5.救世主の帰還④
風のマントの力により、レイとの待ち合わせ場所に到着した。
ブーロウ王と共に、木の陰に身を潜めてレイの到着を待った。
すると、城の方から二つの黒い影が近付いてくるのが見えた。
「またせたな!そっちも無事に連れ出せたみたいだな」
レイはダイとブーロウ王を見て言った。
レイの姿を見たブーロウ王は目をガッと見開いて、
「そなたは?!フロウ国の騎士ではないか!なぜ……」
「彼女には二人の救出を手助けしてもらいました。
確かに彼女はフロウ国に属していますが、今は私の仲間です」
ダイがブーロウ王の言葉を遮るようにレイの擁護をした。
さらにブルーノが、
「ダイ殿の言っている事は間違いないと思います。
彼女が我々を騙すのであれば、すでに追っ手が来ているはずです」
二人の話を聞いている間も、フーロウ王はレイの瞳をじっと見つめていた。
そして、突如彼女の手を取り、
「助けて頂いて、本当に感謝している。ありがとう。
先ほどは一瞬でも疑ってしまい申し訳なかった。
貴女の瞳は騙しているモノの瞳ではなかった」
と、頭を下げて言ったが、レイはその手を振り払い、
「私はダイとの取引のためにやったことですから……、
感謝するならダイにしろ。
それより、早くここを離れた方がいい。
意外とこの場所に居ると目立つからな」
そう言うと、城から離れる方向に進みだした。
他の三人もそれに同調し、あとに続いた。
四人がヴィレットビュレに到着するころには、朝陽が昇り始めていた。
ウンディアーナはブーロウ王とブルーノの姿を見るや否や、
二人に飛びついた。
不安から解放された安堵感からか、
これまで見たことがない美しい涙が頬を伝っていた。
その姿をみて安心したダイはそっとその場を離れ、
自分に割り当てられた部屋のベッドに倒れ込んだ。
コンコンと遠くでドアを叩く音で、ダイは意識を取り戻した。
伸びをしながら呟いた。
「うーん。どのくらい寝たかな?」
『誰だろう?レイさんだったら面倒臭いなぁ』
などと考えながら扉の方へ向かい、問いかけた。
「どなたですか?」
「お休みのところすみません。少しだけお話できませんか?」
ウンディアーナの優しく控えめな声が返ってきた。
その声を聞いたダイがさっと扉を開けると、非常に疲れた様子で佇んでいた。
ダイは彼女の美しい金髪をそっとかき揚げ、瞳を覗きこみながら尋ねた。
「どうしましたか?」
するとウンディアーナは、ダイに抱きついた。
「本当にありがとうございます。ダイ様がいなかったら……」
後半は涙声で殆ど聞き取れなかったが、
ダイは妹を慰めるようにそっと頭を撫でた。
しばらく、彼女はダイの胸で泣きじゃくっていたが、
その間ずっと、黙って彼女を抱きしめ、肩や頭を優しくなで続けた。
どのくらい時間が経っただろうか?
しばらく泣いて気持ちが落ち着いたのか、
ウンディアーナは泣きじゃくりながら、
「ごめんなさい。父が居なくなってからずっと気持ちが休まる事がなくて…。
私はこの国の姫だから、みんなに見られていて……。
皆が私を頼りにしていて、もっとしっかりして、
守らなければいけない気持ちばかり大きくなって……。
でも、何もできなくて……。
そんな時に貴方が現れてくれた。
貴方が私のそばに居てくれるだけで、安心できた。
貴方は私が背負うべき重荷を一緒に背負ってくれて、
皆と違って対等の立場で話してくれるから……。
けど、貴方は問題が解決するといつの間にか居なくなって……。
今回もすぐに居なくなってしまうんじゃないかと……」
そこまで言うとダイを力いっぱい抱きしめた。
ダイはウンディアーナの頭をポンポンと叩くと、
「そうか……。不安にさせてごめん……。けど……」
「言わないで!分かっているから……。
今日だけは側に居て、私を抱いてください」
その言葉を聞いた瞬間、ダイはウンディアーナの身体を少し離し、
じっと彼女の顔を見つめて言った。
「それは出来ない」
「何故ですか?私の身体は魅力ないですか?ダ
イ様にとって、そんな価値もないと……。
一度だけでいいの、貴方が私の側にいる事を感じたいの」
ウンディアーナの懇願を聞き、ダイは真剣に迷っていた。
彼女は今まで、ダイが出会った女性の中でも間違いなく美しい。
自分の元いた世界で出会っていたら、確実に惚れていただろう。
美しい金髪、大きな青い瞳、小さな口、スレンダーな身体、
どこを見ても文句をつけようがない。
ダイはウンディアーナの顎を優しく持ち上げ、
「チュッ……これで勘弁してくれ。ごめんな……」
額に軽く口づけして、言った。
ウンディアーナは再度、ダイに抱きつき、
「謝らないで……。余計に辛くなります。
やっぱり、私って女としての魅力がないのでしょうか?」
おどけて言うと、ダイは真面目な顔をして、
「そんなことないよ。
俺がずっとこの世界に居るのであれば、間違いなく貴女を愛していた。
しかし、この世界にとって俺は間違いなく異端で、
いずれは排除されて元いた世界に帰される。
そうなるのが怖い……。
今、貴女を抱いてしまうと忘れられなくなる……」
そう言うと、ダイもウンディアーナの躰を強く抱きしめた。
「ありがとうございます……。一緒に寝てもいいでしょう?
ダイ様の匂いと温もりを感じたい。
それで、忘れます。明日からはまた、お転婆姫に戻ります。
だから、今晩だけ……」
なんか主人公もてますね…。メインヒロインは別にいるはずなのですが…。
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