第307話 不平等な契約
カスミとパーティを組むことになったサム。
しかしふたりの冒険者ランクの格差から、サムにとっては不平等な契約だった。
「なにぃ?」
突然キレるヤヤに、サムもビクつく。
ヤヤはダークドリアード。
他人を隷属させる能力を持っていると、サムは理解している。
サムもヤヤに唇を奪われ、その能力の餌食になる所だった。
ターズンドラゴンであるルル姉同様、それなりの実力者でないと、ギルドの受付嬢は務まらない。
「サム。話しを聞きましょう。もう時間も遅いですし。」
とカスミが冷静に諭す。
サムと手をつなぐジンガが、大きなあくびをしている。
「あ、ああ、そうだな。すまない、続けてくれ。」
サムはヤヤに続きの説明を求む。
「ふん、パーティの解散についてだったな。」
ヤヤもキレ気味に中断されたので、少し言葉使いが荒くなる。
「パーティを組んだ以上、パーティの活動実績がないと、解散は認められない。つまり最低でも一度はパーティ専用の依頼を達成しないと、パーティの解散はできない。」
「げ、こいつと依頼受けないとダメなのかよ。」
「ふふ、私の足を引っ張るでないぞ。A級風情が。」
サムとカスミが、各々の不満を述べる。
「他に特例があるのだが、それはパーティメンバーのひとりの死亡が確認されれば、パーティは解消される。」
「ほう、それは良からぬ噂が立ちそうじゃな。」
カスミは口もとを扇で隠しながらニヤける。
「まあ、パーティを組まなくても、同時に依頼を受けることで、パーティ専用の依頼も受けることは出来るしな。」
「じゃあ、パーティを組むメリットはなんだよ。」
「そんなの、メンバーの独占だろ。」
サムの問いに、ヤヤは悪どい表情で答える。
「サム。A級のおまえは、受けられる依頼の範囲が狭まった。S級のカスミのあねさんに、囲われたんだよ。」
「く、そういう事かよ。」
サムも理解する。
A級の自分はS級のカスミに対して、あまりにも不平等な契約である事を。
「はあ、この時間に仕事するとは思わなかったぜ。」
ひと通りの説明を終えたヤヤは、両腕を伸ばしながら、受付カウンターからイートインスペースへ移動する。
そこでは同じ受付嬢のミミが、冒険者数名と酒盛りを始めていた。
「ち、行くか。」
「うん。」
サムは手をつなぐジンガに声をかける。
ジンガは眠たげにうなずく。
そんなジンガの左手を、カスミがにぎっている。
「おい、なんでおまえがジンガの手ぇにぎってんだよ。」
ジンガの右手をにぎるサムは、カスミに文句を言う。
「気にするな。行き先は同じなのだからな。」
「ほう、おまえもこのギルドに泊まるのか。」
カスミもいつのまにか宿泊手続きをしてたらしい。
受付のカウンター脇の階段を昇る。
そして鍵にタグ付きされた番号の部屋の鍵を開ける。
今まで泊まった部屋とは違い、ベットはふたつあった。
俺とジンガって事で、ミミがこの部屋にしてくれたらしい。とサムは理解する。
「なんじゃ、ベットはふたつか。サムは床で寝ることになるのかの。」
なぜかカスミが最初に部屋に入る。
「おい、なんでおまえがこの部屋に入るんだよ。」
サムも思わず怒る。
「硬いこと言うな。同じパーティ仲間だろ。」
カスミはとっととベットに潜り込む。
「てめぇ、何勝手に入ってんだよ。出ろよ!」
サムはカスミの掛け布団を剥ぎ取る。
「きゃ、」
「う、」
カスミのかわいらしい悲鳴に、カスミのナイスバディ。
サムの股間も、思わず反応してしまう。
「けがらわしい!」
どぐぉお!
カスミの空圧魔法が、サムの股間を直撃。
サムは隣りのベットまで吹っ飛ばされると、そのまま気を失った。
「こいつめ。少しはマシになったと思ってたのに、全然変わってなかったな。」
カスミは掛け布団で体を隠しながら、気を失ったサムをにらむ。
「今のは、仕方ないと思うよ。」
ジンガはそう言いながら、サムの股間に回復魔法をかけてやる。
「ちょっとあなた正気?そんなヤツに関わってたら、ろくな事にならないわよ。こっちにいらっしゃい。」
とカスミはジンガを招く。
「嫌よ。」
と言いながらジンガは、サムに布団をかける。
そして振り向きながら、中型犬サイズの雷狼竜に戻る。
「あなたとサムとの間に、何があったのかは知らない。だけどサムを傷つけるのなら、私がサムを守る。」
「ほう、魔竜族ごときが、この私に牙をむくのか。」
カスミはジンガをにらむ。
その視線だけで人を殺せるカスミの目力に、ジンガもすくむ。
「おまえ、私が誰だか分かってるんだろ。」
カスミの問いに、ジンガもゆっくりとうなずく。
「あなたが誰であろうと、サムを殺させはしないよ。」
「ふふふ、」
ジンガの答えに、カスミは目を閉じてニヤける。
びく。
雷狼竜の本能が、襲撃のチャンスを告げる。
しかしジンガの理性が、その場に押し留める。
今襲っても、返り討ちにあうだけだ。
「魔竜族がそこまで慕うなんてね。あなたがイレギュラーなのか、そいつが変わったのか。やっぱり気になるわね。」
表情をやわらげるカスミに、場の緊張感もやわらぐ。
ジンガの緊張の糸が緩むと同時に、ジンガを膨大な疲労感が襲う。
ジンガの意識も遠のき、中型犬サイズの雷狼竜の体が、フルサイズの雷狼竜に戻りかける。
「ジンガ、こっちにいらっしゃい。」
カスミは優しく声をかける。
「あん、たは、サムの、敵。サム、は、私、がまも、る。」
ジンガは眠気をこらえながら、抵抗する。
「今おまえが眠ってしまえば、おまえがサムを押し潰すぞ。」
「なん、だって。」
「それに私は意のままに、サムを殺せる。」
「う、うー、」
「サムを守りたいのなら、こっちに来い。」
「分かっ、た。」
ジンガはカスミの布団に潜り込む。
カスミがひと撫ですると、ジンガは小型犬サイズになって、眠りに落ちた。
ども(・ω・)ノ
いやーほんと、パーティを組み意味って、なんなんすかね。
とりま階級格差でサムには不利って事で、なんかそこもふわっとしていて、よく分かりません。
ジンガもサムに抱っこされてたと思ったのですが、普通に立ってますね。
いつの間に?
ちなみにカスミは下天したばかりで、お金をまだ持ってません。
だからサムの部屋にもぐりこみました。
これ、サム以外とパーティ組んだとしても、同じ行動をとったのでしょうか?
(´・ω・)




