7.光の精霊との最終決戦①
3人はオスカーナの元を去った後、ノアル国の城下町で旅の準備を整えた。
そこでダイはシズクに自分が使用しているライトソードと同じ剣を買い与え、
時間が出来ると剣の使い方や戦い方、攻撃魔法の使い方などを教え始めていた。
また、ジュリアも回復魔法を教えたり、
ダイとの剣の特訓で怪我をした身体を癒したりして
シズクとコミュニケーションを取っていた。
ダイはルミネ国へ向かう道中にも、
時間が許す限り剣と魔法についてシズクに教えて続けていた。
ダイからみてもシズクの魔力が徐々に強くなっているのを感じていた。
シズクも同じ思いだったようで、二人で話をしている時に問いかけてきた。
「ダイさん、なんでこの剣を使わないの?
光の精霊にはこの剣じゃないとダメなんだよね?」
「ん?まだ、シズクの力じゃ制御しきれないだろ?
もし、剣の魔力が暴走したら、きっと誰も止められないぞ。
今はその剣を使えるように、お前の中の魔力を強めるのが先決だと思うぞ。
最終的には、使い慣れた剣にあっちの剣を合わせたらいいから
心配しなくても大丈夫だよ。」
と、真面目な顔をして質問に答えた。
シズクはその答えに引っかかったのか、
「……どういう意味?合わせるって?」
「あぁ、そこ?俺の剣をちょっと見てみろ。」
ダイはそう言うと、自分の剣を取り出し、竜を模った柄の部分を持ち、
力を込めて引き抜いた。
すると何ら変わった所のない剣と竜を模った柄のある杖とに分かれた。
「この杖が俺の持つ魔法具の本当の形だ。
杖のままでも魔法そのものは使えるんだが、
戦ったりするのに剣の方が便利だから、杖と剣を合わせているんだよ。」
と、言いながらまた杖と剣を一つに合わせて、
元の竜の柄を持つ剣へと姿を変えて見せた。
それを見たシズクは突然、ダイに飛びつき手を強く握りながら、
驚嘆の声を上げた。
「ダイさん!凄いよ!僕の剣もそんな風に合わせる事が出来るかなぁ?
早くやってみたいよ!」
それを見たダイは、シズクの肩を持ち努めて冷静な表情で、
「シズク!落ち着け、今のままだとお前の身体が持たない可能性がある。
もう少し、魔力の扱いに慣れてからの話だ。
これからルミネ国との境界に着く、ルミネ国に着いたら、
実践になるだろうし、一気に力が伸びるよ。
ただし、危ない時は無理をするなよ」
と宥めると、シズクはキッと表情を引き締めて、
「大丈夫だよ。ちょっとでも強くなれるように頑張るよ」
と気持ちを込めて答えた。
その後、3人は何度か光の国からの刺客による襲撃を受けてきた。
その度に何とか凌ぎ、やっとの思いでルミネ国への国境付近へと到着した。
そしてルミネ国へ足を一歩、踏み入れた瞬間、強い光が3人を包み込んだ。
光が収まり、目を開けるとダイの目の前に土で出来た空間が広がっていた。
すぐに後ろを振り向くと、そこには腕で目を塞いでいる
シズクとジュリアの姿があった。
一瞬、最悪の状況を覚悟したが、
二人の姿を確認する事が出来たのでダイはホッと一息ついた。
「二人とも大丈夫か?本当にバラバラにされなくて良かった……」
二人に向かって問いかけた。
するとジュリアが明るい声で、
「大丈夫だよ!本当にダイさんは心配性だなぁ。
それにしてもここはどこだろう?結構、広い部屋だよね?」
そう言いながら、無防備に部屋の中央へと進み出た。
その時、ゴゴゴゴという轟音と共に、地面から巨大な岩の手が現れた。
その手はジュリアの身体を鷲掴みにした状態で動きを止めた。
「えっ!ちょっと、離してよ!」
ジュリアはそう叫びながら、身を捩り抜けだそうともがいていた。
ダイとシズクが現状が呑み込めずに固まっていると、
前方から何者かがゆっくりと近付いてきた。
「久しぶりだな!ダイ」
声のする方を見ると、大地の精霊に導かれし人間であるケイスケの姿があった。
「これはお前の仕業か?どういうつもりだ!」
ダイが怒鳴るように問いただすと、ケイスケも怒鳴り返してきた。
「これはダイ、お前がこれまでにやってきたことに対する報いだ。
愛する人が苦しむのを見るがいい」
「はぁ??えーっと、何か勘違いしていないか?
まず、俺が何をやったんだ?
お前に文句を言われるような事はした覚えがないが……。
それに、俺とジュリアさんはそんな関係じゃないし、
彼女には別に大切な人がいるみたいだが……」
ダイはケイスケの誤解を解こうと、冷静に問いかけた。
しかし、ケイスケは聞く耳を持たず、怒鳴り続けた。
「黙れ!お前はそうやって、色々な人を騙して来たんだろう?
レイに対しても、自分を攻撃出来ない状態にして、
好き放題やったそうじゃないか?
正直に言ったらどうだ?」
「最低だ……」
「サイテー……」
ケイスケが言った事に対して、
シズクとジュリアが冷たい視線をダイに向けて呟いた。
「いやいや、お前らちょっと待て!
俺がそんな事をするわけがないだろう?
一度、戦っているからその時に攻撃禁止の魔法を掛けたけど、
やましい事は何もない。レイさんがそんな事を言ったのか?」
ダイは、
『むしろ俺の方が襲われた方だし……』
などと考えながら否定し、ケイスケに確認をしてみた。
ケイスケはダイがあまりにも落ち着いているので、
若干トーンダウンをしながらも、
「そんなことお前に言う必要はない。
とにかく俺は彼女のためにお前を倒さなければならないんだ。
ジュリアさんを助けたければ、この先の道を右に行け!
そこで俺は待っている。
ちなみに左には光の盾が置いてある。
俺には興味のないモノだ!欲しければ取りに行くといい。
ただし、その場合はジュリアさんの命は保証しないがな……」
そう言うと、ケイスケはジュリアを連れて奥へと消えて行った。
ダイは何も言わずに急いで後を追うと、シズクも慌てて後に続いた。
分かれ道に到達すると、ダイはシズクに話しかけた。
「シズク、ここからは二手に分かれて行動しよう。
俺は右の道を行ってジュリアさんを助け出す。
お前は左の道を行って光の盾を取って来てくれ!
念のために、この光の防具を身につけておけ!
そして光の盾を手に入れたらすぐに戻って合流して欲しい。
ついて行ってやれなくてすまない」
「大丈夫。今はジュリアさんの方が危ないから……。
こういう時のために鍛えていたんだし!」
シズクは胸を張ってそう言い、ダイから光の鎧、兜そして靴を受け取った。
シズクが鎧を身につけている時に、
胸元から古ぼけたペンダントがこぼれ出てきた。
それが、ダイの目に入った瞬間、
何かを訴え掛けるようにほんのりと青白い光を放った。
それを見たダイは突然、大きな声でシズクの肩を掴んだ。
「シズク!そのペンダントを貸してくれないか?もしかしたら、
俺の探している水の精霊の証かもしれない!」
「いきなり、どうしたの?ビックリした……。
うん、いいよ。これは父さんから貰ったんだ!
いつか、これを欲しがる人が現れるからその時は、
渡して欲しいって言って渡されたんだよ。
これってダイさんのことだったのかもね」
驚いた表情で言いながら、ペンダントをダイに手渡した。
「ありがとう。ウンディーを助けたら返すからな。マジで気をつけて行けよ。」
シズクの準備が整った事を確認すると、
ダイはそう言って右の道へ進んで行った。




