y19.戦争
何日かが経ち、兵士達の進軍の準備も兵器の整備も終わった。
デルセンとの約束通り私は軍の最後方でついて行く。
視界には投石器と爆弾。そして大勢の武装した兵士達。私の隣にはフレイ。挨拶や会話はしているものの、やっぱりあれからなんだか気まずい。
それでも私のやる事は変わらない。そりゃ私だって止められるなら止めたい。だけど、今は昔とは違うんだ。襲ってくるなら駆除しなければならない。
それにやっぱり魔物達は邪魔になる。
たとえ魔物達にとって、いや客観的に見て悪いのが人間だろうと、みんなを守る事が私の正義だ。
馬鹿でかい笛の号令と共に兵士達が一斉に投石器を森に向かって押して行く。
ついに進軍が始まった。作戦の事前説明によると森の木々を爆弾で吹き飛ばしながら進んでいくらしい。
森が燃えるのはもったいないことだが木があると投石器は進めない。
今日は進路の確保、魔物に遭遇すれば掃討。
そして、明日本格的に攻め込む手筈だ。
森の前に付き、投石器に兵士達が爆弾を装填していく。
撃て!という掛け声と共に一斉に投石器が森へ爆弾を投げ込んだ。
凄まじい轟音と衝撃。木々が吹き飛び、黒煙が天へ昇る。
爆炎は周囲の木も燃やしていった。
進路の消火活動が行われ、死んだ木々を兵士達が退けて投石器の道を作る。
それを何度も繰り返し、森を焼き払っていった。
魔物も恐れたのか出てくる事はなかった。
何事もなく森の中腹辺りまで進路を確保して野営用の陣を引く。
明日からはこの陣から森に生息するオークとゴブリンの巣を順番に制圧して行く予定だ。
陣には投石器と爆弾、そして見張りの兵士達。見張りは交代制で常にかがり火を焚きながら周囲を見張ってる。
私は投石器や爆弾に異常がないかチェックしていた。
うん、うん、絶好調。雨さえ降らなければ明日も問題無さそうだ。
チェックを終え、野営用のテントへ入る。
野宿なんてあのジャングル以来だ。
あの頃はこんな事になるなんて夢にも思わなかったな……
この投石器に爆弾。そして武装した兵士達。ゴブリンやオークじゃ相手にならないだろう。
出来れば逃げていて欲しい。それなら誰も傷つないで終われるのに。
でもそれはエゴか…私達の方から侵略してるんだ。
あの日から考え事は尽きない。でもどれだけ考えてもどうにもならない。
もう一度平和な世の中が訪れればいいのに。
でもきっとこれはもう叶わない願いなんだろう。未だに気持ちがふらつく自分が嫌になる。
一体私はどうすれば……
私は目を閉じ、考えるのをやめた。




