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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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顔は似ていても性格は真逆になってしまうのか否か

 昨日の飲み会はどうにもぼんやりとした会だった。

 まあ結局のところ、飲み会を開催して松沢さんは石岡くんと話してみるという結論に至った。

 あたしから言わせれば『今更?』という話なのだが、もうのりのりで姉が勧めるものだから松沢さんもその気になってしまったわけだ。


 てゆうか……どうするのかな?


 あたしの代わりに姉が出席するという話。

 まあ、別にどうでもいい。

 好きにしてくれという感じなのだが、姉のあのキャラクターを石岡くんに知られるのは少々都合が悪い。

 というのも、姉は二階堂咲菜として飲み会に出席するのだから、姉のキャラクターのまま話をすれば明らかにおかしいし、おかしいと思ってくれれば構わないが……万が一、石岡くんが『二階堂さんは狂ったんじゃなかろうか?』などと思ってしまったら嫌だ。


 う――ん。

 もちろん、そうなったらそうなったで誤解を解けばいいだけの話なのだが……


 なんだろ?

 そんな遊びのようなイベントで真剣な話をして最終的にネタばらしをするというような形を彼は喜ぶだろうか?

 怒りはしないだろうけど……。


 これはこれ。

 それはそれ。

 けじめをつけて真剣な話は二人きりでした方がいいような気がする。


 朝からこんなどうでもいいようなことを考えながらもあたしは顔を洗った。

 壁にかかったアナログの時計は6時を指している。

 低血圧のあたしには少々辛い時間だが、今日から土日の二日間と月曜日に有給をとって実家に帰るのだから早起きも仕方ない。

 バイクの免許が取得できていれば、バイクを使いフェリーで帰ろうかなどと夢もふくらむが、残念なことにまだ免許はとれていない。


 ちょっとぼんやりした寝起きの頭を無理やり覚ませ、身支度を整える。

 姉との約束通りあたしは実家に帰る。秋ナスの収穫の手伝いをするのだ。

 母は姉にしか言っていないのであたしは呼ばれていないのだが、手伝うと言っているのだからいきなり行っても感謝はするだろうけど怒ることはないだろう。


 実はあたしは身体を動かすのが嫌いな癖に畑仕事に関しては苦にならない。

 そりゃ、毎日やれと言われたらちょっと嫌だけど収穫時期の手伝いは本当に楽しい。

 雨が降っててびしょびしょになりながらでも、日差しがきつくて汗がダラダラと流れても、全く構わない。つやつやに光り丸々と大きくなった野菜を目にすると何か宝物でも見つけたような気分になるのだ。

 大きく育った野菜を収穫する作業はちょっとしたイベントのようだ。

 それに形が悪いものは出荷できないからお土産でくれたりとか晩御飯に出てきたりとかするのでそういうのも楽しみの一つだ。


 大分は麦焼酎が有名で、収穫したての野菜と一緒に癖のない麦焼酎を飲めると思うとそれはそれでワクワクする。


 そんなわけであたしにとって実家の農家の手伝いは苦痛というよりは楽しみという意味合いの方が強い。姉からすると『おかしい』そうなのだが、あたしからすると姉がなんでそんなに実家に帰りたがらないのかがよく分からない。


 こうやって考えるとおかしな話である。

 松沢さんの恋の話に付き合うのはあたしにとっては苦手な話なのだが、当初は嫌がっていたものの、姉にとっては楽しくて仕方ないらしい。

 逆に実家の農家の手伝いは姉にとっては苦手な話だがあたしにとっては楽しくて仕方ない話だ。

 双子の姉妹で顔もまったく同じなのにこうも性格が真逆なのはちょっと面白い。


 あたしは一人で少し苦笑した。

 そして準備を終えたので荷物を持ってそっと玄関を開けた。


 普段からお隣には迷惑をかけているので早朝に出かけるときはなるべく音をたてないように出ることにしている。

次話につづきます……

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