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7.光の精霊との最終決戦②

道なりに進んで行くと、再び広い部屋にたどり着いた。

そこで思いもよらぬ光景がダイの目に飛び込んできた。

そこにはケイスケに連れ去られたジュリアに加えて、

水の国の姫であるウンディアーナ、土の国の王ゲルプ、

そして火の精霊に導かれたレイが目の前の壁に貼り付けられていた。

「これは……。ケイスケ、お前の仕業か?何を考えているんだ」

ダイは貼り付けられた四人の前に佇んでいるケイスケに対して、問いかけた。

言い終わった直後、一気に間を詰めて来たケイスケに鳩尾を殴られて

後ろに吹っ飛んだ。

さらに、腹を押さえながら立ちあがった瞬間に、

右頬に激痛が走り、地面に叩きつけられた。

横たわるダイの頭を踏みつけたケイスケが、上を向いて叫んだ。

「光の精霊よ!お前の命令通り、風の精霊に導かれしジュリアと

水の国の姫を捕らえて、ダイを倒したぞ。

約束通りレイとゲルプを解放してくれ!」

すると、ケイスケの後方で光の魔力が強く集中しているのを感じたダイは、

黒騎士が光の精霊ミスラにやられた事を思い出した。

『ヤバい!』

と感じ、全力でケイスケの足を掴み、ひっくり返した。

その直後、ドーンという音と共に、地面に光の矢が突き刺さった。

「貴様!何をする!」

ケイスケはそう言うとダイに掴みかかった。

しかし、ダイは冷静に、

「後ろを見てみろ」

と言って、顎でケイスケの後方を示した。

それを聞いたケイスケはパッと後ろを振り向いた。

そして、光の矢が刺さっているのを見て、

「どういうことだ……」

ケイスケは小さく呟いた。

「そう言うことだよ……。

光の精霊は用事の終わったお前を始末しようとしたって事だ。

お前が光の精霊とどんな約束をしたのかは大体想像がつくが、

奴は守るつもりはなかったんだ」

ダイはケイスケの胸倉を掴んで、静かな口調で言った。

冷静さを取り戻したケイスケは、

「騙されていたのか……。すまない」

ダイから目を逸らして、謝った。

「今はそんなことをしている場合じゃない。

とにかく、4人を助けるぞ。まずはジュリアさんを何とかしてくれ!

彼女がいてくれれば回復出来る。

俺は光の精霊を何とかする」

そう言うと、ケイスケを掴んで立ちあがった。

「光の精霊ミスラ、姿を現せ!

お前の目的は何だ。どうしてこんな真似を……」

ダイが、そう怒鳴るように言うと、目の前に淡く白い光が集まり、

中から一人の少女が浮かび上がってきた。

「やはり、君が光の精霊に導かれし人間だったんだな……。

あの時、一度会っているよね?」

ダイは優しい口調で少女に問いかけた。

そう、そこに現れたのは黒騎士と戦った際に出会った少女であった。

少女はあの時とは違い、凛とした態度ではあったが、

あの時と同様にダイの顔をキッと睨んだ。

「私は貴方の事を絶対に許さない!」

少女は厳しい口調でダイに言った。

全く心当たりがないダイが黙っていると、さらに少女は続けた。

「貴方がお兄ちゃんを洗脳して、この世界を征服しようとしているんでしょ?

お兄ちゃんを帰してよ!

私が絶対にお兄ちゃんを助けるから……」

そう言った瞬間、少女は無表情になり生気が抜けたようになった。

そして、彼女の背後に強大な光の塊が現れた。

「相も変わらず、我の邪魔をする奴だ……」

と言う、少女の口調が明らかに変わった。

それを光の精霊が彼女の肉体を支配したと感じたダイは言った。

「光の精霊ミスラか……。お前の目的は何だ?

ジュリアやウンディアーナ達をどうするつもりなんだ。

関係のないモノを巻き込むのはやめろ!」

「我の目的はそなた達の世界に存在する神に変わる事、

ここに居るモノ達は全員そのための生贄となるのだ。

我の邪魔をするのであれば容赦はせんぞ!」

その声とともに光の塊の中心から強力な光の魔力がダイに向かって放たれた。

「うっ!」

ダイは自分の持つ全魔力を放ち、何とか持ちこたえようとしていたが、

「お主の魔力が我に通じないのはこの前、証明済みだ。

無駄なあがきを……。

何?これは闇の魔力……。何故だ!」

ミスラは驚きの声を上げた。

ダイはテネブラスの剣より預かった闇の魔力を解放し、

ミスラの光の魔力を押し返していた。

そんな中、ダイの頭の中でヴォーレの声が響いた。

『ダイよ。分かっているな。お前は制御できる魔力以上の魔力を放っている。

このままいくと精神的にも肉体的にも耐えきれないぞ』

「分かっている。そんな事考えている場合じゃないだろ?

これ以外に方法はないんだ!」

ダイはそう呟くと、魔力を放つ剣を強く握り締め、

更に強い魔力を放出し続けた。

しかし、そのような無理な力が長く続くはずもなく、

しばらくすると光の力に押し返されてしまった。

ドンと言う爆発音と共にダイは後方の壁に叩きつけられた。

「くそ!ここまでか……」

自らの前方に光の矢が向かってくるのを見て、

ダイは自分の最期を感じ、目を閉じた。

グサッという音がダイの耳に届いた時、なぜか痛みを感じなかった。

『あれ?痛くないぞ……』

不思議に思ったダイはゆっくりと目を開けた。

そこにはダイに覆い被さり、光の矢が背中に刺さった

ウンディアーナの姿があった。

「ウンディアーナさん!何で……。」

ダイは、ぐったりと倒れかかってくる彼女を受け止め、呼びかけた。

「ダイ様……。無事でよかった……。

今度は私が……貴方を守る……番……」

ウンディアーナは安心した安らかな表情でそう言うと目を閉じた。

「ウンディアーナ!」

ダイはそう叫ぶと、彼女の身体を強く抱きしめた。

その時、ダイの胸元にあるシズクから預かったペンダントと

ウンディアーナが共鳴し、青白い光に包まれた。

『ダイ、よくここまで一人で頑張りましたね……。ありがとう』

青白い光が収まると優しい声と共にウンディアーナの身体から

水の精霊ウンディーの姿が浮かび上がってきた。

「ウンディー……」

突然の出来事にダイが茫然としていると、

ウンディーがダイの顔にそっと触れ、

「どうした?物凄く間抜けな顔をしているぞ」

と、軽口を叩いた。

「いや、あまりに突然だったから頭がついて行かなくて……。

籠はウンディアーナさんだったということか……。

精霊の証も籠も意外と近くにあったんだな……」

ダイは拍子ぬけた声で呟いた。

ウンディアーナは愛おしいモノを愛でるように、

ダイの頭をクシャクシャと撫でまわし、

「あの時、貴方がこの娘を抱いていたらもっと早く分かっていたのになぁ。」

冷やかすように言った。

「えっ!いや……あれは……、と言うかお前、見ていたのか。

趣味が悪いぞ!」

ダイは顔を真っ赤にし、慌てた口調で非難の言葉を吐いた。

それをみたウンディアーナは楽しそうな悪戯っ娘の目つきをして、

更に冷やかした。

「まぁ、この娘の気持ちを知って私が積極的に行くように仕向けたのだが、

お前が堅物過ぎる。

あれだけ迫られたら普通はその気になるだろ?」

「あぁ……、もう俺が悪かった!

この話は恥ずかしいから終わりにしてくれ!

それより、ウンディアーナさんは大丈夫なのか?

それに、こんなに悠長に話している暇なんてないだろ?」

ダイはバツが悪くなったのか、無理やり話を終わらせて、現状の確認を始めた。

ダイの問いに対してウンディーは表情を引き締めて答えた。

「それは両方とも大丈夫だ。

この娘の傷は私が外に出る魔力で自然に回復している。

私とダイが話せるのはこの特殊な空間のみで、時間の流れが違う」

それを聞いたダイは一瞬、安心した表情を浮かべたが、

すぐにキッと引き締めた。

「良かった……。しかし、今の状況は正直、ヤバいぞ……。

お前が戻ってきたからって、俺が急に強くなった訳じゃない。

どうしたものか……」

「ダイ、貴方のするべき事はミスラを倒す事ではないだろう?

貴方にできる事をすれば大丈夫だから……」

ウンディーがそう言うと、周囲が元の風景に戻って行った。

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