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3.光の精霊による陰謀③

翌朝、周りの兵士が制止するのを無視して、

三人は無言のまま王の間へと進んで行った。

すると、三人の姿を目にしたブーロウ王は一目散に駆けよった。

三人は一瞬、身構えたがブーロウ王は深々と頭を下げた。

「ウンディアーナ、ブルーノそしてダイ殿、

昨日までは本当に申し訳なかった。

私はどうかしていたのだ。ずっと悪夢を見ていたような……。

今朝、目を覚ました瞬間、

これまで私がしてきた事が間違っていたことに気付いた。

本当に申し訳ない、なんと言ったらいいか……」

その姿を見た3人はほっと一息をつき、

「いいですよ、お父様。全てはあの香炉が悪いのです」

「そうですよ、ブローウ王。以前の王に戻って本当に良かった、」

などと、互いに手を取りながら声を掛け合っていた。

3人の互いを思う姿を見たダイはスーッとその場を離れた。

『もう、この国は大丈夫だろう……。それより俺にはやるべき事がある……』

そう考えながら足早に城を後にした。


そのまま、険しく続く山道へと足を踏み入れた。

そこは水の国ブリュレから光の国ルミネへと続く道であった。

「また、お前か……。毎回、私の邪魔をしおって……」

背後から、低く落ち着いた声が聞こえた。

ダイが振り返ると、そこにはペガサスに乗った黒騎士がダイを見下ろしていた。

「やはり、あんたか……。

光の国と聞いてそうじゃないかと思って来てみたが、

今回の香炉もお前の仕業か?」

「そうだ、我が主の命令だ。

我が国に非協力的な国を混乱させる必要があった。

それをことごとく邪魔しやがって!お前さえいなければ……」

そう言うと、黒騎士はペガサスから飛び降り、剣を構えた。

「やれやれ……。意味のない戦いはしたくないのだけど……」

小声で呟きながら、ダイも剣を構えた。

その瞬間、電光石火の速さで黒騎士が間合いを詰めた。

カキィンという金属がぶつかる音が周囲に響いた。

剣で押し合い、黒騎士は一気にダイに襲いかかった。

しかし、ダイはその力をいなし、さっとかわした。

黒騎士との距離を測りながら、岩陰に視線を向けた。

『どうも、気配を感じる……。

まぁ、今のところ悪意は感じないから、後で考えよう……』

などと、考えていると、

「どこを見ている!その余裕がいつまで続くかな。

一気に行くぞ!!」

キンキンキン、黒騎士の剣を防ぐのが精一杯で、岩壁まで追い詰められた。

「もう、後ろがないぞ!ぐっ!!」

ダイは全力で蹴り飛ばし、黒騎士は後ろに吹っ飛んだ。

その隙にダイは間合いを取りなおした。

『うーん……、やっぱり単純に力では勝負にならないか……。

じゃあ、ちょっと罠でもはるか……』

そう考えながら、相手の動きをじっと見つめた。

黒騎士は、にやっと笑みを浮かべ、剣をダイの方へ突き出した。

『くる!!』

と、思った瞬間、黒騎士の剣から眩い光が放たれた。

しかし、その光はダイの周りに無数に張り巡らせた小さな氷の結晶によって反射した。

そして光が途切れた瞬間、氷の塊が黒騎士の四肢、わき腹に突き刺さった。

うずくまる黒騎士の横を素通りし、

先ほどから気配を感じていた岩陰の方へ足を進めた。

しかしその時、がっと足を掴まれ、

「待て!まだ、終わっちゃいない。俺はまだ戦える!

それ以上進むのなら、俺を殺してから行け」

黒騎士は、ダイの足を掴む手に力を込めて言った。

ダイは、その手を強引に引き離し、冷めた目で黒騎士を見下ろしながら、

「もう、終わっているよ。

致命傷は与えていないが、今のあんたの力じゃ

立ちあがる事すらできないだろう。

俺は誰も殺さない、あんたも自分の命を大切にした方がいい、

守るものがあるから戦っているのだろう?」

と、言った。

さらに、岩陰の方に向かって問いかけた。

「そこに居るのは誰だ?いるのは分かっている、出てきたらどうだ?」

穏やかな口調で問いかけると、ゆっくりと岩陰に近付いた。

そして、そっと岩陰を覗きこむとそこには、

10歳前後の少女が泣きながら蹲っていた。

声をかけようとした時、不意に少女は顔を上げダイを睨んで、

「なんで邪魔をするの?私はお兄ちゃんを助けたいだけなのに……」

そう言うと、再び頭を抱えて泣き出した。

ダイはどうしていいのか分からず、とにかく少女を慰めようと、

彼女の背中をなでようとした。

「彼女に触るな!!」

声のする方を見ると、黒騎士が剣を杖にして近付いていた。

「彼女は私が守る!絶対に触れさせるものか!!」

鬼気迫る表情でダイのもとへとじりじりとすり寄ってきた。

その時、一閃の光が黒騎士を貫いた。

『調子に乗るな、弱きものよ。敗者に用はない』

太い声が頭に響く、ダイが少女の方を見ると光の塊が少女を包み込んでいた。

少女の方に視線を向けながらも、ダイは黒騎士を抱きかかえた。

「しっかりしろ!お前が彼女を守れ!こんなところで死ぬな!」

そう言うと、ダイは必死に黒騎士に回復魔法をかけ始めた。

しかし、傷が深く回復が追いつかない。

「くそっ……。俺の力じゃこれが限界か……」

「もう……いい。それより、彼女を……、頼む……。守っ……て……くれ」

「しゃべるな!傷口に響くぞ!」

「俺は……、もう無理だ。それより……、これを……」

黒騎士は、最期の力を振り絞り、ダイの手に小さな白く丸い宝石を握らせた。

その瞬間、黒騎士の首がガクッと倒れた。

ダイは湧き上がる怒りと悲しみを抑えながら、

そっと黒騎士を地面に寝かし、立ちあがると光の塊を睨みつけた。

「何故だ!こいつはお前の仲間だろ!」

『仲間?我は唯一無二の存在。我に必要なものは駒だ。使えぬ駒は必要ない。

 ところで水の導きしモノよ、我と手を組まぬか?

 我とそなたとでこの世界を支配しようではないか!!』

「素晴らしい!共にこの世界を支配しようではないか!」

と、満面の笑顔で両手を上げて言った。

が、すぐにすっと笑顔が消えた。

「なんて、言うと思ったか?誰がお前の駒になるか!」

ダイはキッと睨みながら、

自分の扱うことのできる最大限の水を光の塊へとぶつけた。

しかし、そこには何もなかったように素通りしてしまった。

『我はこの世界における絶対的な存在だ。

 そのような下級の力は通じん。

 残念だが、邪魔ものは元の世界へ帰って貰おうか!』

その声と共に、光の塊がダイを包み込んだ。

その瞬間、ダイは意識が遠のくのを感じた。


今日から1日3話投稿したいと思います。

どしどし感想、評価の方をよろしくお願いします。

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