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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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日曜日は昼間の時間を楽しむべきなのか否か

 日曜日なんてものはあっという間に時間が経って終わってしまう。


 土曜日に『やっと休みになった』と小躍りして、解放感から好きなことをしても、日曜日の朝には少し憂鬱(ゆううつ)な気持ちになっていることが多い。日曜日が終わるのが嫌なのは別に仕事が嫌だからというわけではない。


 あたしは昼間の時間がとても好きだ。

 

 でも平日は昼間はどうしても仕事に行ってしまい、昼間のゆったりとした時間を楽しめない。

 土曜日は何かと忙しくゆったりする時間もないのであっという間に終わる。

 そして日曜日。

 

 その……ゆったりとした日中の時間が大好きなのだ。


 だから夕方になるとちょっと憂鬱(ゆううつ)

 もうこのゆったりとした時間を楽しむことは来週までないのか……そう思うと真剣に月曜日も有給をとろうかどうか悩んでしまうぐらいである。


 ああ。

 もちろんそんなことはしないのだけど。


 大抵、季節は昼間に感じることができる。

 気持ちのいい季節の風を感じることができるのは昼間なのだ。

 平日に昼間の時間を楽しめないというのは何かを大きく奪われているような気がする。気が付けば仕事のために本当に大事なものを奪われているのではないだろうか。

 あたしのような一般職の事務員なら、土日祝日は確実に休みになることが多いが、他の職業ではそうもいかない場合も少なくないらしい。折からの不景気でたいした給料も見込めないのに休みまで少なくなっているのは、何か大きな黒い組織の陰謀か何かだと思う時がある。


 日曜日は大抵、ダラダラして……気が付けば夕方ということが多い。


 溜まっている洗濯物を片付けて、常備菜をたくさん作り置きしておき、ベランダのマリーゴールドに水をやる。部屋を掃除して……一息。

 時計を見るとお昼を過ぎて13時頃になっている。

 お昼ご飯は面倒なのでたくさんつくった常備菜を少しずつ食べて終わりにする。

 食器を片付けて、大体14時頃。

 30分ほど昼寝をしてから、読みかけの小説を読む。FMラジオからはお洒落な洋楽が流れ、DJがいい声で何かを話している。窓を開け放していると、良い風が部屋を通り、気持ちのいい夏の香りがする。

 これがたまらなくいい。


『海に行きたい』


 姉からの訳の分からないメールは無視する。

 最近電話に出ないものだからメールしてくるようになった。もう本当に勘弁してもらいたい。

 もう言いたいことがあるんだったらツイッターでもなんでも一人でつぶやいていればいいではないか。あたしを巻き添えにするのは辞めてくれないかな。


 それに海に行きたいってなんだ?

 海に行ったら何かいいことでもあるのか?

 大体、あんた。泳げないじゃないか。いや、あたしもだけど。

 そんなあたしたち姉妹が海に行っても何一ついいことなどありはしない。

 暑くて仕方ないだけだ。それに日焼けするし。

 大体……夏の海水浴シーズンの海に行こうものなら人混みがすごい。


 それだったら家でのんびりベッドに横になって読書している方が楽しいに決まってる。


 読みかけの小説は案外すぐに読めてしまった。

 こうなると図書館に行こうかどうしようか悩むところである。


 元来、あたしは出不精なところがある。

 特に用事がなければ家から出ないこともある。

 ただ……家からでなければならない用事が日常生活の中で多すぎるので仕方なく外出しているのである。


 自宅にいても特に問題なく過ごせるなら、あたしは外出しないかもしれない。


 ところが先日……

 外出しないというのはあまり身体に良くないという話をお隣の春海ちゃんから聞いた。


 介護の仕事をしている彼女はその手の話にやたら詳しい。

 なんでも……高齢になると億劫(おっくう)になって外に出たがらなくなるからますます筋力が衰えて、歩くこともままならなくなるそうだ。そして日光に当たらないと骨が生成されないので骨折しやすくなるらしい。


 そんなことを考えているとやっぱり外出した方がいいように思えてきたので、あたしは図書館に行くことにした。まあ、週中に読む本がないのは苦痛だし、ちょうどいいかもしれない。


 空を見上げると、くっきりとした青い空に入道雲がもくもくと、その存在感を示している。

 夕立ちがくるかもしれない。

 傘を持っていこうかな。


 大きなショルダーバックに小さな赤い折り畳みの傘を入れてあたしは家を出た。

 日曜日の昼間は不思議だ。憂鬱(ゆううつ)な気分と楽しい気分が同居している。


 少し西に傾いた太陽の光を浴びながら、少し湿気を含んだ風に吹かれて歩く。


 いい日曜日だなあ……。

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