女の子の『もう食べれないーー』は何か意味があるのか否か
うちの夕凪は女の子なので基本的にはあまり食べない。
食べ物に対する執着というのは男子も女子もないのだけど、やっぱり食事量に関しては身体の大きな男子にはかなわない。
よく見てみると夕凪と同じクラスの保育園の男の子はけっこう良く食べる。
あたしは台所に立ってそんなことを考えながら明日のお弁当は何にしようかと思った。
夕凪の小さなお弁当箱を洗いながら、いろんなおかずをカラフルに入れてあげると喜ぶ彼女の顔を思い浮かべた。
女の子のお弁当は彩りが大事なのだ。
どん……
どん……
どん……
あ。
隣の二階堂さんだ。
彼女には変な癖がある。
考え事をして煮詰まってくると部屋の壁を叩くのだ。
最初はびっくりしたけど、変な癖だと知ってからは何も怖くはない。
最近では彼女が何かに煮詰まってきている時にお茶に誘って話を聞くことをあたしも夕凪も楽しみにしている。
何か甘いものあったかな?
そうだ。冷蔵庫に先日いただいた羊羹があった。
食べきれないで困っていたんだった。
あたしは夕凪に言った。
『お姉ちゃん、呼んできてくれる? 甘いものでも食べましょうって』
――――――――――
女子というのは小食なものだ。
あたしは食べる方だけどそれにしても男子に比べるとやっぱり食べない。
男子より食べている女子は大抵、体型が大変なことになっている女子が多い。
たくさん食べると言うことは個人的には嫌いではないが、それでも食べすぎは身体によくないし、何より太ってしまう。
太ってしまうということは美醜に関わる問題だとあたしは思っている。
それに基礎代謝が落ちるとなかなか痩せなくなる……ということも聞いたことがあるから、気を付けなければいけない。
最近、太った……。
でも気を付けていたら……ちゃんと体重は元に戻った……ような気がする。
体重計に乗ってないから感覚でしかないけど。
小食であるように心がけているあたしは人前でご飯を食べる時『お腹いっぱい』と言ったことはない。
いや……だってもう少し食べられるところを我慢しているのだから『お腹いっぱい』という必要などないからだ。
正直に『食べ過ぎると太っちゃうので……』と言う。
『いやいや…二階堂さんは太ってないから大丈夫だよ――』
一緒に食事をすると必ずそういうことを言ってくる人がいる。
大きなお世話だ。
人が我慢しているのにやめてほしい。
太ったらどう責任とってくれるのだ。
まあ……そういう人には『いや油断するといけないので』とやんわり断れば大抵引いてくれるのでかまわないのだが、正直、横で見ていてちょっとなあ……と思う女子がいる。
『もう食べれないですぅ。』
これだ。
そもそも語尾の小さな『う』は必要なのか?
それに本当にもう食べられないのか?
てゆうか…『ら抜き言葉』で話すな。
それにしても……あんな話し方をして何か良いことでもあるのだろうか。
正直……バカ丸出しではないか。
そしてこういう女子に限って男子がいるときだけこういうこと言う。
女子だけの時はそんなことは言わない。
で……
残念なことに男子からの支持もそんなに得ていない。
けっこう本人がいないところで笑われていたりする。
そりゃあたしだってちょっと不愛想なところがあるので男子から支持が得られるわけでもない。
そもそも支持が得たいとか思った事もあまりないが……。
何度も言うが……そんなバカみたいな話し方をして何か得があるのだろうか。
ないと思うのだけど……。
う――ん……。
考えが煮詰まったところで玄関のチャイムが鳴った。
どうやらあたしはまたやってしまったらしい。
とりあえず今日は、体重が気になるところだから甘いものは遠慮しとこう。




