執事として生きるということは
〘名前〙シノノメ ハルキ Lv.11
〘職業〙執事
〘ステータス〙
[体力] 620/620
[魔力] 403000/403000
[筋力] 250
[知力] 320
[敏捷] 410
[幸運] 2
[技量] 560
《技能》
・身体強化魔法 Lv.2
・魔力制御 Lv.3
・体術 Lv.2
《異能》
・看破の魔眼 Lv.2
・転移魔法 Lv.0
・無限収納 Lv.3
《魔力適性》
・無属性のみ
《カラー》
・透明
「ん?ジルさん、魔力制御の上の身体強化魔法って、さっき俺の感じた体の軽さですよね?あれって魔力制御の一部ではないんですか?」
「騎士団長殿にも説明されたとは思いますが、魔力制御はすべての魔術、魔法、魔導において、基礎の基礎となる部分です。すべての魔法は魔力制御の発展系とも言えますから、すべての魔法が魔力制御の一部であるとも言えます。ですが、それを言い出せばきりがないので、別の名前で呼ぶのですよ。
身体強化魔法は文字通り、体のすみずみまで、魔力によって強化を施すことで身体能力を飛躍的に上昇させます。王城にいる人間であれば、一番最初に覚えさせられる魔法ですね。」
「それは戦わない人でもですか?」
「えぇ。身体強化魔法はとても便利な魔法です。普通に日常生活においても、重いものを持つ時は身体強化魔法で一時的に筋力を上げたりします。」
「なるほど……。ちなみにこの魔法って、弱点とかあるんですか?」
「ハルキ殿のような、魔力量が桁違いな人間を除き、基本的にはずっと維持し続けることは不可能です。ですので、身体強化魔法を解いた後は、少し疲れますし、中途半端に魔力の多い方だと使っていないことに気づかずに持ち上げようとして怪我をしたり、なんていう間抜けな話もあります。
この後ハルキ殿にも教える予定の、治癒魔法と掛け合わせたりすることで、基本的に疲れはなくなりますし、基本的には身体強化魔法に欠点はないかと思います。」
「なるほど。もしかしたらですけど、騎士団の方でも今日くらいにやるんでしょうか?その場合、俺の努力は完全に二度手間何ですけど……」
「いえ、そこら辺は大丈夫です。ハルキ殿にはこれからは勇者と別のスケジュールで動いていただきますから。というか、執事なのですから基本的にはお嬢様の近くでいつでもお嬢様の命令に従えるように傍らにいるというのがハルキ殿のこれからの仕事です。」
「……え?じゃあ、基本的には完全に別行動ですか?」
「ええ。そうなりますね。
……ここら辺で、執事の心得を話しておきましょうか。
ハルキ殿、これから話すお話は、とても重要なものです。絶対に忘れないようにしてください。」
「……はい。わかりました。」
「執事をやるからには、貴方は勇者であったことを完全に忘れなさい。これは命令です。」
「……何故です?」
「執事の道を行くということは、お嬢様に使えるという物です。
主の為を思い、主の為に行動し、その主の為に時には命すら投げだす。それが執事です。
恐らく貴方は、勇者であるからこの国を救う必要があると考えるでしょう。しかし、それは忘れるべきです。あまりこういう事は言いたくありませんが、国の上層部なんて、何を考えているか分かりません。勇者がもし魔王を討伐すれば、次は勇者達が反乱することが怖くなって、勇者達を殺す確率もあります。
ですから、その時に迷わないために、私は誰のために何をするか決めています。あなたも、きちんと決めておくべきだと思います。
自分の命は自分の物ではなく、主様のためだけにあるのだと。」
ここまで話し終えて、ジルは言葉を区切り、微笑みながら言葉を続けた。
「今決める必要はありません。ですが、3日後に仕えることを決めたのならば、そういう覚悟を決めてください。」
「……わかり、ました。きちんと考えておきます。」
「そうですか。では、私はお嬢様のご朝食の準備をしに行くので、ハルキ殿は食堂へ向かわれることをおすすめします。そろそろ勇者の皆様も目覚められるでしょう。朝食を食べ終わり次第、第3執務室まで来ていただき、その後お嬢様と会っていただきます。きっとお嬢様もハルキ殿を気に入られると思いますし、ハルキ殿も仕える気になられると思います。では、後ほど。」
そう言って、ジルは第三訓練場から出ていった。
春輝はまだもう少し芝生で寝転がったまま、疲れた身体と頭を休めるのであった。