m13.二つ目の領地
案内されて向かった深い谷の底にはハーピィ達の集落があった。少し薄暗いが一応太陽の光は少し届いている。
そこでウチらは座り込み、レイラと向き合っていた。
「それで、詳しく聞かせてくれるかい?」
そう尋ねるレイラにウチはグリフォンとの交渉、これまでのいきさつ、目的を話して協力して欲しいと伝えた。
「話は分かった。見た通りここは何も無くてね。アタシ達も苦しくなって来てたところさ。
そこにグリフォン共を追い払う手間が無くなる上に食料を分けてくれるなんて言うなら大歓迎さね。
でも一つ気になる。ヘルライガー、アンタはそれでいいのかい?
今更人間と仲良くしようだなんて。」
レイラはペルに向かってどこか心配しているように聴こえる声色で質問を投げかけた。
「無論だ。今アヤと共にいる事が答えだろう。」
ペルはそれに真っ直ぐレイラを見つめて言った。
レイラはウチとペルを交互に見た後、
「…………どうやら愚問だったようだね。
良いだろう!アタシ達ハーピィもこれからアンタ達の傘下に加えてもらう!!
よろしくね、アヤ様。」
笑顔でそう言ってくれた。レイラはペルが話してくれた昔の事なんか知ってるんやろうか。
まあとにかくこれで仲間が増えた!
「ありがとう!助かるわ!!
こっちこそよろしくな!レイラ!!」
ウチも笑顔で答える。なんかお姉さんって感じで嬉しいなー。
「そうと決まればグリフォンの所に戻るんだろう?
あの岩壁は飛べなきゃ骨が折れる。アタシ達が運んでいこう、ヘルライガーは重いから谷の上ででも待ってるんだね。」
「いや、ダメだ。私が連れていく。
目を離す訳にはいかん。」
ペルの断固譲らない意志を感じ取ったのか両手を上げる仕草をしてレイラは
「そうかい。ならアタシもゆっくり付き合おうかね。」
と言った。
「ついてくんの?」
ウチがそう尋ねるとレイラは笑顔で答えてくれる。
「アタシが一緒の方が話が早いだろ?
そのあとお仲間さん達の所にも挨拶に連れて行っておくれよ。」
「そうか!ありがとう!!
ほんじゃあ早速行こか!!みんなええ奴やから気に入ると思うわ!!」
「それは楽しみだね。期待してるよ。」
そう言って笑うレイラと一緒にまた谷を駆け上がり、岩壁を登る。今日だけで岩壁登ったり降りたり、谷降りたり登ったり。ウチは背中乗ってるだけやからなんともないけどペルが心配になる。
「大丈夫?ペルしんどない?」
「問題ない……この程度……造作もないことだ。」
ちょっとだけ息切れとった。気付かん振りしといたるか…。
無事岩壁を登り切るとグリフォンの族長、ホルスが待っとってくれた。
「どうやらハーピィとの交渉は上手くいったらしいな。」
レイラを見てホルスはそう言った。
「すんなり受けてくれたわ!あんたらは?」
「受けるしかあるまい、ハーピィとの交渉が決裂していれば断っていたが。」
ホルスは渋々といった感じだが一応承諾してくれるみたいや。
「まあ当然さね。アタシ達の所に攻めてくればアヤ様が守ってくれるんだ。」
「そういう事だ、我等グリフォンはこれよりアヤ様の翼となろう。」
二人がウチに視線を向けてくる。それを見てウチは込み上げる達成感を声に変えた。
「よっしゃああ!!みんなよろしくな!!
こんなに上手くいくなんか思ってなかったわ!」
「勢力が大きくなったからな、断って敵対も出来なかろう。
グリフォンとハーピィも加わった。
これからもう少し楽になっていくだろうな。」
「そうやったらええなー……そうや!!
はよみんなに教えたらな!!」
グリフォンとハーピィが仲間になったって教えたったら森の交渉もすんなり行くかもしれん!
そう思い立ったがホルスがそれを止める。
「今日はもう遅い。私の集落に止まって行くのが良いだろう。
明日は私もついていく。今後の取り決めもあるしな。」
まあ確かに言う通りや。急ぎたいけど休むんも大事やなら特にペルは今日疲れとるはずや。
「そやな、お言葉に甘えさせてもらうわ!」
「恥ずかしい事に食料不足で大したもてなしは出来んがな。」
ホルスは冗談っぽくそう言って集落の奥へ案内してくれた。
「ええって!泊めてくれるだけ全然助かるわ!」
ウチらはそのままグリフォンの集落に泊めてもらって食事を済ませ眠った。
明日みんなに成功したって言うん楽しみやなー!
トレントのとこ行くとか言うてたっけ?
やっぱちょっと心配やな。もう着いてるんやろか……




