第304話 竜王の腕輪
サムを竜王にするために、素材を集めさせるエダーマ首領。
その目的は何なのか。
サムは他のメンバーが帰ったタイミングで、ルル姉とナナさんに聞いてみる。
「え、えーと、それは、そのー、」
ナナさんの笑顔が引きつる。
「そうね。そこら辺の事は、はぐらかせたままだったわね。」
とルル姉は冷静に返す。
「ちょっと、ルル姉。」
横でナナさんが慌てる。
「サム君には知る権利があるでしょ。」
「そ、そうだけど、ざ、残酷すぎるわよ。」
ナナさんの声に涙が混じる。
「ナナさん。」
ルル姉はナナさんを抱きしめて、背中をさする。
ナナさんが落ち着いたのを見て、ルル姉は語りだす。
「あの人も言ってたけれど、目的はあなたを竜王にする事。そのためにはそれが必要なのよ。」
ルル姉はサムの左腕の降魔の腕輪を指差す。
「これ、ですか。」
サムは降魔の腕輪を見つめる。
「ええ。でもそれは封印されていた竜王の物。あなたを竜王にするためには、あなたのための腕輪が必要になるわ。」
「なるほど。」
ルル姉の説明でサムは理解する。
「その腕輪の素材なんですね。俺が集めてくるのは。」
ルル姉はうなずく。
「その素材を、あなたの魔素で調合するのよ。ドラゴン族の聖地、ラウンドハウンダーでね。」
「ラウンドハウンダー。あのホームって所ですね。」
サムはすぐそこのホームへの方向を指差す。
対してルル姉は首をふる。
「ラウンドハウンダーは、3つあるのよ。調合場所は別の所ね。」
「3つ?」
「ええ、ひとつはドラゴンの里と呼ばれる、竜王の、サム君が封印を解いた竜王が産まれたとされる土地。それともうひとつは、獅子の穴よ。」
「え、獅子の穴?」
ルル姉の説明に、サムはぶったまげる。
「ふふ、ドラゴンを鍛えるには丁度良い場所なのよ。」
とルル姉はニヤける。
「そう、ですか。」
と言ってサムは、降魔の腕輪を見つめる。
「どうしたの、サム君。」
しんみりとしたサムの表情に、ナナさんがたずねる。
「あ、いや。これをくれたおっさんも、あのエダーマ首領も、俺を利用しようとしてるのは、一緒なんだなって思って。」
「サム君、」
ナナさんはサムに言葉をかけるも、なんてかければいいのか分からなかった。
「ふふ、全然違うわよ。」
とルル姉はニヤける。
「あいつはサム君を竜王の依代としか見てなかった。自分の手ごまにしてドラゴン族の頂点に立とうとしていた。」
「うーん、」
ルル姉の主張に、サムは半分くらいしか同意出来なかった。
最初はそんな素振りを見せてたが、以降は良くしてくれた印象がある。
サムがおっさんに対する好印象な言葉をまとめ上げて発現する前に、ルル姉は続ける。
「エダーマ首領は封印された竜王が、もし封印されなかったら。そんな世界を実現させようとしてるのよ。」
「うーん、」
ルル姉の説明も、サムにはふたりの違いが分からない。
どちらも自分を利用しようとしてるのは、一緒。
会話をかわしたラミーロの方が、サムには好感が持てる。
例えサムを利用しようとする、下心しかなかったとしても。
対してルル姉は、かつて獅子の穴という職場を共にしたエダーマ首領に好感を持っていて、ラミーロを毛嫌いしていた。
「まあ、俺がエダーマ首領の言う事を聞かなければ、獅子の穴を敵に回すって事ですよね。」
ラミーロとの違いがいまいち分からなかったサムだが、その事だけは分かった。
「ふふ、伝説のS級冒険者のモモ、槍聖のオミタも敵に回るわね。」
とルル姉はニヤける。
「ひょっとして、ルルさん達も敵に回ります?」
エダーマ首領に好意的なルル姉を見ていると、サムもそんな気がしてくる。
「ふふふ、お声がかかれば、そうなるわね。」
とルル姉も否定はしない。
「ちょっとルル姉。私は嫌よ。」
ナナさんは否定する。
「安心なさい。どっちみちサム君には選択肢は無いんだから。」
とルル姉はニヤける。
「そ、そんなのって、ひどいよ。」
サムの代わりにナナさんが文句を言う。
実際サムがバックレたら、ミーシャの危険が危なくなるし、世間知らずで幼いジンガも、危険にさらされる事になる。
数話前にカスミが、未開の地でスローライフをしてる者も居ると言っていた。
サムがミーシャとジンガを連れて未開の地に逃げても、獅子の穴の追っ手は追いかけてくるだろう。
つまりサムにも守る者が出来てしまった今、エダーマ首領の要求を突っぱねる事は出来ないのだ。
「いいっすよ、ナナさん。」
サムは自分を心配してくれたナナさんに、声をかける。
「俺もこれと言って、やる事なくなったし。」
と言いながらサムは、抱っこした子犬姿のジンガをなでる。
リーナ先生に言われた、オミタと一緒に四天を討て。
だけど復活したリーナ先生本人に、否定されてしまった。
カスミがちらっと口にした、辺境でのスローライフ。
このままジンガとふたりなら、それもいいかもしれない。
だけど獅子の穴の追っ手。ミーシャの存在。
サムには踏み切れないものだった。
「とりあえず今晩は、ここに泊まりますね。」
リバルド学園の結界に拒まれるサムは、学園に戻りたくなかった。
ども(・ω・)ノ
さて、素材を集めさせる目的が、今回の内容になる訳ですが…、
うん、前回書いた時点では、まだ考えてませんでした。
とりま新しく腕輪を作るって事にしました。
そして千尋峡谷の果てにあるホームと言う建物は、出口が三ヶ所のどこかにつながってます。
時間帯で、どこにつながってるのかが変わるって設定でした。
キチンと書いてなかったかもしれませんが。
で、腕輪を作るのはどこかって事ですよね。
って、あれ?
ホームが三つあるって書き方になってません?(・∀・)
うわー、どうすんだよこれ。
完全に事実誤認じゃん。
まあ、うん。
なんとかなるかな。
(´・ω・)




