表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/24

【第23話 覚醒の剣】


シノはその日、激しい葛藤の中にいた。

闇の帝の脅威、ジルの死、そして自分自身の未完成な力。

心の中の怒りと悲しみが渦巻き、抑えきれない感情が胸を締め付けていた。


「こんな力で……大切な人を守れるのか?」


銀色の髪は風に揺れ、だが瞳は次第に深い闇に飲み込まれていく。

その漆黒の闇は彼の精神の混沌を象徴していた。


そんな時、静かに現れたのは七帝の一人、光帝ルクス=アルティシアだった。

彼女の金銀に輝く髪と澄んだ瞳は、まるで穢れなき光そのもののようであった。


「シノよ、暴走してはならぬ。力は制御こそが真の強さだ」


ルクスの声は冷たくもあり、深い慈愛を秘めていた。

彼女は両手に輝く光の剣を携えていた。


「これは、私の剣だ。お前に託す」


シノの心は激しく揺れ動く。

その剣が彼の覚醒を導く鍵となることを、まだ彼は知らなかった――シノの視線が光の剣に吸い寄せられる。

それは彼のために“用意されていた”としか思えない、純白に輝く刀身だった。


「これを……俺に?」

戸惑いを隠せず、シノは剣を前に立ち尽くした。


「この剣は“制御の象徴”だ。怒りや悲しみ、混沌の中にあっても、己の意志を見失わぬ者にのみ応える。――お前ならば、持つ資格がある」


ルクスの言葉が、心の深い場所に届く。

誰よりも非力だった自分。

誰よりも努力してきた自分。

そして――守れなかった師匠。


「……なら、応えるよ」

震える手でシノは剣の柄に手を伸ばした。


その瞬間――


光が、彼を包んだ。


漆黒に染まりかけた髪が、なお深く染まっていく。

だが、ただの暴走ではない。

その黒は、闇ではなかった。

光の中にある深淵――静かな、意志を宿した漆黒。


剣が彼の中の“なにか”と共鳴する。


――風が、揺れる。

まるで世界が彼に膝をつくように、空気が屈服した。


「……見せてみろ。お前の覚醒を」


ルクスの言葉に応じるように、シノが一歩、前に出る。


「俺は、もう……逃げない」


次の瞬間――


“風”が爆ぜた。

それは斬撃などというものではない。

大気そのものを裂く、支配の一閃。

未完成だった“魔力操作”が、剣を媒介にして完全な形へと至った。


敵の闇の魔獣たちが襲いかかる。だが――


シノは剣を構えたまま、ただ一呼吸するだけで、風が全てを切り裂いた。


「……これが、俺の――」


彼の言葉の続きは、轟音にかき消される。


戦場は一瞬で変わった。

劣勢だった仲間たちは目を見張り、ジークも驚きに目を細める。


「完成したな……」


ルクスは満足げに微笑み、シノに背を向けて歩き出す。


「だが忘れるな。お前の戦いは、まだ“始まった”ばかりだ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ