第300話 新たなる竜王
明日はサムと一緒にモヘルダ樹海に行くつもりだったミーシャ。
だけど今日ひとりで行ってきたサムは、既に明日行く目的を、全てこなしていた。
そう、行く意味が無くなってしまったのだ。
「なんだ?そんな素材集めさせて、何がしたいんだ?」
前回エダーマ首領がサムに要求した、オリハルコンとスターダストサンドの回収。
これでどうするのか、サムには疑問だった。
「そうだな。隠しても仕方ないか。」
エダーマ首領は、ちらりとカスミを見る。
「ふむ、これは元々、我らの落ち度。おまえらの行動は見逃すしかあるまい。」
「な、何を言ってるんだ。」
扇で口もとを隠すカスミの言っている意味が、サムには分からない。
ジンガは不安そうに、サムにしがみついてくる。
「ふ、俺のやりたい事は、おまえを間隙の救世主として、新たな竜王にする事。」
「な、何言ってんだ?」
エダーマ首領の発言に、サムは驚く。
「竜王なら復活しただろ。なんで俺が竜王にならないといけないんだ。」
サムの声が震える。
エダーマ首領の発言に、狂気を感じるからだ。
「その竜王がおまえの体を媒介に復活してくれれば、何も問題なかったんだがな。」
「何だと。」
サムは思わず後ずさる。
サムはこれ程までの恐怖を、今まで感じたことがなかった。
いや、この感情を恐怖と言っていいのかも分からない。
「サム?」
そんなサムを、抱きついてるジンガがしっかりと支える。
サムはジンガに勇気づけられ、エダーマ首領に反論する。
「冗談じゃない。なんで俺が竜王なんかにならないといけないんだ。」
「ふ、それはこっちの準備が整う前に、封印を解きやがったからだろ。三百年来の悲願を邪魔されたんだ。おまえにはその責任をとってもらわないとな。」
とエダーマ首領はサムをにらむ。
「し、知るかよ、そんな事。」
サムは何とか反論するも、エダーマ首領の迫力に呑まれ始める。
「はあ、私はこいつを竜王にする事には、反対だ。」
横からリーナ先生が口を挟む。
「こいつにはキイチみたいな、理想が無い。理念が無い。野望がない。こいつを竜王にしたところで、破滅するだけだぞ。」
「それがどうした。俺が欲しいのは、間隙の救世主の器だけだ。」
エダーマ首領はリーナ先生に言い返す。
「なるほど。もっともな意見だな。」
リーナ先生はエダーマ首領の意見に納得する。
エダーマ首領が必要としているのは、竜王の肩書きのみ。
そこにサムの意志など含まれない。
「カスミ様。新たな間隙の救世主の転生は可能ですか。」
リーナ先生は、話しをカスミにふる。
「ふむ、それは不可能じゃな。元来間隙の救世主とやらは、イレギュラーな存在。狙って出来るものではない。それに私が転生に関われるのは十年に一度。あと九年は待ってくれ。」
カスミは扇で口もとを隠して答える。
「ふ、九年もあったら、魔王も覚醒してますな。アキーラも勇者を特定して、確実に仕留めに来ますな。」
とエダーマ首領は応じる。
「はあ、そういう事か。」
リーナ先生は軽くため息をつく。
アキーラの暴走を止めるため、新たな竜王の力を必要としているのだ。
「すまぬな、サム。キイチの復活を急がせてしまって。」
「な、何言ってんだ。先生は誰も死なせたくなかっただけだろ。竜王の事も、あのおっさんも。」
サムはリーナ先生が封印を解かせた理由を、復活した竜王から聞いている。
それがリーナ先生を救う方法だと思ってたサムは、落胆したものだった。
「あの時私は、キイチの、竜王の魔素を吸い尽くす所だった。だからおまえに封印の解除を急がせたのだ。」
とリーナ先生は当時を振り返る。
「サム。竜王になる気がないなら、飛び去ったキイチを探せ。キイチにエダーマ殿が欲するアイテムを渡せば、おまえは死なずにすむ。」
「ふ、俺はサムに竜王になってほしいのですぞ。いずこに飛び去った竜王を探す暇などないぞ。」
とエダーマ首領が圧をかける。
「ならば私がキイチを探そう。サムが素材を集め終わる前に。」
リーナ先生がエダーマ首領に圧をかけ返す。
「ふ、オミタはどうするんだ。このギルドに来させるんだろ。」
とエダーマ首領はニヤける。
「オミタが訪ねて来たら、私に連絡をよこせ。出来るだろ。」
リーナ先生はギルドの受付嬢であるナナさんとルル姉に声をかける。
「はい。」
ルル姉は目を閉じて頭を下げる。
「任せて、リズちゃん。」
ナナさんはにっこり微笑んで、軽く手をふる。
リーナ先生はふたりに対してニヤけると、カスミの前にひざまずく。
「カスミ様。度重なる勝手な振る舞い、お許しください。」
「何を言っておる。そなたは本来の四天の働きをこなしてるに過ぎぬ。」
「ありがたきお言葉。」
「だが、過度な干渉は、控えろよ。」
「承知しております。」
「ふ、どうだかな。」
カスミは小声でつぶやく。
ひざまずいていたリーナ先生は、スッと立ち上がる。
「サムよ、エダーマ殿に言われた素材集め。急げよ。ちょっとでも遅らせたら、エダーマ殿は私がキイチを探し出すのを、待ってはくれない。」
「ふ、」
リーナ先生の言葉に、エダーマ首領はニヤける。分かってるじゃねーかと。
「はい、リーナ先生。」
サムはリーナ先生の言葉にジーンとくる。
おまえの先生ではないと言ってるが、自分を心配して動いてくれるのは、サムにとってはやはり、尊敬するリーナ先生だった。
「じゃあ、私は行く。」
リーナ先生の足元に、魔法陣が広がる。
リーナ先生の使う転送魔法の魔法陣だ。
リーナ先生はどこかに転送された。
ども(・ω・)ノ
ひょんな事から復活しちゃったリーナ先生が、あっけなく退場しちゃいました。かっこ笑い
まあ以前にも書きましたが、その場の流れで復活させたから、この先の使い道がなかったんすよね
とりまエダーマ首領がやろうとしてるのは、竜王キイチが封印されなかったら、竜王によってもたらされてた世界を再現する事。で行こうかと思ってます。
これまた抽象的すぎて、よく分かってませんが。
それにしても、こいつらの立ち位置が分からないっすね。
一応応接室っぽい所で、ソファーとテーブルがあると思うのですが、それらを配置した時、こいつらはどこに立ってるんでしょか。
なんかソファーもテーブルも、消えてるっぽいですよね。
(´・ω・)




