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皇女の帰還 ―約束の耳飾り―  作者: 鶴見 日向子


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再会の時

「お兄様……すぐに帰って来るって言ったのに。私、ずっと待っていたのですよ」


クラリスの目に涙が浮かぶ。


「すまなかった……。そなたを父違いの妹だと思っていたのに、まったく血のつながりのない赤の他人だと知って動揺してしまった。そなたとどう接してよいのかわからなくなってしまって……。本当にすまない」


「亡きエリアスお父様が、とても私に尽くしてくださいました。公爵夫妻も。そしてフェルネス叔父様も。国王陛下も私の将来を案じ、帝国へ送り出してくださったのです」


「ずっとフェルネスが臣下に下って、そなたの側にいたと聞いた」


「はい。ずっと側にいてくれました。だけど、私が十三の時に帰国してしまいました。さみしかったです」


「もう離れても大丈夫だと判断したそうだ。それ以上は何も聞いていない」


「お兄様はどうしていらしたのですか?なぜ王太子に?」


カイレスは少し苦笑する。


「お兄様はやめてくれないかな。本当の兄妹ではないのだから。名前で呼んでほしい」


「わかりました。確かに今の私の兄は、グランディル帝国の皇太子殿下だけですから」


「そうか。皇太子殿下は勇ましい方だとお見受けした。そなたをかなり気遣っていたな」


「はい。最初、お兄様と呼べなくて……。だけど、笑って許してくださいました」


初めて「おにいさま」と口にした時の、皇太子の満面の笑顔が思い出される。


「強いのですが、お優しいのです。お姉さまのことも、とても大事にされています」


「ご両親はどうなのだ?」


「もう、本当の娘以上にかわいがっていただきました。私は本当に恵まれて育ちました」


「私も、公爵家に迎えられて、公爵夫妻に実の孫のように接していただいた。本当の自分の出生のことを知った時は、かなりの衝撃でしばらく立ち直れなかった。それもあって海外に飛んだ」


「カイレスさま……本当は、お母さまとエリアスお父様の子ではなかったと、ずいぶん前に叔父様から聞かされました。びっくりしました」


カイレスは静かにうなずく。


「私はね、前国王の子供だったのだ。今の陛下と公爵の、年の離れた腹違いの弟になる」


クラリスの目が大きく見開かれる。


「そしてね、本当の母は……公爵夫人の姪だった人だそうだ。前王のお手がついてしまったのだ」


カイレスは少し言葉を切った。


「続きは、そなたが完全に回復してから話そう。フェルネス叔父上も少し関係している」


「そうだったのですね……それは……とても驚かれたのがわかります」


クラリスは、自分が皇帝の姪だったと知らされた時を思い出した。

だが、あれとはまったく違う種類の驚きだっただろう。


「いきなり重い話を打ち明けてすまなかったね。驚いたであろう。もう休んでくれ。しかし、もっとすごい驚きもあるので覚悟しておいてくれ」


「さすがに、あの魔獣より驚くことはそんなにないと思います」


クラリスは笑った。


「そうだな。そなたは本当によくやった。助かってよかった」


カイレスはクラリスの手を握りしめた。


「妹だったら、抱きしめたいところだが、皇女殿下には失礼だ。我慢する」


カイレスは苦笑する。


「そうですね。私は構いませんが、国のお父様、お兄様、そしてお姉さまに何をされるかわかりませんよ」


「あの姉上様はすごかった。あの屋敷は修繕不可能で、結局取り壊されるそうだ」


クラリスは

(これからお姉さまを怒らせるのは絶対にやめよう)

と心に誓った。


「明日また話そう」


「はい」


カイレスは立ち上がりながら、複雑な思いを抱いていた。


薬を飲ませるためとはいえ口づけた相手がターシャであったことに、

ほっとするような、

しかし、どこかいけないことをしたような、

そんな気持ちだった。

読んでいただきありがとうございます


続きをお楽しみいただけますと幸いです

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