第299話 魔竜の宝玉
ミーシャの持つ偽装されたギルドカード。
これを持つ限り、ミーシャの本名がミシェリアである事は、転生者の鑑定スキルでも見抜けない。
一部の例外を除いて。
元はラミーロが竜王復活の切り札として、ミーシャを利用するつもりだった。
だからミシェリアとバレる訳にはいかず、高度な偽装技術をほどこす結果になった。
「つまりミーシャは、居場所を失っていないって事か。あのリバルド学園に。」
とサムは前回の内容をまとめる。
「え、でも、元から知ってる近衛騎士団のヤツもいるから、」
とミーシャは言葉を濁す。
「どうやらそいつらは、今回の派遣にはいないみたいだよ。」
とレーラが太鼓判を押す。
「え、じゃあ。」
ミーシャの瞳に涙がたまる。
「良かったな、ミーシャ。」
「うん。」
「で、あなたはどうするんです、リーナ先生。」
サムは今度はリーナ先生に話しをふる。
「ふ、さっきも言っただろ。あそこはすでに、私の居場所ではないと。」
「あなたを訪ねに、オミタが来ますよ。数日中に。」
サムは念をおす。
リーナ先生がいない学園には、サムも通う意味を見出せない。
ただだらだらと、ミーシャとの学園生活を楽しむだけで、何の学びもない時間を過ごす事になる。
そんな張り合いのない学園生活は、今のサムは望んでいない。
「ああ、あいつからはカノアの槍を取り返さなくちゃならんのか。」
リーナ先生は気だるそうにエダーマ首領に視線を向ける。
「なあ、オミタと連絡取れるだろ。リバルド学園じゃなくて、このギルドに来るよう、伝えてくれ。」
「それくらいお安い御用だが、」
とエダーマ首領は閉じてた目を開く。
「そろそろ本題に入ってくれるかな。」
とミーシャをにらむ。
「は、はい。」
ミーシャもエダーマ首領の眼力には、従うしかなかった。
元はミーシャが明日モヘルダ樹海に行く事で話しを進めてたが、オミタは既にいないので、行く必要がなくなった。
そこから話しがそれ、リーナ先生の復活につながり、更に話しは遠ざかる。
「そういや、モヘルダ樹海で何をさせるつもりだったんだ。」
サムはミーシャに圧力をかけるエダーマ首領にムッとしながら、ミーシャに問う。
「そ、それは、魔竜の宝玉の回収よ。」
「は?」
ミーシャの答えに、サムは間抜け面をさらす。
それなら既に持ってるから、モヘルダ樹海に行く意味は、やっぱり無いままだ。
「魔竜の宝玉はね、モヘルダ樹海に住まう魔竜族の体内に秘められていてね、一度討伐する必要があるのよ。」
ミーシャはサムが知らない前提で、その説明をする。
「あー、悪い悪い。それなら既に持ってるんだよな。」
サムは降魔の腕輪から、恐食竜の魔竜の宝玉を取り出す。
「えーと、」
ミーシャは少し混乱する。
サムの強さを持ってしても、魔竜族相手に戦えるとは思ってなかった。
「ひとつじゃ足りないか?」
サムは爆拳竜と暴角竜の魔竜の宝玉も取り出す。
「え、え、?」
ミーシャは完全に言葉を失う。
「はっはっは。さすがだな。どうやったのかは知らんが、四大魔竜のうち三魔竜を倒してきたのか。」
エダーマ首領は笑い飛ばす。
「ふむ、あとは雷狼竜の宝玉で、コンプリートじゃな。」
カスミも扇で口もとを隠してニヤける。
「もっとも雷狼竜の宝玉なら、そこにあるのじゃがな。」
カスミはジンガに視線を向ける。
サムに抱きついたままのジンガは、ビクッと震える。
「てめぇ、ジンガを倒せってのか。」
サムはカスミをにらむ。
「そうは言っておらん。私なら腹をかっさばかなくても、抜き取れるって事じゃよ。」
手刀を立てるカスミに、ジンガは怯える。
「おい、魔竜の宝玉って、魔竜族にとって何なんだ。」
サムは目の前のカスミに問う。
爆拳竜のラディスは、結石の様な物と言っていた。
だけどジンガのこの怯え様。ただの結石ではなさそうだ。
それに暴角竜の茶髪ギャルは、自分を助けろと魔竜の宝玉を差し出した。
これは四大魔竜にとって、何か重要な物である事は間違いない。
「そんなの、魔素が蓄積して出来た結石にすぎん。もっともそやつにとっては、人間への変化の拠り所になってるみたいだがの。」
その答えに、サムはジンガをギュッと抱きしめる。
「てめぇ、ジンガから宝玉を奪ったら、ジンガがジンガでは無くなるって事じゃねえかよ。」
「ふふ、雷狼竜の身を心配するとはの。」
「なに?」
「いずれにせよ、そやつが人間への変化に慣れれば、不要の物となる。もっとも普通の雷狼竜にとっては、最初から不要なのだがの。」
「ち、」
サムは舌打ちすると、視線をエダーマ首領に向ける。
「なあ、魔竜の宝玉は、この3つじゃ足りないのか。雷狼竜も狩ってこないとダメなんか。」
「いや、魔竜の宝玉はひとつで事足りる。」
エダーマ首領の答えに、ジンガは安堵する。
「あとは、オリハルコンとスターダストサンドの回収だな。」
「なに?」
エダーマ首領は、追加の素材を要求する。
ども(・ω・)ノ
数話前、ミーシャが明日モヘルダ樹海に行ったらやるべき事を説明しようとしたけれど、そのまま横道にそれちゃいました。
今回やっと、強引に軌道修正しました。
まあ、それもすぐにそれちゃいましたが。かっこ笑い
オミタも元獅子の穴の卒業生って事で、獅子の穴の首領であるエダーマ首領には、連絡手段があるって事です。
で、このオミタなんですが、やっぱりドラゴンなんですかね。
獅子の穴にいて、龍神騎の槍を使える。
この時点で普通にドラゴンなんですが、人間という線では行けないっすかね。
その場合、人もどきになるのかな。(´・ω・)
あ、魔竜の宝玉があるなら、魔獣の宝玉、ドラゴンの宝玉もあるんすかね。
そこまで考えてませんでした。
(´・ω・)




