3.光の精霊による陰謀①
「よくぞ、戻られた。ダイ殿。ゆっくりとして下され」
王座にてダイを目の前にして嬉しそうにブローウ王は言った。
しかし、以前にあった時にそばに居たウンディアーナとブルーノの姿が
見えない事を怪訝に思ったダイは、
「ブリュレ国の事が気になり、戻って参りました。
特にお変わりないようで、安心しました。
ところで、ウンディアーナ様とブルーノ殿も
変わらず元気でおられるのでしょうか?姿が見えませんが……」
そう言って、ブローウ王の顔を覗きこんだ。
「あの二人は私の考えに反対し、反逆の可能性があることから
地下牢に閉じ込めておる。
私はやはりこの国の王としてこの世界を
このブリュレ国で統一したいと考えておる。
我が国の魔法の力をもってすれば可能だと考えている。
この世界を我が手に治めるために、
光の国ルミネ国と火の国フロウ国と同盟を結んだのだ。
それに猛反対したのがブルーノとウンディアーナだ。
ダイ殿はもちろん私の考えに賛成して貰えると信じておる。
ダイ殿の力を貸して頂ければその夢も近付くのだが……」
ダイの目をじっと見ながら、そう言った。
それに対してダイは、
「申し訳ありません。
私がこの世界に来た理由はこの世界を今のまま、
誰かにより支配されるのを防ぐためなのです。
ですから、貴方の力になるわけにはいきません」
きっぱりとそう言うと、その場を立ち去ろうとブローウ王に背を向けた。
ブローウ王は、それを聞いて顔を真っ赤にして、
怒りで身体を震わせながら、周りの家来に対して怒鳴りつけた。
「この男も我が国に反抗する者の一人だ!捕まえて地下牢へ入れてしまえ!
ダイよ、そなたにも我が思想は理解できぬようだ。
地下牢でゆっくり頭を冷やし後悔するがよい!」
ダイは数人の家来に取り押さえられ、石の手錠により拘束された。
地下牢に入れられてから、ダイは落ち着かず牢の中を
ウロウロと歩き回っていた。
「ん~、なんで魔法が使えないのだろう……」
そう、ブツブツと独り言をつぶやいていると、頭の中で声が響いた。
『ダイよ、魔法が使えないのがそんなに不可解か?』
『あたりまえじゃないか……』
『それは、お主の手にされている手錠が原因だ。
当然、この魔法の国では魔法を封じる方法も研究されている。
その中で見つけられたのが封魔石だ。
この国の手錠は基本的に封魔石でできておる』
『そうか……、この世界を甘く見ていたな……』
ヴォーレとのやり取りの中で現状を把握し、
ダイは少し後悔しながらもこれからどうすればよいかを考えていると、
ヴォーレが続けた。
『この状況でも魔法を使う方法がないわけではない』
『どういうことだ?』
『我々、精霊に使えし力の源はそれぞれ意思を持っておる。
また、それぞれは宿主の外に出ると魔法具となり
宿主の力になることができるのだ』
『あぁ、それなら知っている。
火の力は炎の剣に、風の力は蛇を模ったブレスレットに
なっているのを見たからな。
俺は前から、何故俺に魔法具がないのかを疑問には思っていた』
『そうか……。他の力は知らんが、
お主が普段使う魔法と魔法具を使うというのは全く別物なのだ』
『別物??』
『そうだ、いつもお主が使っている魔法は我が力を借りて、お主が操っておる。
それに対して、魔法具はお主の意思を我に伝え、
我がその意思に従って魔法を放つのだ。
それが、どういうことかわかるか?』
『ああ、なんとなく……。
お前が魔法具になるという事は主従関係ができてしまうということだろう?』
『そういうことだ。
だから、我はしばらくお主の中でお主の事を見つめてきたのだ。
お互いに信頼関係を築くにはお互いの事を知らねばならぬ。
短い間であったが、お主の事はよくわかった。
我が主として申し分なく、考え方もウンディーとほぼ一致しておる。
だから、ダイよ我をパートナーとして使って貰えないか?』
『そう言ってもらえると嬉しいよ。
もちろん喜んでパートナーになってもらおう!
ところでこの状況でどうしたらいい?』
ヴォーレはさらに続けた。
『魔法を使う要領で、我を手の先から押し出すのだ』
ダイはヴォーレの言う事を従い、手を前に突き出して力を込めた。
すると、白い閃光と共にダイの手に一本の杖が現れた。
そして、再びダイの頭の中に声が響く
『どうやら上手くいったようだな……。
ただ、我が力を全て外に出してしまうと、
お主の魔法そのものが使えなくなるので一部はお主の中に残っておる。
それでは、そなたが描くイメージをその杖に伝えよ。
さすれば、そなたのイメージ通り我が力で実現して見せよう』
ダイは竜を模った杖の持ち手部分を強く握り、
氷の剣をイメージして強く念じた。
すると、杖の先に氷の刃が現れた。
ダイが杖を牢屋の鉄格子に向かって振りかざすと、
鉄の塊がまるで豆腐を切ったように真二つに分かれた。
そして、その鉄格子の隙間から牢屋を出た。
しかし、すぐに見回りの兵士が現れ、
「誰だ!どうやって……」
兵士が全てを言い終わる前に、一気に間合いを詰めて鳩尾に一撃を加えた。
「申し訳ない」
そう言うと、気絶している兵士の懐を探り始めた。
そこから鍵の束を取り出し、何とか手錠を外し、
近くの棚からダイの剣を手に取った。
すると、背後から、
「ダイ殿?なぜこんなところに??」
ダイが後ろを振り向くと、
そこには別々の檻に手錠をはめられたウンディアーナとブルーノが
収容されていた。
「ブルーノ殿、ウンディアーナさん!詳しい話は後ほど!
まずはここを出ましょう」
そう言うと、牢と手錠の鍵を外して二人を救いだした。
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