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ヤクザと召喚師  作者: 緑一色
狂助召喚編
4/38

一夜明けて

狂助が目を覚ました場所はベッドの上だった。

昨日は確か地面で寝てしまったはずだったが。



「エレナが・・・・・・運んだのか?」



彼女の細腕で大の男を運ぶのはさぞ大変だったのではないか?


狂助はそう思うと、とても申し訳ない気分になった。


そう言った矢先、ドアを叩く音に狂助は気付いた。ドアを開けるとそこにはエレナが立っていた。




「おはようございます」

「ああ、悪いな。運ばせて」

「いえ、私は何もしてませんから」

「えっ?それじゃ・・・・・・」

「その話は、食堂でしましょう。お腹空いてますよね?」



狂助は無言でエレナの後を着いていった。












ーーーフランベルクの宿屋食堂ーーー



食堂には沢山の人がいた。どう見ても人に見えない生き物もいたが、昨日の一件で狂助は馴れてしまった。



狂助はカウンターに行き、注文をした。


「ああ・・・・・・とりあえず、肉をお願いします」

「そんなアバウトな・・・・・・じゃあ、ハムサンドで良いかな?」




流石にその注文では、カエルの姿をした店主も困ったようだ。

しかし、狂助はハムサンドに満足したようで頷いた。




「釣りはとっといてください」



そう言って狂助は1000円札を置いた。


「ああ?何これ?こんな紙切れで飯を出せるか!」




そう言って店主は札を破いた。

その店主の行動に狂助は憤慨した。



店主の首であろう部分を片手で掴み、宙づり状態にした。店主はじたばたと抵抗している。




「おい・・・・・・まだ、文句あるか?」

「うぃえ!!あひません!!」



それを聞き、狂助は手を放した。


店主は狂助の魔の手から離れるとすぐさまハムサンド作りに取り掛かった。



「これで、飯代が賄えるな」




しかし、エレナは顔を真っ赤にして怒っている。


「何やってるんですか!!!暴力振るって!!!」



狂助はまさか自分より年下に怒られるとは思っておらず驚いた。



「いや・・・・・・そこまで怒らなくても」

「お金は私が払いますからもう恥かかせないでください!!」



エレナは自分の財布を取り出し、ハムサンド代をカウンターに置いた。



その時、やっと狂助は周りが自分達を白い目で見ていることに気付いた。



「あ、えっと悪かったな」



しかし、エレナは無視して席取りに行ってしまった。


その後、エレナは席にハムサンドが来るまで一言も狂助と話さなかった。













狂助とエレナはウエイターが運んできたハムサンドを食べ終え、食後のコーヒーを飲んでいた。



先ほどの事もあり、気まずかったが飲みかけのコーヒーを置き、狂助が話を切り出した。



「何で俺はこんなところに来てしまったんだ?」


エレナも飲みかけのコーヒーを置き、答えた。




「そのためにはまず世界の仕組みを説明させてください」

「世界の仕組み?」



「はい。まず、この地球には5つの世界が広がっています。神々や神獣などが住む{天界}、地獄にあたる場所{地界}、あなた方人間が住む{上界}、魔獣や悪魔などが住む{下界}、そして上界と下界が混ざり合う場所のここ{中界}」



「やっぱりここは日本・・・・・・いや、地球とは別の場所か」


そのような漫画みたいな出来事に巻き込まれたと知った狂助の心情は苛立ち半分、好奇心半分といったところだった。


「で、結局俺は何でその中界に来たんだ?」

「私達召喚師はこの5つの世界のどこかからそこに住む者を召喚獣として召喚します。それで、私が上界の紋章を描いたところ偶然あなたが・・・・・・」

「つまり、俺は無作為に選ばれてここに来たってことか?」

「そうなります」



「んじゃ、そろそろ上界に帰してくれよ。もう俺は用無しだろ?」




エレナはビクッと肩を震わせた。



その時、エレナは狂助に初めて笑顔を見せた。


しかし、表情が堅い。心から笑っている訳ではない。



「どうした?」

「その・・・・・・ですね」

「まどろっこしいな、早く言えよ」

「・・・・・・召喚獣の戻し方を・・・・・・学校で習ってないんです」

「何だそんなことか。・・・・・・えっ?つまり?」



「あなたは・・・・・・上界に戻れません」



エレナはいたずらが見つかった子供のように決まりが悪そうな笑みを浮かべて言った。





「・・・はあああああああっ!?」



狂助は思い出したかのように叫んだ。食堂の客が一斉に狂助に視線を移した。



だが、狂助はそんなことなどお構い無しだ。




「んじゃ、学校の先生にでも!!・・・・・・あっ」

「先生も友達も皆殺されたそうです。あの場にいなかった私ももう死んだことになってるそうです・・・・・・」



「あっ、いや、悪い」

「いえ、大丈夫です」


そう言ってエレナは笑ったが、やはり堪えるのかどこかぎこちなかった。




狂助は今更ながらことの重大さに気付いた。




「本当にすいません!!」



沈黙を打ち破ったのはエレナの方だった。が、狂助は当然だが不服である。




「俺はどうなるんだよ」

「とりあえず、ここから北にある町に召喚師の大先生がいます。その人に見てもらえば・・・・・・」



「ちっ!!」


狂助は舌打ちをして、大声で店主に煙草を注文した。他のメニューは謎の文字で書かれていたが、煙草等の上界の物は漢字で振り仮名が表記されていたからである。



狂助は煙草を咥え火を点けた。




「んじゃ、とっととその大先生のところに連れて行ってくれや」

「はい。私はこれから両親に」



「待った。能力者って何だ?」


狂助はエレナの言葉を遮り、質問した。




「あっ、説明が遅れました。私はまだ新米なので比較的戦闘能力の低い上界の生物しか呼び出せないのですが」

「ああ」

「上界に住む生物・・・・・・特に人間はここの空気が合うのか隠されている能力を開花させるんです」

「じゃあ、この前のゲイルって奴も元人間ってことか」

「はい、多分あの人の能力は人狼ワーウルフです。それによって能力に目覚めた人間を能力者と呼ぶんです」

「ほお、狼男か。だが、召喚されても用が済んだら元の世界に帰すんだろ?何でここに居座ってるんだ?」



「いえ、召喚獣が帰る事を望めば元の世界に帰すのがルールですが、望まなければここに居続けても良いんです。例外として別の世界で召喚獣が死亡した場合、自動的に元の世界に戻ります。これもルールです。そして、その後の余生+ここで過ごした人生を足して元の世界で生きていきます」


「つまり、ここでの事は無かったことになるのか」

「はい」

「で、俺の能力は何なんだ?」

「それは昨日調べてきました」





そう言ってエレナはバッグから一冊の分厚い本を取りだした。


題名は同じく謎の文字で書かれている為狂助には読めなかった。



エレナは付箋の貼ってあるページを開けた。





「多分、完全回復オールキュアだと思います」

「どういう能力なんだ?」



「非常に珍しい能力で痛みは受け付けるのですが体や臓器には傷一つつかないといった物なんです」


「死のうにも死ねないってことか・・・・・・」






狂助はがっくりと肩を落とした。しばらくその状態でいた狂助は顔を上げ、エレナに呼びかけた。




「よし!!今からその大先生のところに行くぞ!!」

「今からですか!?」

「そうだ」

「でも、両親にまだ何も言ってないし・・・・・・」

「良いから来い!!」

「ハイッ!!」



エレナはこの返答に後悔することになる。




しかし、この時、狂助がかなりの自己中だということだけはエレナにも分かっていた。















ーーー召喚師育成学校校舎内ーーー



「うわっ、ひどい物ですね。クラークさん」


若い男が乾ききった血を見て言った。




死体は片付けられているとはいえ、長くいたいとは思わない様な場所だった。



しかし、相方のクラークは全く動じずに低い声で返答した。



「さっきこいつらを切り刻んだのは誰だ」



「そりゃ分かってるつもりですけど・・・・・・」





若い男はそう言って下に倒れ込んでいる死体の山を見た。それは片目の狼一味だった。



だが、リーダーであるゲイルだけはどこにも見当たらない。死にかけのメンバーの一人が口を開いた。



「くそっ・・・・・・何だ・・・・・・お前ら」

「何って言われてもただのガードですよ」

「その通りだ。さて、ボスはどこにいる?お前らがここを隠れ家にしようとしてることくらいお見通しだったんだよ」




クラークがしゃがみ込み、聞いた。






「知・・・・・・知るか」

「あっそ」



若い男はそのメンバーの胸に剣を突き立てた。メンバーは一言喘いだ後、絶命した。




「おい・・・・・・何やってるんだ」

「だってどっちにしろこいつら喋りませんもん。だったら、早めに殺っても変わりませんよ」

「それだから変なあだ名がつくんだ・・・・・・レイヴン」

「別に{首狩り騎士}ってのも気にいってますから」

「そうか。今日は引き揚げるぞ。ここにはゲイルはいないようだからな。それに目撃者ウォッチャーが言っていた少女と男の二人組も気になる」



それを聞き、レイヴンはメンバーの胸から剣を抜いて血を拭ってからクラークの後を追った。




校舎から出た後、レイヴンはクラークに歩きながら尋ねた。





「その二人の特徴は?」

「さっきの話か?少女の方はここの生徒らしい。男の方はここいらでは珍しい服を着てたから召喚獣だろうな」



クラークはそれだけ言って彼の所属組織であるガードが使用している簡易魔方陣に乗った。


これに乗るだけでガード本部に戻れるという優れ物である。




しかし、一回使うと衝撃に耐えきれずに魔方陣は壊れてしまう。

その辺が簡易と呼ばれる理由である。



クラークはそれに乗ると煙のようにパッと消えてしまった。





「人間、か・・・・・・フフフッ」



レイヴンももう一つの魔方陣に乗り、消えた。

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素人ですがまあ、軽い感じで読んでいただければ幸いです

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