y13.爆弾
朝目覚めて、水を汲みに行き。
そのあと狩りに出掛けて眠る。
そんな生活を10日も続けていると、私もすっかり町に馴染んできた。
たがもうそろそろヤバい。
私は未だに一度も狩りで矢を当てたことが無いのだ。
さらに狩りの途中たまに魔物がでる。
ゴブリンだとかオークだとか典型的なやつだ。
食えない上に襲ってくる厄介者。
私は狩りの途中、一度そいつ等に連れ去られかけた。
みんなが助けてくれなかったらと思うとゾッとする。
そんな事もあって私は迷惑ばかりかけている。
今はみんな笑ってくれているがいつクビになってもおかしくない。
なので道具作りで貢献するべく今日は狩りを休んだ。
午後の狩りで貰えたお金は家に、午前の狩りの分で貰えるお金は自分用に貯めていたので、実はもう結構お金はある。
私は道具屋へと向かい、色々購入した。
そして、港に停めたままの懐かしいいかだ船に1度戻った。
みんな忘れてるかもしれないがサバイバル時代にジャングルでとった薬草を取りに来たのだ。
私は店で買ったすり鉢で薬草をすり潰し、塗り薬を作った。
これは狩りの時にだれでも持って行けるように町外れの狩人の詰所にでも置いておく。
次はこれだ。これがメイン。
私は森へ向かった。
狩りの時に能力を使って色々見ておいたのだ。
この森には使えるものが沢山ある。
鉄を加工する技術がまだまだ未発達なせいで流石に銃とかは作れないが矢の威力を底上げ出来そうなのだ。
まず木の実。紫の怪しい実を細くとがった草と合わせてすり潰す。
出来た汁を、家で風呂を沸かす時に出来る木炭と混ぜて、乾燥させる。そして粉末状にすればあら不思議、火薬のようになるみたいだ。
矢に仕込めば魔物を追い払うのに使えるだろう。
爆弾にしてもいい。
私は1日中火薬を作り続け、次の日狩りに持って行った。
獲物相手に使うと肉が傷んでしまう。
邪魔して来る魔物に使うんだ。
「来たぞ!ゴブリンだ!」
普段は見たくもないが今日は会いたいと思っていたぜ!
「ギイ、ギギギ!!」
声を聞き、すぐ体をそちらへ向ける。
この間はよくも恥かかせてくれたな!くらえ!!
弓は当たらない。だから爆弾だ。当たらなくてもビビらせられたら充分だ。
火打ち石を打ち合わせ、乾燥させた草を編んだ導線に火を付けゴブリンの方へと放り投げる。
爆弾はゴブリンの近くへと落ち、ほんの少しの間。爆音と共に小さい爆発が起き、ゴブリン達はビビって逃げていった。
「どうだ!!私の新兵器!!」
大成功だ!!テンションが上がりきった私はついガッツポーズで叫ぶ。が、我に返った。
しまった、興奮してつい素で喋ってしまった!
恐る恐る恥ずかしさで赤くなった顔を男達の方へ向けると口を開けて呆然としていた。
どうやらビビったのはゴブリン達だけじゃないらしい。
「なんだ今の!凄いな!!いつの間にそんなものを作ったんだ!」
少しシーンとなった後、狩人達は口々に褒めてくれた。
良かった、素で喋ったのは触れられなかった。
みんなとても褒めてくれた、これで魔物は怖くないだとか、
一緒に働いてくれて良かったとか。
どれも日本じゃ言われたことも無かった言葉達。
私はこっちに来て少しは変われたのかな……。
その日の報酬はいつもより少しだけ多かった。
活躍出来たと言う事だろう。単純に嬉しい。
私が作った爆弾の噂は瞬く間に広がり、家まで売って欲しいという人が押し掛けて来るほどだった。
中には作り方を聞いてくる人もいたが、こんな人気商品だ。
悪いが誰であっても教えるわけにはいかない。危ないしね。
だが爆弾の噂はたまに港町へやってくる行商人達によって隣町にまで広がっていた。
これが私と彼女との出会いのきっかけとなる。




