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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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42/201

姉というものは人騒がせなものなのか否か

 姉は都心に住んでいる。


 『結婚を考えている人がいる』というので会いに行くことにしたのだ。

 あたしの住んでいる横浜からは、都心に出るにはそれなりに時間がかかる。姉の言っていることを100%信じているわけではないが、『結婚を考えている人がいる』ということは、もう婚約まで秒読みということなんだろうか。

 そういえば姉に恋人がいたという話を聞いたことがない。


 いや……もしかして話していてくれていたのかもしれないが、姉の話はあまりにくだらない話が多すぎるのでほとんど聞いているふりをしているだけで、聞いていない。もしかしたらあたしが知らなかっただけで付き合って長い彼氏がすでにいるのかもしれない。


 日曜日の湘南新宿ラインは空いている。

 普段は会社に行く時に横須賀線を使うぐらいだから、そんなに長いこと電車に乗ることもないので、なんだか不思議な感じである。姉が住んでいるのが池袋だから、宇都宮行に乗れば乗り換えなしで行けるのはありがたいにはありがたいが、貴重な休日は家で過ごせるともっとありがたい。


 姉と待ち合わせた喫茶店についたのは自宅を出て1時間半ほど経ってからだった。


 喫茶店の窓際のいつもの席で姉は一人、スマートフォンを眺めていた。

 実に何も考えていなさそうな幸せそうな笑顔である。

 こうやってお店の外から客観的に姉の姿を見ると、つくづくこの人はあたしの姉なんだなあ……と思う。髪型も顔立ちもすべてあたしと同じだし……鏡を見ているようだ。

 唯一違うと言えば、服装ぐらいか。

 てゆうか……いい大人のくせにフリフリでピンクのワンピースなど着ないでほしい。妹としては本気で恥ずかしい。


『おまたせ』

『わざわざごめんね』


 手元で両手を振りながら姉はあたしに笑顔で言った。

 てゆうか……『ごめん』というならそっちがこちらに来てくれ。お洒落なカフェがないからという実につまらない理由で池袋まで行くのはうんざりだ。それにお洒落なカフェがないといったくせに、待ち合わせのカフェはいつもドトールではないか。


 あたしは開口一番『それで……お父さんとお母さんには言ったの?』と聞いた。

 結婚となると大分の両親にもちゃんと伝えなければならないだろうから、あたしの言葉は至極当然と思われるが……。


『え? なんで??』

『なんでって結婚を考えてる人がいるんでしょ』

『いるわよ』

『じゃあ、ちゃんと報告しないと』

『やだ。もう。まだそんな段階じゃないわよ』


 ん?

 そんな段階じゃない?

 何か嫌な予感がする……というより嫌な予感しかしない。


『彼とはまだ付き合ってもいないから』

『はあ――?! だって結婚を考えてる人がいるって』

『考えてるわよ。あたしはね。向こうは……たぶんまだ友達ぐらいにしか思っていないだろうけど』


 姉はしれっとした顔しながらストローでアイスココアを飲みながら言った。


 やられた。

 それにしてもどうしてこう……姉というのは人騒がせなんだろうか。


『それよりも、あんたはどうなの? 恋してるの??』

 うんざりしているあたしに姉は嬉しそうに話す。

 何度も姉には話したが、今のところあたしは恋人の必要性を感じていない。

 本当にめんどくさい姉である。てゆうか少しは人の話をちゃんと聞いてもらいたいものだ。


 結局、あたしは姉の恋愛の話(こいばな)に散々付き合わされた。

 姉からの呼び出しは毎回こんな感じだ。こういう姑息な手に毎回、引っ掛かるあたしもどうかしてるのかもしれないが……貴重な休日は無駄になる。


 もういい加減にしてほしい。

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