y11.仕事
今日も朝早くに起きた。
自慢じゃないが私は朝がめちゃくちゃ強い。
こっちに来てからはほぼ日の入りと同時に起きてる。だが
「ミサキちゃーん、ご飯できてるよー!」
「はーい、すぐ行きます!」
この家の朝は私より早い。
「おはよう、ミサキちゃん。」
「おはよう、お爺ちゃん、お婆ちゃん。」
二人とももう起きて来ててテーブルにはご飯が並べられていた。
ご飯を食べ終わるとお爺ちゃんは町の井戸に水を汲みに行くらしい。
タダでご飯も部屋も提供して貰ってるんだ、何もしない訳にはいかない。
私も着いていく事にした。
井戸のある広場までは少し距離がある。
そこまで行きはいいが帰りがキツい。
水を入れている瓶が一気におもくなるのだ。
「ミサキちゃん、大丈夫か?わしがそっちを持とう。」
「い、いや!全然平気!
これぐらいなんともないよ!」
二人いるので家にある大きな瓶と小さな瓶を持って水汲みに行く。
勿論私が大きい瓶を持って帰るんだが、これはなかなか……
でも変わってもらう訳にはいかない!
これは私の、居候なりの意地なのだ!!
はあ……はあ……やっと帰ってきた……。
凄いなお爺ちゃん。毎日これやってんのか……。
「ミサキちゃんが着いてきてくれるおかげで、あと1回往復するだけで良さそうじゃな。
いつもは3往復するんじゃが、助かるわい。」
…………!!!!?
え、嘘でしょ……。
1回でこんなにヘトヘトなのに!!
お爺ちゃんはそう言いながら家の横にあるとても大きな瓶に汲んできた水を移していく。
「さあ、行くとするかの。次はわしが大きい方を持とう。」
「い、いやいやいやいや!!
私は全然大丈夫!!こっちを持たせて!!」
や、やってやる!!やってやるさ!!!
私だってジャングルで丸太を引きずり回っていたんだ!!
ゼェ……ゼェ……し、死ぬ……。
帰ると同時に息を切らして仰向けに倒れ込んだ。
「これで水汲みは終わりじゃ、お疲れ様。助かったわい。
仕事を探しに行くんじゃろう?
婆さんが弁当を作っておったぞ。持って行きなさい。」
おじいさんが私に優しくそう言ってくれた。
「ありがとう!貰ってくる!」
私はそう言って体を起こし、お婆ちゃんの方に行くと
「仕事見つかるといいわね、気を付けて行くのよ。
道に迷わないようにね。」
「分かった。ありがとう!いってきます!」
私はお婆ちゃんからお弁当を受け取ると町の外れへと向かった。
三人で朝御飯を食べている時に聞いたんだけど、
男達がそこから近くの森まで狩りに出ているらしい。
私はその狩りに混ぜて貰おうという訳だ。
え?何故狩りかって?
私はあのジャングルを生き抜いた事で自然との調和に目覚めたのだ。
サバイバルには自信がついたし狩りの経験だってある。
まあ獲ったことあるの小さい蛇1匹だけだけどね。
町の外れに着くと小さな小屋の前に、弓やら槍を背負った男達が集まっていた。
「あ、あのー、すいません。これから狩りに行くんですか?」
勇気を振り絞って男達の一人に声をかけてみる。
「ああそうだ!ちょうどこれからでる!
お嬢ちゃん応援か?ありがとうな!」
豪快に笑いながらそう言う男に私は勇気を振り絞って言った。
「い、いえ!私も参加させて欲しくて……」
少しシーンとした後、男達は一斉に笑いだした。そして
「はっはっは!!お嬢ちゃんが狩り?
それはちょっと無理があるだろう!手伝おうって気持ちだけ貰っておくよ!」
男はそう笑い飛ばし、全然相手にしてくれない。
な、舐めやがってええ!!
私がどれだけ過酷な暮らしをしてきたと思ってる!!
もう決めた!こうなったら絶対意地でも着いていく!!
「働かせて欲しいんです!お願いします!!」
私は懸命に頭を下げた。
「しかしだな……森の中は危ない。魔物だって出る。
若い娘を連れていくわけには……」
男が気まずそうになんとか私を帰そうとしていると
「まあいいだろう、見慣れない顔だし何やら訳ありのようだ。
1度連れて行ってやるといい。」
奥から現れたなんかお偉いさんっぽいダンディーな男がそう言った。
「途中で弱音を吐いても終わるまでは帰ってこれんぞ?」
やたらダンディーにニヤリと笑いながら私に話しかけてくる。
「はい!お願いします!!」
良かった、話の分かる奴がいた。
私はお弁当しか持ってきてなかったから弓を貸してもらった。
私が作ったものよりちゃんとした弓だ。
結局ジャングルじゃ一度も当てられなかったけどこれならいける気がする!!
街を出た私達は森についてからしばらく辺りを探索すると獲物を見つけた。
大きなイノシシだ!
「いたぞ!撃て!!」
男が叫ぶとみんな一斉に矢を構え、イノシシに向かって放つ。
私も少し遅れてしまったが矢を撃った。
しかし……私の矢は当たらなかった……。
私以外の矢が当たって弱ったイノシシを槍で男達が仕留める。
「惜しかったなお嬢ちゃん!!思ったより筋はいいぞ!!」
おっさんが肩をポンと叩いて励ましてくれる。
そんな慰めいらねえ!!
次こそ当ててやる!!
それからの狩りでは何人かは仕留めたイノシシの見張り、残りで他の獲物を探しに行くらしい。
私は見張りにされそうだったが、どうしても狩りの方に行きたかった。
悔しいのだ!矢は上手く飛ばせてるはずなのに!
私はワガママを言って狩りの方に入れてもらった。
あのジャングルを生きて決めたのだ、私はもう自分のやりたい事に遠慮はしない。
しばらくして次の獲物が見つかる。
大きな鹿だ!角がカッコイイ!!
「撃て!!」
今度は遅れずに掛け声と共に矢を番え、放つ。
惜しくもやはり当たらなかった……。
「今の獲物は素早いからな、慣れてても当てるのは難しい。
そう気を落とすな。」
ダンディーな男が慰めてくれるが私はもう悔しくて仕方なかった。
仕留めた鹿をイノシシのところまで運び、再び獲物を探す。
次の獲物を仕留めたら今回の狩りは終わりらしい。
次がラストチャンスだ!絶対!絶対に当ててやる!!
意気込んで辺りを探索していると森の木々が少し揺れる。
そのすき間から大きな黒い影が見えた。
「いました!!獲物です!」
すぐに叫んだ。
やった!!!私が一番に見つけられた!
「よくやった!!イノシシか!!構えろ!!」
私は矢を構え、集中して狙いを定める。
「撃て!!」
掛け声と共に私は獲物に向かって真っ直ぐ矢を放った。




