表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ALIVE  作者: 路地裏
15/41

m6.他種族


 「……きろ……起きろ……」


 夢うつつのウチの耳に声が少し聞こえる。ペルがウチのこと起こしとるんや。


 「んああぁぁ……もうちょい……だけ……。」


 前日の疲れもあってぐっすり眠っとったウチに早起きのペルが話しかけてくるけど全く起きれない。


 「仕方ない。」


 呆れたようにそう言うとペルは上を向いて大きく口を開き、叫んだ。

 グオオオオオオ!!!!

 強烈な爆音やった。木々を揺らすような強烈な咆哮。

 それがウチの目覚ましやった。


 「ああああああ!!!もう!!!!鼓膜破れてまうわ!!」


 強烈な音量にガバッと体を起こして叫んだ。


 「お前がいつまでも起きないからだ。」


 あー、まだ頭ガンガンするわ……。


 「それよりあれを見ろ。木の上に卵がある。」


 ペルが指す方を見上げると確かに何かの巣の中に卵が見える。


 「卵ぉ……?それがどないしたん?」


 「とってきてくれ。私が行くと卵が割れるか枝が折れる。」


 どうやら卵が食べたいらしい。

まあなんか初めて頼られてる気がするしちょっと頑張ろか!


「分かった!任しとき!!」


 ウチはペルの背中の上から、木に登り慎重に卵に手を伸ばした。


「よっしゃ!とったで!!!」


 木登りは得意や、昔ようやったからな。


 ウチは卵の殻を割って中身をペルの口に入れたる。それから自分も生で卵を食べた。


 「初めて食べたがそれほど良いものでもないな。」


 なんとも言えない表情でペルがそう言う。


 「まあ生やったらなー、いつか玉子焼きでも食べさしたるわ!」


 

 とても簡単な朝飯をすましてペルの背中に乗り込む。


 「さて、今日はどうするつもりだ?」


 当てもなくフラフラと森を歩きながらペルが尋ねてくる。


 「せやなー、、山とかないん?上からこの世界見てみたい!」


 ええ景色も拝めるしなんか面白そうなとこも見つかるかもしれん。我ながら名案や!


 「山か……分かった。ちょうど近くにある。」


 ペルはそう言うと一気に駆け出して凄いスピードで山を登っていく。


 ウチはなんかもう慣れてきた……。


 そこからしばらく走ると


 「着いたぞ。」


 山の頂上へとたどり着いた。


 おー、よう見えるわ!!

 あっちが最初の荒野で、他にも森みたいなとことか、沼地とか色々見えた。

 でも人間の町みたいなんが見当たらん。


 「人間の町ってどこにあんの?」


 「あの森を抜けてまだ先だ、ここからは見えん。」


 ペルが見渡しきれない森を指してそう言った。


 「ひえー、めっちゃ遠いな!」


 「………やはり町に行きたいのか?」


 ペルは寂し気な声で聞いてくる。

 ちょっと服とかあったら欲しかっただけやねんけどな。


 「全然!ペルとおる方が楽しいやろうしな!

 それと、一緒におるって約束したやん!」


 「……そうか。」


 ペルの尻尾は揺れとった。


 しばらく景色を堪能した後、ウチらは山を降りた。


 「降りる時は絶対ゆっくり行ってや!!」

 って釘刺しといたからか、ペルは歩いて山を降りていた。



 頂上からちょっと降り斜面がなだらかになり始めたとこぐらいで何かの叫び声が聞こえてくる。


 「「うおおおお!!」」



 なんかえらい鬼気迫るような雄叫びや。


 「ペル、誰か叫んでんねんけど。」


 気になってペルに話しかけてみる。


 「恐らく魔物達のナワバリ争いだろう。

 あらゆる種族同士が、食べ物の豊富な土地を巡って争っているからな。」


 なんやて!えらいこっちゃ!


 「ケンカしてんのか!止めに行く!?」


 ウチが慌てて尋ねると呆れたようにペルがこたえた。


 「何故そうなる……。無意味に首を突っ込むものじゃない。それに止めた所でまた始まるだけだ。

 どこの種族も、より勢力を伸ばしたがってる。」


 「ほんじゃあ、ずうっと誰かがケンカしてんのか…。

無くされへんの?」


 そんなんあかん、なんかええ方法無いんか。そう思い尋ねるとペルは少し考えて答えてくれた。


 「そうだな……。ナワバリ争いをしてるのは知性のある魔物達だ。

 何処かの勢力が、その知性のある魔物達を、統一して管理出来れば無くなるかもしれんな。

 まあそんな日はもう来ないだろうが…。」


 なんや!方法あるんやん!


 「分かった!!じゃあそれしよ!!

 とりあえず今ケンカしてんの止めに行くで!!」


 思いついたら即行動!さっさと行かな誰か怪我してまう。


 「何を馬鹿な……。そんな事出来るわけが…。」


 ウチの提案に馬鹿げてると言わんばかりペルが言う。けど、


 「そんなんやってみんと分からんやん!!

 ウチは1人でも行く!!」


 興奮してつい強い口調になってもうた。

 でもケンカしてんの見るんはほんまに嫌いや。

 昔を思い出して耐えられん、だから絶対ほっとけん。

 真っ直ぐペルを見つめて必死に言うウチにペルは観念したのか首を横に振って


 「……………仕方ない。だが絶対に私から離れるなよ。

 しっかり掴まれ!」


 そう言ってペルは叫び声がする方まで一気に走ってくれた。


 どんどん近づき、叫び声の主が遠目にみえる。片方が人型のブタの群れ、もう片方が緑の小人みたいなんの群れやった。


 「オークとゴブリンだ。個々の力ならオークの圧勝だがゴブリンの方が数で押してるな。」


 「そんなんどうでもええ!!止めるで!!!」


 「捕まれ、突っ切るぞ!」


 ペルは二つの軍団がぶつかっとる最前線の真ん中まで一気に駆け抜けて、めっっちゃでっかい咆哮を上げた。


 戦っとった両方の勢力が何事かと動きを止める。


 「ウチはアヤ!!ケンカはそこまでや!!さっさと武器捨て!!!」


 ウチは戦場の真ん中で両方の陣営に叫んだ。


 「ニンゲン」

 「ナンデ ヘルライガー コンナトコロニ」


 「人間がヘルライガーと…どういう事だ」

 「一体何しにきた」


 口々に周りから疑問と戸惑いの声が聞こえる。


 「両種族の族長、前に出るがいい。出てこないのならここにいる全員引き裂いてみせるぞ。」


 それを無視してペルがそう言うと両方の軍から、他よりちょっとだけでっかくて貫禄あるのが出てきた。


 「これはこれはヘルライガー殿、何故このような所にいらしたのですか?」


 ゴブリンって言われとる方の族長が言った。他よりひと回り大きく流暢に話す。


 「それは私が聞きたいぐらいだが……」


 ペルはそう言って私に目を向けた。


 「ウチが説明する!物騒なケンカの音聞こえたから止めに来たんや!!」


 ウチはペルの視線に答えるように大声を出す。


 だが皆口をポカーンと開けてこっちを見るばっかりや。






 あれ?めっちゃシーンってなっとる……。なんで?


 ペルがやれやれみたいな感じで首を横に振って助け舟を出してくれた。


 「お前達が争うのが気に入らないらしい。

 ついては、これからお前達には、私とこの人間の傘下に入ってもらう。」


 傘下!?そんな話どっから出てきたんや!


 「馬鹿な!人間に従えと言うのか!!

 そんな事聞き入れられるはずが無いだろう!!」


 奥から出てきた立派な牙のオークの族長がそう言うと両方の軍から、

 そうだ、そうだって賛同する声が聞こえてくる。




 「うるさああああああああぁぁぁいい!!!」


 その声をかき消すようにウチはペルの咆哮にも負けんぐらい叫んだ。


 「別に従わんでもええ!とにかく戦うんをやめえ!」


 ウチ今生まれてから一番叫んどるわ…。




 「……ですが、アヤ殿……と言いましたかな?

 私共は増えてきた仲間を養うために領地を広げて食べ物を多く獲らなければ生きていけないのです。

 それは他の種族も同じ。争いは避けられないでしょう。」


 荒ぶっとるウチにゴブリンの族長が諭すようにそう告げてくる。


 「……あんたらって食べる物一緒なん?」


 ウチは二人の族長を指さして聞いてみた。すると今度はオークの族長が吠える。


 「一緒にするな!!我らの主食は野菜や植物だ!

 そこのゴブリン共は臭い獣の肉を食う!」


 なんや、じゃあ簡単や。


 「ほんじゃあ分け合ったら戦わんでええやん!そうしいや!!」


 ウチがそう言うと族長同士が目を合わせ顔をしかめた。


 「いやしかし……」


 「うるさい!文句は言わせへん!!もう決まりや!!」


 二人の族長の抗議の声を遮って強引に話を進める。

 二つの種族はどよどよとざわついていた。


 「ほんじゃあこれで仲直りや!ほら!握手しや!」


 そんなんお構い無しに強引に話を進めようとするウチをペルが止める。


 「待てアヤ。いくらなんでもそれじゃあ適当過ぎるだろう。

 せめて族長同士で納得のいく取り決めをするべきだ。どちらかに不満が残ればまた争いになる。」


 「取り決めって?食べ物交換するだけやろ?」


 「はあ、、、お前は本当に……。

 両方の種族の必要な量も分からないだろう。

 片方は少量でいいのにもう片方が大量だと割に合わない。他にも山程問題があろう。」


 ペルはまた呆れたように言った。確かにその通りや!


 「あー、そういう事な!ほんじゃああんたらで決めて!」


 ウチ頭良くないからその辺はようわからんし。


 「話し合え、、という事ですな……私達は構いません。

 逆らってもあなた方には敵わない……」


 「我等も応じるしかない。」


 二人の族長はペルを見て渋々といった形でとりあえず了承してくれた。


 「よっしゃ!案外素直やんか!

 ほんじゃあウチら昼飯食ったら戻ってくるから!」


 ウチらはそう言ってその場を離れた。




 しばらくしてウチとペルは離れた場所で昼食の準備を進める。


 「なあペル、上手いこといくかな?」


 いつも通り焼いた肉を食いながらペルに聞いてみた。


 「いくはずなかろう。今頃揉めている所だろうよ。

 まったく誰かさんの思い付きで……哀れな事だ。」


 ペルも肉に齧り付きながら皮肉を吐く。


 「そんなん言うてもしゃあないやん!

 ケンカしてんの見過ごされへんわ!!」


 荒ぶるウチを諭すようにペルが会話を切り返す。


 「ただのケンカとは違うであろう。だがまあ面白くはあった。

 分け合う等、魔物には無い発想だろうからな。」


 少し笑いながらそう言うペルにウチも舞い上がる。


 「そうやろ!ウチも我ながら名案やと思ったわ!!」


 「だがそう簡単では無い。万が一、上手くいったとしてその後に問題があればどうするつもりだ?」


 ペルがなんか聞いてくるけど聞こえんフリして話題を変える。


 「よっしゃ!食べ終わった!戻ろか!!」


 「……無視か、、何も考えて無いのだな。」


 ペルがやれやれと言わんばかりに首を横に振る。


 「まあ後の事は後で考えるって!なんとかなるやろ!」


 ペルはまたやれやれみたいなジェスチャーをしてウチを背中に乗せてくれた。




 よし!戻ろか!!上手いこといっとったらええけど…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ