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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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かわいい女子は何をやってもかわいいのか否か

 鏡の前で髪をとかしたりする娘の夕凪(ゆうな)をみるととても幸せな気持ちになる。


 4歳になる夕凪(ゆうな)にも女子としての自覚が出てきたようだ。

 女の子は一緒に服などを買いに行くとすごく喜ぶし、着る服に関しても男の子の服よりも色も種類も多彩で楽しい。


 もちろん男の子には男の子の良さがあると思うのだけど……

 母親として子供に服などの身の回りの物を用意してあげる時は、女の子のその選択肢の多さに思わず楽しくなって時間が経つのを忘れるほどなのである。


 シングルマザーのあたしにはそんなに自由になるお金はないのだけど、古着屋さんなどに行けばそれなりに安くてかわいい服が選べるので、月に1回、夕凪(ゆうな)を連れて服を買いに行くのが楽しみになっている。

 女子は身の回りの物にこだわる傾向にある。


 そういえば、隣に住んでいる二階堂さんなども実に個性が強く、一見すると同じような服しか着ていないように見えてそうでもない。

 黒っぽい服を好む彼女には何かのこだわりがあるのだろうか。 



 ――――――――――



 自覚があるのかないのか……


 かわいい女子はその仕草までがかわいい。

 あたしなどは恥ずかしくて到底できないような仕草を自然にできたりするから驚きだ。


 別に何があったわけでもない。

 仕事を終えて、熱いお風呂に入り、冷蔵庫に入っている作り置いたおかずを肴に冷たいビールを飲んでいると、急にそんなことが頭に浮かんだのである。


 同性である他の女子たちは、基本的に明らかに自分よりかわいい女子を遠ざける傾向にある。


『遠ざける』と言ったが、あからさまにはやらない。

 表向きは遠ざけずに、さりげなくやるのである。

 何回かに1回はランチに誘わなかったり、遊びに行くのを誘わなかったり……


 しかも女子の巧妙なところは、心の奥底では嫌がっていても、人間関係は表面的に取り繕うところである。だから嫌なのを我慢して何度かに1回はそういう可愛い女子と遊びに行く。

 それでもって、あとで仲間内で悪口を言うのだ。


『あれ、可愛いと思ってやってるのかしら?』

 こんなことを平気で仲間内で話し始めるのである。


 いや。

 はっきり言って大きなお世話である。

 そりゃ、たぶん可愛いと思ってるからやってるのだろう。

 別にいいではないか。


 あたしも女子の一人だが、そういうところが女子の嫌なところではある。

 本人のいないところでそんな悪口を言うのなら付き合わなければいいのだ。


 逆にあたしなどはそういうかわいい女子はすごいと思う。

 というのも、彼女たちはあたしには到底できないことをするからだ。

 それに、そういう子に嫌な思いをさせられたことはないので、別に悪いイメージもない。

 もしかしたら、かわいい女子は性格が悪く、自分をよく見せる為なら手段を選ばないのかもしれないけど、実際にはそんなことをされたことはただの一度もない。

 現実には可愛い女の子は心の中も可愛かったりする。

 性格が今一つという悪いイメージがついて回るのは、ただ単にモテない女の嫉妬なのである。


 それにしてもかわいい女子というのは何をやってもかわいいような気がする。


 よく考えてみると……

 外見がかわいければ、どんなことをしていたってそこそこ許されるのではないだろうか。


 そういう子は……


 工事現場にいようが……

 牛丼屋で一人でいようが……

 トラックを運転していようが……


 かわいいのだ。


 考えてほしい。

 トップアイドルや女優はどんな役柄を演じてもかわいいではないか。

 あたしのような凡人とは違って。


 う――ん……。

 考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。


 ん?

 今日は違う。

 考え事に没頭はしていたが、目の前には壁はなく、ちゃんとテーブルに座ってビールを飲んでいる。


『は――い』

 あたしはチャイムの音に反応して玄関をゆっくり開けた。

 するとゆるい巻き髪にしたお隣に住んでいる夕凪(ゆうな)ちゃんが目の前にいた。

『見て見て! 夕凪(ゆうな)ね。髪の毛、ちょっとゆるく巻いてみたの!』


 かわいい!

 この世にこんなにかわいい存在があるのだろうかというぐらいかわいい。

 たぶん、シングルマザーのお母さんは疲れてうとうとしてしまっているのだろう。

 だからあたしに見せにきてくれたのだ。


 『かわいい』ということにかけては大人女子が束になってかかっても子供にはかなわない。

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