた事を。
あの玉殺しのミーシャだって殺す気で蹴ってはいるが、殺しはしない。
サムに死なれたら困るからだ。
だけどカスミの股間攻めは、そんな配慮は一切なかった。
文字通りサムを殺しにかかってた。
ジンガが回復魔法を使わなかったら、確実にサムは死んでいた。
「てめぇ、俺を殺してパーティを解消させるつもりだったな。」
サムは股間を押さえながらカスミをにらむ。
「ふん、即刻解散するのなら、パーティを募集する意味がなかろう。」
とカスミもそっぽを向く。
「け、どうだかな。俺を誘っておいての、この仕打ちだ。そもそもなんでおまえがこの部屋に泊まるんだよ。」
サムは基本的に、カスミとは関わりたくない。
だからカスミに対しては欲情しなかった。
だけどこんな仕打ちを受けては、話しは別だ。
問答無用で凌辱したいところだが、股間の痛みがひどくて当分無理そうだ。
「し、仕方なかろう。私はまだこの世界の通貨を持っておらぬのだからな。」
「は?」
カスミの口にした理由に、サムも呆れる。
「そ、それに、」
と言ってカスミは、サムに回復魔法を使ってるジンガを抱き寄せる。
「こんなかわいい子を、おまえとふたりきりには出来んだろ。」
「もう、ふたりとも仲良くしなよ。」
犬猿の仲のふたりを、ジンガが忠告する。
ジンガもひと晩カスミと共にした事で、カスミへの警戒心は薄らいでいた。
「あなたももう少し大きくなれば、私の気持ちも分かるようになるわよ。」
とカスミはジンガの頭をなでる。
「分からないよ。」
ジンガはカスミの腕を払いのける。
「もう行こうよ、サム。やる事いっぱいあるんでしょ。」
ジンガが行動をうながす。
そう、サムにはやる事があった。
あの獅子の穴の首領、エダーマ首領の言われた課題があった。
「そうだな。」
サムはベットから降りると、ジンガと手をつないで、部屋を出る。
階段を降りて、ギルドの広場に出る。
「へーあんた、ふたりも連れ込んでたんだ。」
朝食を用意してたテルアさんが、声をかける。
サムはジンガとカスミ、ふたりの女性を連れている。
「どうするのよ。朝食はあんたの分しか用意してないけど。」
テルアは朝食のお盆をサムに渡す。
このギルドの宿泊料金には、朝食分も含まれていた。
ジンガも物欲しそうに、サムの持つ朝食を見つめてる。
「ああ、こいつの分も頼むよ。」
サムはジンガに視線を向ける。
「別料金になるけれど、いい?」
とテルアさんは確認する。
「それでいいよ。」
「あ、私もお願いしまーす。」
後ろからカスミも声をかける。
「分かったわ。ちょっと待っててね。」
テルアさんはバックヤードに引っ込む。
お盆を持ってイートインスペースの席に着くサム。
その横の席にジンガが座る。カスミはジンガの前の席に座る。
ジンガはサムの朝食をガン見する。
サムはジンガの朝食も来てから食べようと思ってたが、これはジンガに食べさせた方がいいかなと思い始める。
「ジンガ、食べるか。」
「うん。」
ジンガはサムの朝食に手を伸ばす。
ぱし。
サムはジンガの手をはたく。
「まずは、いただきますしてからでしょ。」
「いた、だき?」
ジンガにはサムの言ってる意味が分からない。
サムも、ジンガは人間の食事は初めてなのだから、仕方ないと思い直す。
「ほら、まずは手を合わせて。」
サムは左右の手のひらを体正面で合わせる。
ジンガもマネをする。
「いただきます。」
サムがなんか言ってるのを、ジンガはボケっと見ている。
「ほら、ジンガも言って。いただきます。」
「いただきます。」
ジンガもつられて、いただきますと言う。
そんなふたりのやり取りを、カスミはクスクスと見つめていた。
ども(・ω・)ノ
朝起きた後の、平和な日常。
とっとと次の目的地に行きたいのですが、なぜかこんなノリになりました。
(´・ω・)




