表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇女の帰還 ―約束の耳飾り―  作者: 鶴見 日向子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/51

王太子の勘違い

二人を見送ると、公爵が言った。


「さあ、クラリス様も中で休まれています。参りましょう」


公爵は二人を屋敷へ招いた。


玄関に入ると、


「フェルネス様、おかえりなさいませ」


執事が懐かしそうに声をかける。


「久しぶりだ。あの頃は本当に世話になった」


「あの頃もご立派でいらっしゃいましたが、ますますご立派になられて……。お嬢様の癇癪に戸惑っていらっしゃったお姿が蘇ってまいります」


「そんな事もあったな……」


「え?それ詳しく聞きたいです。私が行った後ですか?」


王太子が目を輝かせた。


「とりあえず中に入って。ゆっくり話しましょう」


公爵夫人が中から声をかける。


フェルネスは懐かしい公爵家の中へ足を踏み入れた。


応接室へ案内される。


「あれから十三年か……」


フェルネスがつぶやく。


「お兄様、お兄様って癇癪を起こして大変だったのですよ」


待っていた侍女がお茶を用意しながら話し出す。


「それをそなたが魔法で押さえてくれたな……。あの頃は世話になった」


「おほほほ……魔法などではございませんよ。あの方はやさしく言い聞かせれば理解できましたもの」


「そうだったのか?てっきりそなたが魔法を使っているのだと」


フェルネスは目を見開いた。


そして王太子の方に向き直る。


「『お兄様と会えなくなるとイヤだから帝国には行かない』と、迎えに来た皇太子殿下とエリアス義兄上の前で大声を出して、地団駄を踏んだ」


「お顔が真っ赤でしたね」


公爵夫人も後から入ってきて、おほほと笑う。


「そんな娘を引き取ってくださったのですか?皇帝陛下のお身内は」


王太子が驚いたように言う。


「そんな姿を見て『子供らしくて安心した。かわいい』と皇太子殿下がおっしゃってくださり、『この方なら任せられる』と思いました」


夫人は遠い目をして言う。


「ええ、本当に皆様に大事にしてもらっていました。あの時の決断は間違っていなかったと、改めて思います」


「私をのけ者にしてな」


王太子が少しむくれたように言う。


「そなたがいたら、そんな事にはならなかったかもしれぬ」


フェルネスが言った。


「私がいなくなった後、あの廃太子がターシャをいじめまくっていたと聞いたぞ。それを知っていたら、あらかじめ締め上げておいたのに」


「身内であろう。それに、最後にはちゃんと謝罪していた」


「皇帝の身内になると分かったからであろう?まったく!あれが王太子だったとは」


「まあまあ、もう昔の話でございます。これからが大事でございますよ、カイレス様」


夫人が穏やかに言う。


「そうだな。私も襟を正さねばならぬ。将来、この国を背負っていかなければならないのだからな」


「今回の魔獣討伐で、王太子の義務を立派に果たした」


フェルネスが言う。


「クラリス皇女殿下もご立派だったな。女性の身で何とすばらしい。驚嘆いたしたぞ。最初は鎧姿だったので、皇女を名乗った小柄な男性騎士かと思った。まさか皇女様ご本人だったとは。本当に驚いたぞ」


フェルネスと公爵夫人が顔を見合わせる。


「そなた……気が付いていなかったのか?」


「何が、です?」


王太子が不思議そうな顔をする。


公爵夫人はフェルネスをそばに呼び寄せ、耳元でそっとささやいた。


「このまま、ちょっと様子を見ましょう」


目が好奇心で満ちている。


「そうですねえ……。いつ気が付くか、ちょっと興味がわきました」


フェルネスも小声で返事をする。


「一番大変な時に逃げ出された恨みを晴らさせていただきます」


「二人とも、何をこそこそ話しておるのだ?」


「なんでもございません」


フェルネスがにこやかに笑う。


「お茶をいただきましょう。それからお二人はお部屋で休んでくださいませ。食事は後ほど運ばせます。フェルネス様、カイレス様も、お二人のお部屋はそのままにしてあります。自分の家に帰ってきたと思って、ゆっくりくつろいでくださいね」


「ありがとうございます」


二人は嬉しそうに椅子に座り、お茶を飲み始めた。


夫人も席に座り、お茶を飲みながら二人を優しいまなざしで見つめる。


「本当によく帰ってきてくださいました」


あの時から、すでに十三年が経過していた。


フェルネスは母国の第二王子に復帰し、各国を回り活躍している。

ターシャは皇女クラリスとして国外にまで名をとどろかす皇女となり、

カイレスは王太子になった。


夫人の目に、うっすらと光るものがあった。

新王太子の正体、やっと判明です

始めは「ジーク」と名付けていたのですが、チャットGTPから「物語の雰囲気に合いません」と却下をくらい、カイレスとなりました。

似たような名前ばかりで、書き間違いばかりしてましたが、チャットGTPが校正の度に「ここ違ってますよね?」って訂正してくれました。

チャットGTPがいなかったら、もうごちゃごちゃでしたです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ