少女キーセラ、次なる試練
「隔日更新と言ったな、アレは嘘だ」
冗談です、遅れて申し訳ありません。
出国の準備に思ったより時間を取られてしまいました。
今回短いですが、また明日投稿するのでお許しください。
八月の間に再度投稿がブレても、エタることは決して無いです。
是非ご安心を。
前回までのあらすじ!
方々に迷惑を掛けて遂に簡易裁判の開廷にこぎつけた二人!
やたらと自信満々なカサギの態度に、どんな奇策があるのかと固唾を飲んで見守るキーセラだったが、被告マナシィにあっけなく敗訴してしまう!
しかしカサギの狙いは元よりそこではなかった!
裁判の弁護人として呼び出したヒッツミハットコを兵士に差し出し、容疑が晴れるまでの勾留期間、彼女の財産をビリー一家再生の一助にしようと言うのだ!
圧巻のゲスっぷりだが、その策謀はまだまだ全容の一部でしかないようで、新たなる被害者は果たして誰になるのか……乞うご期待!
以上!
簡易裁判所からの帰り道。
鬼気迫る様子で「原告団の住所を教えて欲しいのですぅ。ぶっ殺……意見を聞いておきたいので~」と見上げてくるマナシィをいなすのに結構な時間を取られたが、さしあたっての用事を終えたことでキーセラの足取りは軽い……訳がない。
キーセラが今背負っているのは『家に押しかけて署名と弁護依頼金を巻き上げた挙句、肝心の裁判には負け、更には仲間まで売り払った男』だ。
それはそれは重い荷物、16の少女の背には過積載も良い所だろう。
しかも裁判のあとついでとばかりに行われた、記者――マナシィ、プエリーシアを経て呼び出された男――とカサギの会話。
例によってキーセラは会話に混じることを禁じられて遠くに追いやられていた訳だが……別れ際に二人の叫び声が漏れ聞こえた。
内容はこうだ。
「記事に必要なのは!」
「納得と共感です!」
「後回しにすべきは!」
「情報の確かさです!」
「完全で堅苦しいデータより!」
「不完全で面白いストーリー!」
「よォーし! それでこそ『毎日マジカル新聞』の社員っつーもんだぜ!」
「イエッサー!」
「敬礼はいいからとっととプエリーシアと打ち合わせに行ってくるんだよォォッ!」
「はい!」
「ふぅ……金に困ってるヤツはことごとく扱いやすくて助かるぜ」
不安になって当然だろう。
何やらビリー家宛ての言付けもその男に頼んでいたようだし、疑念は増々深まるばかりである。
しかしこれだけ怪しかろうと「まぁ、カサギなら悪いようにはしない……はず」と考えているキーセラ、最早そうあって欲しいと言う祈りに近い感情だけを頼りに日の暮れた王領都市を歩いていく彼女はまだ知らない。
ここからひと月足らずで、今回の旅を決定的に変えてしまう出来事が起きるだなんて、知りようがないのだ。
それはキーセラの背で眠るカサギと同様、天運を司る神や二人の後を付ける怪しい影でさえ知り得ぬこと。
少年少女が明るい大通りを離れて教会への暗い道に消えていく姿は、何だか未来に待ち受ける想像だにしない試練を暗示しているようであった――。




