見かけの醜さ
結局、その後美冬の携帯にたくさんの春輝の画像が保存されることになり、
撮られた春輝は完全に目が死んだ魚のような目になり、気味の悪い笑いを浮かべてうわ言のようにブツブツと「俺は男……。俺は男……。」と呟いていた。
「……さて!そろそろ迷宮組も出発の時刻であるから、私は着替えようと思う。見送りがあるのでな。
だから、外で待っておいてくれるか?ハルキ、爺や。」
「そうですね。行きましょうか。ハルキ殿。」
「……はい。そうですね。」
そして外に出る2人。
「可愛かったですね!春輝君!」
「顔は可愛いとは思っていたがあそこまで化けるとはな……。ミーシャはここまで化けると予想できていたか?」
「……正直想像以上でした。真面目な話、うちのメイドは可愛い人は多いですが、アレより可愛い人は見たことがありません。」
「女性よりも可愛い彼氏って彼女としてはどうなのだ?ミフユ。」
「全然ありです!今度2人っきりの時に女装してもらおうかすら考えてます!」
「流石に嫌がりそうね……。」
「だろうな……。さ、着替えようか。」
そういって着替え始めるリオネス。
「……リオネス、失礼かも知れませんが、聞いてもいいですか?」
「なんだ?」
ミーシャに服を脱がせてもらいながら、リオネスは返事をする。
「その顔……本当の顔じゃないですよね?」
「……その話をミフユにはしたことが無いはずだが?なぜ気づいたんだ?」
「口の位置です。あなたの偽の顔は、口が長いのに、食べている口は不自然と思えるほど動きが小さかったので……。」
「なるほど。よくみていたな。そうだ。私のこの顔は呪いだ。」
「解くことは……出来ないんですか?」
「……魔術師長曰く、難しいそうだ。複雑すぎると言われた。」
「……そうですか。」
そういって俯く美冬。
「さすがのミフユも、彼氏の主がこんな顔なのは嫌か?」
そんなことを言い出すリオネス。
すると美冬は、
「……煽ってるんですか?」
「え?」
「見くびらないでください!」
そういって、怒りをあらわにする美冬。
「私は、リオネスの事を醜いなんて思いません!だってこんなにいい人なんだもの!春輝君が御主人様と言って従う人が、醜いわけがありません!」
「ミフユ……。」
「それに、見た目がなんだって言うんですか。そんなの、どうだっていいんです。そんなので人の価値は決まりません!」
「……ありがとう、ありがとうミフユ。」
そういって涙を流すリオネス。
「リオネス、だから、自信を持ってください。あなたはとてもいい人です。いくら見た目が良くなくても、醜くなんてありません。」
「……流石はハルキの彼女ってところかしら。というか、あいつにはもったいないくらいかも知れないわね。」
ミーシャがそんなことを言う。
「そんな事ありません。春輝君が私の立場なら、私以上にその人のことを思って優しくしてあげると思います。」
そういって、微笑む美冬。
「根拠は?」
そう問うミーシャ。
「だって、私の好きな春輝君なら、絶対そうします。」
そう言って笑う彼女は、とても美しかったそうだ。
作者「自分で書いてて思うんだけど、リア充のやりとりってもっと甘いよね?」
千秋「作者にはわからない世界だもんね!ドンマイ!」
作者「リア充になりたいですぅ……。」




