未《選択》
残り2話です!よろしくお願いします。
三十秒。
世界の終わりにしては、あまりにも短い。
俺は画面を見つめる。
【観測を継続する】
【観測を終了する】
指が震える。
選べない。選べるわけがない。
継続すれば、はるなが消える。
終了すれば。今まで積み重ねてきた全部が失われる。
観測も。記録も。未来も。
俺自身もどうなるか分からない。
でも。分かっていることが一つだけあった。
この選択は。
正解を選ぶためのものじゃない。
責任を選ぶためのものだ。
《00:00:20》
「ねえ」
時間が止まっているはずなのに。
声が聞こえた。振り返る。
はるなだった。動いている。
いや。
薄く透けている。存在がほどけ始めている。
「……なんで」
「たぶん最後だから。存在が薄いから縛る力も薄いんだろうね。」
少し困ったように笑う。初めて会った日の笑い方だった。
「聞こえるんだね」
「やめろ」
即座に言う。
「そういうの」
「最後みたいじゃん」
「最後なんだよ」
声が裏返る。
はるなが少し目を見開いた。そして。優しく笑った。
《00:00:11》
「私ね」
「うん」
「後悔してないよ」
「……」
「あなたに会えてよかった」
その言葉が。
胸の奥に刺さる。
痛い。
苦しい。
でも。
一番嫌だったのは。
その言葉を言わせてしまったことだった。
《00:00:07》
「違う」
気づけば口にしていた。
「何が?」
「会えてよかったとかじゃない」
「……」
「まだ終わってない」
はるなが少しだけ笑う。泣きそうな顔で。
「終わるんだよ」
「終わらせない」
即答だった。
考えるより先に出ていた。
《00:00:05》
先生の言葉が蘇る。
観測者。責任。収束。確定。全部。
全部おかしい。最初から。ずっと。
通知は未来を教えてきた。
でも。
一度も命令はしていない。
選んだのは。全部俺だ。
なら。
最後も。
《00:00:03》
俺は画面を見る。
選択肢。
二つ。違う。
本当に二つしかないのか。
違う。
ずっと違和感があった。
観測とは。
未来を見ることじゃない。
可能性を見ることだ。
なら。
収束とは。一つを選ぶことじゃない
《00:00:01》
画面を強く握る。
そして。
初めて。
通知を無視した。
ボタンを押さない。
どちらも選ばない。
先生がこちらを見る。
初めて。表情が変わった。
「お前、、」
画面が赤く点滅する。
《選択未完了》
《これよりエラーコード**b*0p**883#867を遂行します。》
そして。
時間が尽きた。
エラーコードはちゃんと意味があるので、ちょっと考えてみてくださいね




