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隣の二階堂さん  作者: 阪上克利


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17/201

ランチに何を食べるかは重要なのか否か

 何気なく夕凪(ゆうな)に『晩御飯、何がいい?』と聞いたら……

『ハンバーグ!』

 と元気良く答えてきたので、今日はひき肉と玉ねぎを使ってハンバーグを作ることにする。


 子供はハンバーグが大好きだ。

 いや……子供でなくてもハンバーグは美味しい。

 なんかハンバーグってスペシャルな感じがする。

 何気なく聞いたのに、あたしの方がハンバーグを食べたい気持ちが強くなったから、ついついひき肉も玉ねぎもたくさん買いすぎた。


 これはたくさん作れそう。

 隣に住んでいる二階堂さんにお裾分けしてあげようかしら。 


 どんどんどんどん……


 今夜も壁を叩く音がする。



 ――――――――――



 今日はスペシャルな日だった。

 ふふふ……

 なんと……


 給料日。


 あたしは夕方……自宅のベッドの上で食事も食べずに天井を見ながらぼ――っとしている。


 そう。

 今日は1か月で唯一、プチ贅沢(ぜいたく)をする日だったのだ。

 こういう日はダイエットしていることも、節約しなきゃいけないことも忘れて小さな贅沢を一日中することにする。だから今日のランチは奮発した。


 実は普段、食費を抑えるためにもランチはお弁当にしている。

 朝、少し早めに起きてお弁当を作ると言うことは低血圧のあたしにとってはけっこうな拷問であり、味付けも今一つになってしまうことが少なくない。

 半分、眠りながら作るものだから、塩を入れ忘れたり、悪い時になると塩を入れすぎたりする。

 あたしは薄味が好きなので、塩の入れ忘れに関しては耐えることができるが、間違えてたくさん入れてしまった時は、もう泣きながらしょっぱいお弁当を食べなければならない。

 こんな悲しい思いを月に19日ぐらいはしているのである。


 そう考えたら月に1回ぐらいそんなスペシャルな日があってもいいと思う。


 でも貧乏性(びんぼうしょう)というか……

 贅沢して何か美味しいものを食べようとすると、案外思いつかないものなのだ。


 ランチで美味しいもの……

 ぱっと出てくるのはパスタ、ステーキ、ハンバーグ……

 美味しいんだけど、どうせならディナーで行きたいようなお店ばかりだ。

 できればワインも一緒に呑みたい。

 イタリアならいざ知らず……ランチにワインなど日本では許されるわけもない。


 そうなると……やっぱり定食屋?

 まあ……確かにいつものあたしが自分で作るお弁当よりは美味しいと思うけど……定食屋ってなんだかスペシャルな感じがしない。それに会社近くにはメニューが豊富な定食屋さんはない。

 それにそういうお店があったらやっぱりビールも頼みたいところだ。

 ドイツならいざ知らず……

 てゆうかドイツでもランチにビールはダメなような気がする。


 牛丼やラーメン、うどん、蕎麦は論外。

 蕎麦はちょっとした贅沢だけど、なんだかスペシャルという感じがしない。


 それでいつも何にしようか……と悩んでしまう。

 結局……


 『こふうそう』という会社の近くにあるお惣菜屋さんに行ってしまうのだ。

 実はこのお惣菜屋さんのお弁当は実に美味しい。特に定番の海苔弁当は本当に美味しいのだ。白身魚のフライの下に少し甘めに味付けしてあるおかかがたくさん敷き詰められており、その下に海苔、そしてけっこう大盛のご飯。

 おかずはキンピラごぼうと梅干のみ。

 この潔さがいい。


 それで今日も結局、スペシャルランチは『こふうそう』の海苔弁当にしてしまったのだけど……。


 確かに美味しいっちゃ美味しいし……大好きな味でもあるし、ランチに食べたい味でもあるんだけど……スペシャルかと言われればそんなことはないような気がする。

 できればもう少しスペシャル感がでるようなものをランチで食べたい。

 来月はどうしようか。


 う――ん……。


 考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。


 あ……

 どうやらあたしはまたやってしまったらしい。


 お隣には迷惑をかけっぱなしだ。

 そうだ。

 今日は『こふうそう』で買った『ナスの揚げ浸し』があるから持って行ってあげよう。

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