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異世界ALIVE  作者: 路地裏
19/41

y12.名演


 私達は狩りを終えて森から町に戻っていた。

 男達は仕留めた大きな獲物を、さらにとても大きな木製の板の底に長い棒を取り付けた物に乗せ、数人で担いで町まで向かっていた。



 うわー……すご……。

 なんか御神輿(おみこし)みたいで日本のお祭り思い出すな。

 服も甚兵衛みたいで雰囲気力高いわ。






 見とれていたが内心私は落ち込んでいた。なぜなら結局私は狩りの最中に一発も矢を当てることは出来なかったのだ。

 町に着いて肩を落としながら帰ろうとすると


 「お嬢ちゃん!これこれ!!今回の取り分だ!!」


 ダンディーなおじさんが私を呼び止め、手に持っている小袋を私に渡してきた。


 「毎日午前と午後で2回狩りにでるからな。

 来れる時はいつでも来るといい。」


 そう言って親指を立てて笑顔を向けてくれる。


 「い、いいんですか?私なんの役にもたてなかったのに……」


 「最期にイノシシ見つけただろう!弓も悪くない!

 またいつでもおいで!!」


 な、、この町の人はみんなこんなに優しいのか?

 てかこの世界でもあれはイノシシって言うんだ……。


 「あ、ありがとうございます!!また明日も来ます!」


 私は満面の笑みでそう返して家路に着いた。

 良かった、勇気を出して声をかけて。勇気を出して狩りについて行って。

 私はもう日本でただ腐ってた頃とは違うんだ。

 なんだか自分に自信がもててきた。



 それから私は少し遅いがお弁当を食べて市場に向かっていた。

 午後の狩りはせっかくだが行かなかった。やりたい事があったのだ。


 私はこの世界で初めてもらったお給料で鉄製のナイフ、斧、キリ、木の板等を買った。




 ……スッカラカンになってしまった。


 いやまあこんなに買えるとは思わなかったけど……結構入ってたな。

 ま、まあいい!明日も頑張れば良いだけだ!!


 私は買った道具を持ってまた森へと向かった。


 慣れた手付きで木を切り倒し加工していく。


 木材を井型に固定し、上に木の板を貼る。

 それとは別に分厚いハムみたいに丸く切った木の中心に、きりで穴を開け、細長くて丸い木の棒をその穴に通してさっき作った井型の木枠の底に取り付ける。


 台車の完成だ!!

 車輪の形がちょっと歪だから走る時ガタガタいうけど……

 ま、まあ手で物を運ぶよりはかなり楽になるはずだ!



 何故私が台車を作っているかというと、水汲みの為だ。

 これなら私1人で瓶を二つ運べる。


 その後も車輪を作り続けた。



 なんとか間に合わせたい……。



 車輪は無事必要な分完成した。


 そこから少し、森の出口で待っていると午後の狩り部隊が帰ってきた。

 そう、私はあの御神輿(おみこし)スタイルに終止符を打つ為に車輪を量産していたのだ。



 「おー、今朝のお嬢ちゃん!こんな所で何やってんだ?」


 「あの!良かったらこれ使ってください!」


 「ん?なんだこれ?」


 私は御神輿の下に車輪を取り付け、みんなで引っ張れるようにツタを結び付けた。


 「おお!こりゃあいい!!良くこんなの思い付いたな!!」


 いや、今まで無かった方が異常だよ……。

 まあ気に入ってくれたみたいで良かった。




 そのまま私は狩りの部隊と一緒に町まで戻った。

 そろそろ帰ろうかと家に向かった時、またダンディーなおっちゃんが車輪のお礼だと、午前獲った肉とお金をくれた。


 これはいい土産が出来た。

 矢は当たらなかったけど貢献出来た気がして嬉しい。

 これが達成感だろうか。今まで人にどう見られるのかが怖くて何も出来なかった。


 それなのに私はこうして人に喜んで貰える事が今出来るようになった。

 来た時は辛かったけど、今私は間違いなく生きてるって実感出来る。




 機嫌も調子も最高潮のまま下手くそなスキップ気味で家へと帰る。

 ドアを開けると


 「おかえり、ミサキちゃん。どうだった?」


 お婆ちゃんが尋ねてくる。


 「仕事見つかったよ!狩りに混ぜてもらってきた!

 これつかってね!」


 私はもらった肉とお金を全部渡した。

 家計に貢献したいからね。


 「あらあら!凄いわねえ!ありがとう。美味しそうなお肉だね。

 でもお金はいいわ。ミサキちゃんが使いなさい。」


 そう言ってお婆さんはお金を返してくる。


 ふん、甘いな。このお人好しの二人の事だ、そう来る事は分かっていた。

 帰り道に散々シュミレーションした私の演技を見せてやる!


 「そ、そんな……!私は二人にとても感謝していて、少しでも家計の足しにしてくれればと………

 辛い狩りにも……涙を流して耐えたのに……受け取って貰えないなんて………」


 私はオーバーに膝から崩れ落ち、泣き真似をした。

 アカデミー賞並の演技力だ。狩りじゃなくて女優もアリだった。


 「そ、そんな。ミサキちゃん、泣かないでおくれよ。

 ありがたく貰っておくよ。た、助かるねえお爺さん。」



 「そ、そうじゃな婆さん。今朝の水汲みといい、台車とやらといいほんとうに助かるわい。」


 二人とも少し慌てながら私を宥めるように受け取ってくれた。

 ふっふっふ、、これが幼稚園の時、三匹の子豚で主演を張った実力だ。




 その後、お風呂を使わせてもらい、食事の時にはもらってきた肉がならんだ。


 やっぱり自分で獲ったと思うとなんだか美味しい。

 私、矢当てれてないけど。



 食事を済ませ、すぐに寝る準備をしてベッドに入る。

 明日も朝は早い。狩りも2回とも参加しようと思ってる。



 私はもっと役に立てるように弓を当てるイメージトレーニングをしながら眠りについた。


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