m7.新勢力
昼食をすませてウチらが戻った時、まだゴブリンとオークは言い争っとった。
「我等は肉、お前達は植物だ!獲る労力が違う!!
量がちがうのは当然だろう!!!」
「それにしても違いすぎます。その量を求めてくるのな ら私達のほうにも、もう少し肉をまわしてもらわないと……」
聞こえてきた会話を聞いた感じあんまり上手くいってないみたいや。
「なんやまだ揉めてんのかいな、何が決まらんの?」
ウチは口論する二人に近づき話に首を突っ込んだ。
「おお、アヤ殿。私達には肉は少量、見返りには大量に植物をよこせと言うのです。」
「何を言うか!我等は動く獲物を狩るのだ!労力を考えれば当然の要求だろうが!!」
やっぱ量で揉めてんのかー、ペルの言う通りやな。
ウチと両方の族長とで、あーでもない、こーでもないって言いながらしばらく話し合っとった。
でもなかなか答えは出てこうへん。
「もういっそお互いの領地を共有してはどうだ?
それなら自分達の物は自分達で獲れよう。」
話し合いに飽きてそっぽ向いとったペルが不意に言った。
それや!!!流石ペル!!!!
「ほんまや!それでええやん!!
それやったらなんかあっても助け合えるしな!!」
「し、しかし我等はいがみ合っていた者同士、共同で過ごせば必ず問題が……」
オークの族長が気まずそうに言った。
「ですが確かに悪い事ばかりでは無いかもしれません。
もし……もしも本当に協力なんて事が出来るのならこの山も今よりずっと住みやすくなるでしょう。」
ウチらはまたあーでもない、こーでもない、言うて喋り出した。
「定期的に見に来てやろう。問題があればその時に報告するがいい。
あとの細かい取り決めは族長同士で決めるが良かろう。」
またそっぽ向いとったペルが言うた。
「じゃあ決まりやな!!」
「仕方ありませんな、私達はそれで構いません。」
「このまま話しても拉致があかぬ。我らもそれで良かろう。」
「ほんじゃあケンカせんと仲良くするんやで!
揉めたら見に来た時にちゃんと言うてや!!」
なんとかまとまりそうや。
「それでですがアヤ殿、私達から提案が。いや、提案と言うよりお願いがあります。」
ゴブリンの族長が改まって言う。てかこいつ見た目に似合わず喋り方めっちゃ丁寧やな。
「なんや?なんでも言うて!」
「争うのをやめろと言うのならオーク以外とも争うのを嫌うのでしょう?
ならばもし他の種族が攻めて来る事があれば守って欲しいのです。
そのかわりに私達ゴブリンは先程の話を飲み、あなた方の配下となります。いかがでしょうか?」
なんや、そんなことか。もとからそのつもりやった。
「ええで!配下なんかにならんでも守ったる!!」
なんにも考えんと気軽に返事するウチをペルがまた止める。
「いや、受けておけアヤ。もしお前がこれからも種族間の争いを無くすと言うのなら軍は必要になる。抑止力としてな。
そしてその多種族をまとめるリーダーもだ。
お前がそのリーダーになるのだ。これはその第一歩。
受けるべきであろう。」
ペルの言う事は分かる。でもウチにそんな大役務まるかな。
「リーダーか……ウチにそんなん出来んのかな?」
心の中の疑問をそのまま口に出した。
「争いを無くしたいのならやるしかない。だがもしここで受けるのならば途中で引き返せない。進むしかなくなるだろうな。」
正直そんな大層なこと出来る自信はなかった。ただ目の前で起きとるケンカを止めたい。ただそれだけやったけどウチはこっちで生きていくうえでこれ以上なく大事な判断を今迫られてる。
とはいえ一回首突っ込んだ時点でもう答えは決まっとるか。
「…………分かった!!じゃあ今日からウチがあんたらのリーダーや!!」
声をあげてそう叫ぶとゴブリン勢から歓声があがった。
「ちょっと待ってくれ!ならば我等も加えて欲しい!!
もしもの時ヘルライガー殿の力をお借りしたい!!」
慌ててオークの族長もそう告げる。
「勘違いするな。あくまでリーダーはアヤだ。」
「ウチはかまへんで!!大歓迎や!!」
そう言うとオーク達の方からも歓声があがる。
ペルのおかげで上手いこといった。ほんまに頼りになるわ!
でもリーダーやなんてやったはええけど何したらええんやろ。
ウチが悩んでるとペルが小声で耳打ちしてきた。
「とりあえず定期的に見に来ることと他の種族に襲われないようこの近辺をまとめあげる必要があるだろう。その旨を伝えればいい。」
なるほどな!ウチはペルの言う通りみんなに向かって話す。
「まあとりあえずケンカは禁止や!なんかあったらウチらが見に来る時まで保留。
他の種族が攻めて来たら協力してウチらがくるまで粘って!
あと細かいのはみんなで決めて!ウチらは近くの勢力をまとめあげる!」
「分かりました。感謝いたします。」
「うむ、任せてくれ。」
そうやってなんとか収まりが着く頃にはもう夕方やった。
みんなもう疲れとる解散ムードや。そんな中ゴブリンとオークが飯食わしてくれるって言うからお邪魔さしてもうた。
飯食いながら今後について話し合って、そのまま泊まらせて貰うことになった。
こうして問題はまだあるけどなんとか二つの勢力が味方になった。
魔物のリーダーやなんて上手いこと出来るか分からへんけどやったる!
争わんでも協力したらみんな幸せに生きていけるはずや!!
決意を固めていつも通りペルと一緒に眠りについた。




