第19話、湖畔の七帝会議 — 静かなる波紋
魔法学校の北に広がる静かな湖、そこに七帝はそれぞれの威厳をまとい集った。湖面は風もなく鏡のように世界を映し出し、しかし彼らの間に漂う空気は張り詰めていた。
水帝アクア=リュミエールは優雅に立ち上がり、清らかな声で議を始めた。
「皆様、お忙しい中お集まりいただき感謝いたします。今回は闇の帝の動きが活発化し、魔法学校にも危機が迫っているという重要な議題です。私から会議を進めさせていただきます。」
彼女はそっと水の分身を浮かべ、各地の情勢を映し出す。分身はアクア自身の魔術によるもので、彼女の指示ひとつで自在に動き、情報を集める頼もしき存在だ。
風帝ユリウス=ヴェンティスは鋭い視線でシノ=グリモワールを見据え、冷ややかな声を響かせた。
「シノ。貴様の魔力量の少なさには正直懸念を抱いている。だが、それだけが全てではないのだろうな?」
彼の言葉は厳しく、反論を許さない威圧感があった。
自然帝シルヴェル=グリーンハートは整った顔立ちのまま、冷静に言葉を継いだ。
「ユリウス殿の言は理にかなっている。ただ、シノの魔力操作に関する才覚は、我々が軽視すべきものではないと思う。彼の技術はこの時代の新たな可能性を示しているのかもしれない。」
炎帝カイ=アシュラは堂々と立ち、落ち着いた声で発言した。
「我もこの若者の力に期待している。己の信念を持って戦う姿勢は、真の強者の証だ。」
雷帝レイナ=ケラウノスは静かに頷き、鋭くも優しい目でシノを見つめた。
「まだ貴様のことは詳しく知らぬが、その戦いぶりは噂以上だ。今後の成長を楽しみにしている。」
闇帝の動きを警戒しつつ、七帝の空気は徐々に結束を固めていった。ジーク=フリートは控えめに存在感を放ち、闇の者たちへの対策の重要性を静かに示した。
シノは重圧の中にあっても決してひるむことなく、握った拳をそっとほどいた。魔力量は少ない。だが、彼の魔力操作の才は誰にも負けない。
これが新たな戦いの幕開け。七帝と共に世界の均衡を守るため、彼はここにいる。




