3.光の精霊による陰謀②
三人はカオルスの森にある廃屋にたどり着いた。
そこで、ダイはウンディアーナとブルーノにこれまでの経緯を確認した。
「あれはダイ殿がこの国を出発してから入れ替わるように、
光の国ルミネ国の使いと言うモノが現れました。
彼はブーロウ王に光の国と共にこの世界を手に入れるための
同盟を持ちかけてきました。
その内容は火の国、光の国と共に他の国を制圧するとおっしゃられたので、
私とウンディアーナ様はもちろん反対しました。
最初は理解を示しておられたのですが、
次第に我々を遠ざけるようになり今に至ります」
その話を聞いたダイは、気になった事を確認した。
「その光の国の使者は手ぶらで来たわけではないのでしょう?
献上品の中で怪しいモノとかはありませんでしたか?
飲み物とか、匂いのあるモノとか……」
「あっ!お香がありました!
私やブルーノは嗅ぐと気持ちが悪くなったので、
父だけが使っていました」
ウンディアーナがそう言うと、ダイは確信を持って呟いた。
「それだ。そのお香でブーロウ王の黒い欲望を増大させているような気がする」
「では、早速そのお香を使うのをやめて頂くようお願いしに行こう!」
そう言って、ブルーノは席を立ったがすぐにダイが制止した。
「今、我々が何を言ってもブーロウ王は聞く耳を持たないでしょう。
ここは夜を待って、お香を奪うしかないと思います。
大勢で行っても仕方ありませんので、私にお任せ頂けないでしょうか?
お二人にはしばらくここで待って貰いたい」
「わかりました!ブルーノ、ここはダイ様を信じて待ちましょう」
ウンディアーナがそう言うと、ブルーノはしぶしぶ頷いた。
日は傾き、辺りは闇に包まれようとした時、
ダイはブリュレ城のすぐ近くで気配を消して様子を窺っていた。
その時、頭の中で声が響く、
『ダイよ。一つ言うのを忘れていた。
我が魔法具である杖はお主にとって使いにくいであろう?
普段、使っている剣と魔法具を融合させるイメージで魔力を剣に送ってみろ』
ヴォーレの声に従い、杖と剣を重ねて魔力を送ると、
杖は消え持っていた剣の柄部分が竜の形へと変化した。
『これで剣に我が水の力が宿った。
基本的にはこの方法でどのような物にでも魔力を持たせることができる。
ただ、魔法具同士を融合させる場合は気をつけろ、
互いの魔力が反発する可能性があるからな』
その声にこたえることなく、ダイは周り目を光らせた。
闇が深くなるにつれて、城の周辺から気配が消えて行った。
『そろそろ行くか…』
闇が深まる中、ダイは氷の階段を作り、
外からブローウ王の寝室を目指していた。
王の寝室の位置にある窓から、ほんのりと青紫の不気味な光を放っていた。
『お香を焚いているだけで、あんな光が出るわけがないよな……。
とにかく近付いてみよう』
窓を覗きこむと、部屋の片隅に置いてある香炉から光と共に
不気味な煙が立ち上り、部屋全体を包み込んでいた。
ダイは大きく息を吸い込み、呼吸を止めて音を立てずに部屋の中に忍び込んだ。
「まぁ、間違いなくこの香炉が悪さをしているのだろうな……」
そう呟くと、剣を香炉へ向けた。
すると、剣先が青白く光り、その光が香炉を包み込むと、
香炉が凍ってしまった。
香炉から発生していた煙や光はなくなったが、依然部屋は煙で覆われている。
窓を全開にし、換気をすると徐々に視界が開けてきた。
部屋の片隅には豪華絢爛なベッドがあり、
そこには苦しそうな表情のブーロウ王が横たわっていた。
『多分、香炉の煙が無くなり、
麻薬が切れたような状態になっているのだろう……』
そう考えた、ダイは一本のビンを取り出し、
ブーロウ王の口に液体をゆっくりと注ぎ込んだ。
すると、苦しそうだった表情がすっと穏やかな表情に変化した。
それを見たダイは安心した表情を浮かべて、その場を立ち去った。
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