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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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一人での散歩は楽しいものなのか否か

 美味しいつけ麺があると聞いたので、日曜日のお昼に大船に行くことにした。

 普段は大船に行く機会は少ない。

 職場は逆方向の東戸塚だし、戸塚には図書館も大きなショッピングモールもあるので、いちいち大船まで行く必要もないからである。

 最後に行ったのは仕事帰りにアジの押し寿司を購入した時、以来だろうか。

 今日も買って帰ろう。


 大船という街は非常に面白い。


 あたしが住んでいる自宅からはバスで行くことができる。

 戸塚までバスで出てから東海道線か横須賀線で一駅だけ電車に乗っていくこともできる。

 アクセスは非常にいい街なのだが、言うほど都会ではない。


 大船駅の半分は横浜市栄区笠間町(かさまちょう)であり、あとの半分は鎌倉市になる。

 駅の真ん中で市町村の境目があるというのが、まずは面白い。

 西口には大きな観音像があり、柏尾川がゆうゆうと流れている。そこから少し歩くとすぐに藤沢市に入ることができる。地理的には横浜市、鎌倉市、藤沢市の三つの市の境目に位置する場所、それが大船なのである。藤沢の少し手前には『フラワーセンター』という施設があり、四季折々の花が楽しめる。


 今日は行く予定はないが、ごくたまにではあるがあたしは、ここに一人で花を見に来ている。

 安価な入園料のみで静かに花を鑑賞しながら一人の時間を楽しむことができるというのは本当に貴重である。最近では何かと騒がしい場所が多い。おひとり様には少し耳に騒がしい場所が多すぎるのだ。そこを行くとフワラーセンターは植物園という施設の特性上、一人で楽しむのは持ってこいだと思っている。

 秋も深まってきたことだし、秋桜(こすもす)でも見に行きたいものだ。


 人気のあるお店はランチの時間には混みあう。


 休日のお昼ご飯ぐらいゆっくり食べたいので混みあう時間は避けることにした。

 あたしは13時ごろに家を出て、大船には13時半ぐらいにつけるように出発した。


 空を見上げると雲一つない秋晴れの空だ。

 空が高く、たまに吹く風はすでに気持ちいいのを通り越して少し肌寒い。

 バス停で待っていると、バスがやってくる。

 お金を払ってバスに乗ると、休日の昼間ということもあって乗車している人もまばらだ。

 真夏にはあれほど強くかかっていた冷房も今ではゆるくしかかかっていない。


 ああ。もう秋なんだなあ……


 そんな当たり前のことを心の中でつぶやきながらバスの車窓を眺める。

 ゆったりとした時間があたしの周りに流れる。

 不思議な感覚である。

 休みの日の乗り物は、どうしてこう平日とは違うのだろうか。

 気持ちの問題であることは十分に理解しているつもりなのだが、このゆったりとした感覚は、平日の喧騒で疲れ切ったあたしの気持ちを少しだけ癒してくれるような気がする。


 思わず欠伸が出る。


 やはり疲れがたまっているのかもしれない。

 なんだかいろいろやらなければいけないことがあったような気がしないでもないのだけど、今のところ思い出さずに忘れておくことにする。


 大船の駅に着くと人が多かった。

 平日に来ても比較的人の多い街ではある。

 戸塚とは違い、なんとなしにごみごみしていないような気がするのはあたしだけだろうか。


 今日は東口の仲通商店街を通って、鎌倉側を歩く。

 商店街の出口付近まで歩くとそこには野菜がやたら安い市場があり、安くて質のいい野菜を目当てに多くの人がやってくる。あたしは実家の母から野菜が届くし、うちの近所のスーパーがこちらも負けないぐらい質が良くて安い野菜を売っているのでここで購入したことはないのだけど、お店をのぞいたことはあるが、確かに安いし野菜も美味しそうだ。


 この安い市場のある位置より少しだけ駅よりの場所に、あたしが聞いた美味しいつけ麺屋があった。

『ここかな?』

 あたしはもごもごと小さな声で呟きながら、お店の前に立った。

 ラーメン屋とは思えないようなお洒落な雰囲気のお店である。

 入口付近に発券機があるので、あたしはつけ麺を頼むことにした。

『チャーシュー丼……う――ん……』

 以前にも話したけどあたしはチャーシュー丼には目がない。

 でもつけ麺とチャーシュー丼を食べる自信はない。


 う――ん。

 コツコツと発券機を叩いてから、ふと我に返り自分の悪癖をあたしは自覚した。


 うん。

 やめとこう。

 食べきれなかったらお店にも失礼だし。

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