表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/201

箱根駅伝は面白いのか否か

 夜、家に帰ってきて、家事を済ませ、入浴を済ませ、夕飯を済ませ……それなりに楽な恰好になり、なんとなくテレビをつけるという、ちょっといつもの生活ではやらないことをやってみた。


 あたしは基本的にテレビは見ないことが多い。

 ドラマは見るけど、なんとなくテレビをつけることはしない。明確に見たいものがない場合はテレビはつけない。テレビをつけている時間よりもラジオを付けている時間の方が長く、くつろげる時間帯は基本的には読書をしていることが多い。


 だから今晩のようになんとなくテレビをつけるということは、あたしにとっては実に新鮮な出来事だった。別に意識してそうしたわけではない。

 なんとなくやってみただけだ。

 ただ……なんとなく……


 テレビではスポーツの特集がやっていた。


 身体を動かすことが苦手なあたしは基本的にスポーツに関心がない。

 人と競い合うことが苦手なのだ。

 なんでもそうだが、自分の中での目標を達成することに大きな喜びを感じることが、好きなことを継続するモチベーションになるのに、人と比較してしまっては自分のダメさ加減ばかりに目が行ってしまい、やる気をうしなってしまう。同時に、競うことばかり考えてしまうと、他人に勝てる自分の得意なものにしかチャレンジしなくなる。


 好きという気持ちは他人と比べるものでない。


 何においても……競うべき相手は他人ではなく自分自身なのである。

 ……にもかかわらず、スポーツというのはとにかく他人と競うことを美徳とする。


 まあ、それはそれで高いレベルで楽しめる人間には面白いのだろうけど、あたしのような運動神経を生まれた時にどこかになくしてしまったような人間からすると、何が楽しいのかさっぱり理解ができない。


 なんとなくつけたテレビでやっていた特集は『箱根駅伝』だった。


 基本的にはスポーツには関心がないあたしでも箱根駅伝はいつも感動しながら見ている。

 人と競い合うことはあまり好きではなく、競うべきは他人ではなく自分自身である……などと偉そうなことを言っているあたしだが、チームスポーツはいいなと思う時がある。

 一人の失敗をみんなでカバーし、勝利に向かって力を合わせる姿は素晴らしい。

 個人競技は自分の能力が相手より劣れば勝てない。

 しかし団体競技は自分の能力は低くとも、みんなで力を合わせ、作戦を練り上げることによって、力が劣るものでも勝てる可能性があるからだ。


 箱根駅伝で衝撃的だったのは往路の小田原中継所で7位の襷を受けた1年生が、山登りの5区でごぼう抜きして往路優勝をした時のことである。

 あの時はテレビにかじりついて夢中になって見た。

 こんなあたしでも影響されてちょっと走ってようかなと思ったぐらいである。


 走るという行為はスポーツの原点なのだろう。

 そして駅伝はチームスポーツの原点なのかもしれない。


 何のために走るのか?


 前を走っていたランナーのために……

 次を走るランナーのために……

 給水をしてくれる仲間のために……

 エントリーされなかった仲間のために……

 監督のために……

 沿道を埋め尽くすファンのために……


 そしてチームのために……自分のために走るのだ。


 復路では下位のチームが1位と20分離されてしまうと繰り上げスタートとなり、襷がつながらない。

 泣きじゃくりながらうずくまるランナー。


 彼らはチームの襷を、箱根を経由し、大手町に返すために走る。


 何かの物語のようだ。

 だけどどんな物語よりも感動する。


 そうか。

 何のために走るか……か。

 あたしが走るとすれば自分のためだろうか……そういやまた最近太ってきたような気がする。

 ぼーーっとテレビをみながらあたしは思った。

 

 ちょっとは箱根のランナーを見習って、さぼっているジョギングを再開してみようか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ