第301話 ふたつの素材
エダーマ首領の狙いは、サムを竜王にする事だった。
だけど竜王の資質が無ければ、サムの意識は竜王の肩書きに乗っ取られる。
リーナ先生はその役目を本来の竜王にするべく、キイチを探しに旅立った。
「で、どこにあるんだ。スターダストサンドにオリハルコンは。」
リーナ先生に勇気付けられたサムは、エダーマ首領の言う素材集めを決意する。
「ふ、スターダストサンドは千尋峡谷のどこか。オリハルコンはおそらく竜の霊廟だな。」
「なに?」
エダーマ首領の答えに、サムは面くらう。
千尋峡谷と言っても広大だし、竜の霊廟なんて、どこだか知らない。
そもそも千尋峡谷にいたサムだが、スターダストサンドなる物の心当たりはない。
「場所だけ言われても。何か手がかりはないのか。」
戸惑いながらサムは、エダーマ首領にヒントを求める。
「ふ、スターダストサンドは天から落ちてきた隕石の欠片。」
「なに?」
「古代に栄えた騎竜族の文明を、一夜にして滅ぼしたと言われている。」
「あの廃墟は、その騎竜族の物だってのか。」
サムは千尋峡谷の廃墟群を思い出す。
「ああ、騎竜族は別名ドラゴンライダーとも呼ばれていてな、ドラゴンと人間とが共存する文明だったとされている。」
「ドラゴンと人間との共存か。確か竜王が目指した世界も、そんなだったよな。」
「ふ、」
サムの目の届かない所で、カスミは目を閉じてニヤける。
不審に思ったレーラが、検索スキルで騎竜族を調べてみる。
その結果に驚愕する。
「ふふ、そんな跡地が、なんで魔素の濃すぎる空間として隔離されたのか、って事なのだがな。」
とエダーマ首領もサムに聞き取れない声で、ボソりとつぶやく。
「つか、隕石の落ちた跡なんかあったか?」
サムもその千尋峡谷を生き抜いた。
そこにその様な物があるとは、気づかなかった。
「ふ、千尋峡谷の上空から見れば、気づくかもしれないんだがな。」
エダーマ首領はそう言うが、サムも千尋峡谷の空を飛んだが分からない。
「ひょっとして、あれかな。」
とミーシャがつぶやく。
ミーシャは他のドラゴンとのいざこざを避けるため、千尋峡谷の上空から絶えず地上を観察していた。
「心辺りがあるのか。」
とサムがたずねる。
「多分だけど、今思えば不自然な建物があったわ。」
とミーシャは思い出す。
「ミーシャ、案内出来るか。すぐに行こう。」
サムはミーシャを急かす。
「えと、今から?」
逆にミーシャは引き気味。
既に陽は落ちている。
千尋峡谷を漂う魔素のおかげか、真夜中でも薄っすらとだが視界は確保されている。
だからと言って、今から行くのは危険が危ない。
今日は一日、色々な事があった。
サムもミーシャも、既にクタクタだ。
「あ、えと、そうだな。」
サムもミーシャの態度を見て、今からの千尋峡谷の探索は難しい事を悟る。
そんなサムの服のすそを、ジンガがギュッと引っ張る。
ジンガはまだ、モヘルダ樹海の外でひとりになる事が不安だった。
サムはそんなジンガの頭を、そっと撫でる。
「一緒に行くか。」
サムのそのひと言で、ジンガの顔にも笑顔が戻る。
「言っておくが、そいつを千尋峡谷に連れて行く事は出来ないぞ。」
すぐさまエダーマ首領が水をさす。
「なに?」
ビクつくジンガと、カチンとくるサム。
エダーマ首領は説明を続ける。
「あそこは既に、呪われた地。ドラゴンか人間しか入る事は許されない。他の種族が入れば体内の魔素ごと拡散される。」
「マジかよ。それが餌の子羊の正体か。」
千尋峡谷の大気中の魔素の淀みから生まれる、餌の子羊。
その正体にサムが気づく。
「じゃあ、私が人間の姿のままで行けばいいのね。」
ジンガはエダーマ首領の忠告を、前向きにとらえる。
「ふ、雷狼竜で生きる事を捨て、人もどきに成り下がるって言うなら、止めはしないがな。」
とエダーマ首領は目を閉じてニヤける。
「その呪いなら、俺が何とか出来る。」
落ち込むジンガに、サムは励ましの声をかける。
あらゆる状態異常に耐性のあるサム。
そんなサムの血を飲めば、あらゆる状態異常を退ける事が出来る。
「無駄じゃよ。」
横からカスミが入ってくる。
「おまえのやろうとしてる事は、おまえがかかるかもしれない状態異常にしか、効果はないぞ。」
「なん、だと。」
サムはゾッとする。
自分の血が万能薬代わりになる事は、隠してるつもりだった。
ミーシャの呪いを解いた時も、サラッと流して詳しくは話してないつもりだった。
カスミの言ってる事は、自由に千尋峡谷を出入り出来るドラゴン族のサムと、人もどきになるしかない雷狼竜のジンガとでは、違うという事。
サムは千尋峡谷の出入りに、人もどきの呪いにかからない。
だからジンガがかかる人もどきの呪いを、解く事は出来ない。
食堂のお姉さん、テレサさんがかかってた人もどきの呪いとは、違う物だ。
「それにしても、変われば変わるものよのう。」
カスミは扇で口もとを隠しながら、つぶやく。
最初に出会った時は、こちらが女と分かるや、視姦してきやがった。
今はそんな素振りも見せない。
それどころか、この場の女性の信頼を勝ち得て、女性の心配までしている。
カスミの知るサムは、そんなヤツではなかった。
明らかに女性の敵だった。
女神であるカスミは、サムに興味がわいてくる。
ども(・ω・)ノ
なんか唐突に出てきた、素材集め。
で、これ書いたの12月なんですが、まだその素材がどこにあるのか、まだ書けてません。かっこ笑い
そこら辺は、イメージがボヤけて、なんかまとまりません。
千尋峡谷で、ミーシャが反応。
と言ったらあの温泉のある洞窟の前の建物になるのですが、それがどう隕石につながるんでしょうかね。
ちょっと前の四大魔竜は、さくさく書けたんですがね。
ちなみに今現在、ストックは11話あります。
それも1月に書いたヤツで、その先で行き詰まってます。
(´・ω・)
で、今回出てきた騎竜族。
元は雷竜族で予約投稿してましたが、修正入れました。今後修正もれがあるかもしれません。
この雷竜族と言った時、ドラゴンを指すのか人間を指すのか分からなかったので、騎竜族にしました。
それに、雷狼竜とまぎらわしかったよね。
(´・ω・)




