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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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32/201

朝ドラは朝だけやればいいのか否か

 朝の時間は戦争だ。


 そんな言葉は昔からなんとなく理解できた。

 学生時代でも学校に間に合うため朝は忙しかった。

 なんだか朝は余裕がないことが多い。


 でも……

 子供ができて早起きするようになってからはちょっと余裕ができてきた。


 どうしても小さな子供がいるとギリギリで動くことができない。だからあたしは子供が生まれてからは早起きをするようになった。

 気が付けば『戦争だ』と感じていた朝の時間は余裕の時間に変わっている。


 今ではむしろ朝の時間こそ唯一の一人の時間だ。


『おはようございます』

 あたしは娘の夕凪(ゆうな)を連れて、朝はいつも7時半には出かける。

 するとお隣の扉が開いて、隣に住んでる二階堂さんが眠そうな顔をして出てくる。


 隣の二階堂さんは朝が弱い。

 なんでも低血圧なので、朝起きるのがしんどいそうだ。


『あ……おはようございます』



 ――――――――――



 朝起きるのは少し辛い。

 低血圧だから朝が弱いのだ。


 だけど……

 がんばって起きて……

 がんばって一日を過ごすと……


 夕方に帰ってきて楽しみなことがある。

 それは朝、録画しておいた連続ドラマを見ることだ。


 今日も実に面白かった。

 あたしはドラマの余韻に浸りながらベッドに寝転んだ。

 ぼ――っと天井を見上げる。


 朝のドラマは15分の短いドラマだけどすごく面白い。

 なにが面白いって本当の意味での悪人が出てこないのがいいのだ。

 世の中、良い人間もいれば悪い人間もいる。

 悪い人間がやった心無いことでがっかりするのは現実の世界だけで十分だ。


 やっぱり朝のドラマはいい。

 なんか元気になる。


 良い人ばかりが出てくる朝ドラでも、たまに主人公に意地悪をする人物が出てくる。

 登場当初はものすごく意地悪なのだが、回を追うごとに意地悪をする人物は、主人公の誠実さに触れてついには打ち解けていくというのは朝のドラマでの定番だ。


 これは本当に見ていて気分がいい。


 誠意というものは伝わるものだと言われているような気がする。

 現実の世界では誠実さを示す機会など滅多にない。

 そして誠実な人が報われるとは限らない。

 下手をすれば誠実さが裏切られることさえある。


 でも……それでも……

 どんな状況でも誠実に行動したいと心から思う。

 だからあたしは知らないうちにドラマにそれを求めているのかもしれない。


 そういえば……

 たまに何かの拍子に朝ドラの時間がずれて撮れていない時がある。

 そんなとき、あたしがこんなにも楽しみにしている朝ドラは見れない。


 そして何故か再放送は昼の時間帯なのだ。


『朝の連続テレビドラマ小説』という名前なのだから朝やらないと意味がないというのはよく分かる。しかし、朝ドラは生きていくのさえしんどいと感じる昨今のこの時代に、気持ちを前に向かせてくれる。

 だから再放送は社会人が働いて、疲れ果てて帰ってきた後の夜のゴールデンタイムにしてくれてもいいのではないかと思うのだ。


 もし……それができないというのであれば、せめてネットでの配信をしてくれないだろうか。


 やっぱり無理なのかな……

 朝ドラは朝やるから朝ドラなんだよなあ。


 う――ん……

 考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。


 どうやらあたしはまたやってしまったらしい。

 よく考えてみれば、夕方から夜にかけてどこかを叩いたりして音を立てるような隣人は、少し怖い。今では仲良くなっているけど、晴海ちゃんもあたしのことを知らなかった頃は怖い思いをしただろう。


 そう考えるとお隣にとってはあたしのこの悪癖もドラマのワンシーンのようなものなのかもしれない。

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