5.救世主の帰還⑤
明朝、ダイとレイはブーロウ王に呼び出された。
「昨夜はよく休めましたかな?二人の活躍により、
ワシもブルーノも助けられた。
これからはウンディアーナも含めて、
ブリュレ国民全員でこの国を守ろうと思う。
この国すら守れないワシがこの世界を制するなどと勘違いをしていたようだ。
これからは国と国民を守ることに専念しようと思う。
二人はまた、旅に出るのであろう?
そこで、そなた達に我が国に伝わる宝具を渡そうと思う。
一つ確認したいのだが、レイ殿は火の精霊により導かれたのではないか?」
ブーロウ王の問いかけに、レイは、
「そうだ」
と、短く答えた。それを聞いたブーロウ王は軽く頷き、話を続けた。
「やはりそうか、この度は、本当に世話になった。
貴女のおかげでブリュレ国は救われた。礼としてこれを受け取って貰いたい」
そう言うと、家来の一人が兜とティアラを持ってきた。
「これは『光の兜』と『炎のティアラ』と言って、歴代の王により、
世界が混沌に陥った時に現れる救世主に託すために守られてきたものだ。
これを二人に授けたいと思う」
ティアラはレイが、兜はダイが受け取った。
レイはティアラを頭に乗せることができたが、
ダイが兜を冠ろうとした瞬間、
兜が意思を持って拒否するように弾き飛ばされた。
「痛って!!やっぱ無理か……」
そう言うと、兜を鞄の中に入れた。それを見たブーロウ王は、
「宝具にはそれぞれ属性があり、
近い属性のモノしか使用できないと言われている。
ただし光の防具は闇の力を持つモノしか使用できないらしい……」
「ちなみに、宝具はどのくらいあるのでしょうか?」
「ワシもあくまで言い伝えでしか聞いておらぬが、
フロウ国は盾、グリン国は鎧、ジョヌ国には靴があると言われている。
光の防具については闇の力を持つモノしか使用できないらしい……」
「ところで、レイさん。
貴女はこの後、どうするつもり?
俺は闇の国に行ってみようかと思うんだけど……」
ブリュレ国を出発し、光と闇の国境上に辿り着いた所でダイは問いかけた。
「私は光の国へ行こうかと思う。ところで、例の取引の件だが……」
「何の事だっけ??」
「おい!」
掴みかかろうとする、レイの頭に手をかざし集中した。
「冗談だよ……。これで俺を殴ることもできるはずだよ。
試すのは勘弁してほしいけど。
それじゃあ、ここでお別れだな。」
「そうだな。」
そう言って、お互いの距離を取ろうとした時に、遠くの方から、
「ダイさーん!」
緊張感のない間延びした声が聞こえた。
声がする方を向くと、
ジュリアとケイスケがこちらに手を振って駆け寄ってきた。
ジュリアはダイに抱きつき
「もう、何も言わずにどこかに行っちゃうなんて、ひどいよ!!」
ダイの胸をバシバシ叩きながら言った。
ダイはジュリアの頭をポンポンと叩きながら、
「ごめん、色々と気になった事があったから……。
一応、ケイスケには言って出発したのだけどなぁ。
とにかく元気そうでなによりだ。
ケイスケも頼みを聞いてくれてありがとう」
ケイスケの方を見ながら言った。
「いいって、ジュリアさんのおかげで
ジョヌ国の復興がかなり速くできたからな」
「大した事はしてないよ……。
気付いたらダイさんはいないし……。
本当に心配したんだよ!」
「まぁ、お互い無事に合流できたからよしとしよう!」
「そうだね!!ところで、隣の綺麗な女の人はだれなのかな?」
にこっと微笑みながら、ダイに尋ねた。
しかし、目は全く笑っていないのに気付いたダイは、何故かビクビクしながら、
「彼女はレイさん、火の精霊に導かれてこの世界に来たみたい。
ブリュレ国のトラブルを解決するのに協力してもらっていたんだ。」
そう言うと、ジュリアとケイスケにレイを紹介した。
レイは表情を変えずに、
「そろそろ、行くから……」
と、言って光の国の方を向いた。
すると、ケイスケが突然、
「さぁ、ジュリアさんもダイの所に届けたし、俺も行こうかな。
俺も光の国に行くつもりだから、一緒に行こうか?」
レイに問いかけた。
レイは一瞬、えっと言う表情になったが、すぐに、
「好きにしろ!私の邪魔をしたら容赦しないぞ」
ケイスケの方を見ることなく言い放つと、光の国の方向へと足を進めた。
「ちょ…。待てよ!あっ、闇の国に行くんだったらこれを持って行けよ。
俺には使い道がないみたいだ。」
ケイスケはそう言うと、バッと一足の靴を投げつけた。
ダイがキャッチするのを確認すると、急いでレイの後を追った。
ダイとジュリアはしばらく、茫然と二人の後ろ姿を見送っていいたが、
ジュリアが口を開いた。
「行っちゃった…。ダイさんはこれからどうするの?」
「ん?あぁ、闇の国に行ってみようかと思っていたんだけど……。
一緒に来てくれる?」
「もちろん!私の事を守ってくださいね?ダイさんの事は私が守ります。」
「……ありがとう。取りあえず行こうか。」
少し照れて言うと、ジュリアの方に手を伸ばした。




