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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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43/201

ゲームは楽しいのか否か

 隣の二階堂さんには変な癖がある。

 考え事をして煮詰まってくると部屋の壁を叩くのだ。

 最初はびっくりしたけど、変な癖だと知ってからは何も怖くはない。

 最近では彼女が何かに煮詰まってきている時にはお茶に誘って話を聞くことをあたしも夕凪(ゆうな)も楽しみにしている。


 どん!


 今夜も壁を叩く音がする。

 4歳になった夕凪(ゆうな)はあたしを見る。

『いつもと違うね』

 確かにいつもの音とは違うようだ。

 まあ……そんな日もあるのだろう。

 あたしは夕凪(ゆうな)に言った。

『お姉ちゃん、呼んできてくれる? お部屋でお茶でもしましょうって』



―――――――――――



 休み時間にスマートフォンをいじる人が多くなったように見えたので何をやっているのだろうと思ってみていたらゲームだった。別にゲーム自体はそんなに悪いものではないのだが、スマートフォンに入れてまでやりたいものなのだろうかとちょっと思った。


 夕方……自宅に帰ってきて、少し用事を済ませてからベッドで横になる。

 そこであたしがすることと言えば読書である。

 最近では電子書籍も出ているので非常に便利だ。何が便利かと言えば紙の本と違ってかさばらない。

 読んだ本を片付けるのにひと手間かかるのが今一つなのである。

 それで最近では電子書籍か、もしくは図書館を利用することにしている


 スマートフォンの利用の仕方は人それぞれだろう。


 やれやれ。

 便利な世の中になったものだ。

 これ一つ持っていけば、カメラとしても、財布としても、手帳としても使える。

 どこまで使いこなすかは個々によって違うのだろうけど、ゲーム云々関係なくスマートフォンを眺める時間が長くなるのは分かるような気がする。


 そんなことを考えていたらスマートフォンの着信音がした。

 着信画面を見ると『二階堂麗奈』となっている。


『はああああ』

 盛大なため息をついてあたしは電話に出る。

『もしもし』

『もしもし、なんで電話に出てくれないの?』

 いや……だから平日の日中にかけて出れるわけがないではないか。この姉には常識というものが存在しないのだろうか。

『てゆうかさ。逆にどうして平日の昼間にかけてこれるわけ?』

『ふふふ。秘密』

 なんかむかつく。

 たいした秘密などないくせに。

 どうせ仕事がシフト制で平日に休みの時もあるからに決まってる。

『で……何? 用事がないなら切るよ』

『冷たくしないで――』

 問答無用で電話を切りたくなる衝動をこらえてあたしは『何?』とだけ答えた。

『ミズキ様がね、最近冷たいの』

 ミズキ様?

 ああ……なるほど。

『それはお姉ちゃん、良い解決策があるよ』

『何? 何? まさかあんたからそんな耳寄りな情報が得られるとは!』

 ダメ元で電話するなら他を当たってほしい……。

 ただ……あたしのこの情報は完璧である。


『たくさん課金してあげたらいいんだよ』


 姉が絶句している隙にあたしはソッコーで電話を切り、『おやすみモード』にする。

 あたしがゲームをしないのはゲームと現実との区別がつかないこういう姉がいるからだ。『ミズキ様』とか言ってたが間違いなくあれは最近姉がはまっている乙女ゲームのキャラの一人に違いない。

 そもそも現実の彼氏を『――様』とは呼ばないだろう。

 まったくもって軽薄なことこの上ない。


 考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。


 今日はやらかしていないと思うのだが……

 いや……


 気が付いたら壁に向かってスマートフォンを投げつけていた。

 壊れていないだろうか……。

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