表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤクザと召喚師  作者: 緑一色
ガラム武術大会編
30/38

非正々堂々

レイヴンはすぐにエレナの方を向き、話しかける。





「さて、約束通り狂助さんの身柄を引き渡してもらいましょう」



狂助は顔をしかめた。



「約束?・・・・・・エレナ、お前何した?」


エレナはため息を一つ、そして答えた。



「別に。狂助さんの身柄と観客席を交換しただけですよ」



「その通り。言っておきますが、僕と君との間に時間の取り決めは全く無かった。

だから、この場で狂助さんの身柄を引き渡すのが妥当だと思うんですが。

どうでしょうか?」




レイヴンは玩具を貰えると期待している子供のような目でエレナを見た。



最も、貰うものは玩具だなんて可愛らしい物ではないが。





ネイクがエレナにそっと尋ねる。



「どうするつもりだ?

狂助殿を引き渡したら、私たちでこの悪魔を相手しなければならなくなってしまう」



エレナは薄気味悪く微笑んだ。




ネイクは初めて見せるエレナの表情に戸惑った。



「大丈夫ですよ。それくらい私だって分かってます」



小声でネイクに答えるとエレナはすぐに今にも飛び掛かってきそうな雰囲気を漂わせているレイヴンへと向き直った。



「レイヴンさん、しかし狂助さんはこの試合の参加者であって流石に試合途中に引き渡す訳には行きませんね」



レイヴンの表情がガラリと変わった。



笑みをしまい、能面のような顔つきになり、その中に怒りを隠している。


そんな表情だった。




「試合・・・・・・とは?」




「そのままの意味ですよ。

確かに会場は壊れていますが、幸いにも闘技場は形を残している。

ドラだって探せばあるだろうし、回復魔法が使えるゼブラスもいる、審判は私がしますよ。

これだけあれば十分試合は出来ますよね?」



「はっ、何かと思えば。

貴方達みたいな部外者がそんな真似をする必要性がありません。

こじつけですよ」



「こじつけ?

少なくともここにその展開を望んでいる人間が私も含めて6人もいるのにこじつけと言うのですか?

それならそんな事を言う邪魔者を排除しましょうか。全員で」



流石のレイヴンもここにいる全員を相手できる程の自信はなかった。




しかもライアックだってそんな状況になればどちらかに攻撃を始めるだろう。



レイヴンは言い返せずにしばらく黙っていたが、舌打ちをしてエレナ達に背を向けた。




「ギリギリ及第点ってとこですね。まあ、今回は引いてあげましょう。

今日はあっちで我慢します」



レイヴンは自分の体の5倍はあるだろうリトルドラゴンへと向かっていった。




レイヴンの圧勝は目に見えて分かるのでその後に他のガードのサポートに回るつもりなのだろう。






















ライアックはその間に一歩も動けなかった自分に腹が立った。



正直言って狂助達が話している間、彼らは隙だらけだった。




仕留めようと思えばいつでも仕留められた。



だが、それが出来なかった。




ライアック自身が残った者たちの報復を恐れていたからである。




レイヴンを攻撃するという選択肢もあった。




だが、ライアックはレイヴンと自分との圧倒的力量差を分かっていた。


そんな奴を相手に出来る程の勇気はライアックにはなかった。


「おーい、決勝戦といこうぜライアックちゃんよ」



しかし、ライアックはレイヴン以上に狂助を恐れていた。




それは同僚が一人返り討ちにあっているという事実を知っていることによる先入観なのかもしれない。





しかし、ライアックにはそうは思えなかった。



正直言って狂助は完全回復さえ除けばレイヴンの足元にすら及ばない程の実力のはずだ。


完全回復に頼ってもレイヴンに勝てるかも怪しい。




狂助は自信たっぷりの表情でライアックを見据えている。



その視線から逃れたくてライアックは彼から目を背けた。





それが間違いだった。



その一瞬の隙をついて狂助はライアックにヤクザキック。





「うおっ!?」



悶えているライアックの頭頂部に踵落とし。



倒れこんだライアックのわき腹にサッカーボールキック。




「げほっ、待・・・・・・待った!ドラは!?試合開始の合図は!?」




「はあ?お前、こんな状況でまだ試合がどうとか言ってんのかよ」



理不尽だと思いながらもライアックは反論出来ずに狂助の追撃のストピングを受け続けていた。





「人間様を・・・・・・」



狂助は無理矢理ライアックを立たせる。




「舐めるなよ!!」



台詞と同時に狂助のラリアットがライアックの喉に直撃した。




ライアックは空中で1回転して仰向けに倒れこんだ。





その一部始終を黙って見ていたネイクが呟いた。



「何と言うか・・・・・・卑怯であるな」




「ありがとよ。最高の褒め言葉だ」



狂助はそう言って親指を立てた。



エレナがくすくす笑いながら狂助にネイクに目を向ける。




「いや、ネイクさんこれが狂助さんなりの正々堂々ですよ。

よく考えれば初めて私がこの人を召喚した時も死んだふりで相手を油断させて敵を倒したんですから」




狂助は意外なエレナのフォローに驚いた。




片桐組の間に和やかな雰囲気が出来始めていた時だった。



ライアックが起き上がった。




片桐組一同は再び臨戦態勢を整えた。




狂助が探るような口調でライアックに尋ねる。


「俺の即死コンボ喰らって起きてくるなんてよ・・・・・・無理すんなよ」



「即死ね・・・・・・。

確かにジン程度なら即死かもね」



ライアックは両手に3本ずつ持ったナイフを狂助に向かって放った。



内4本は何とか避けた狂助だったが、残り2本は狂助の右肩と腹部に突き刺さった。




慌てて2本とも引き抜くが、その時にはライアックは狂助の目の前でナイフを構えていた。



両手に持っていた2本のナイフを同時に狂助の喉元に刺し、それを左右に薙ぐ。




勿論、出血はないが狂助は声が出せずに顔を歪ませた。




「狂助さん!!」



助けに入ろうとしたエレナの目の前に大きなグリフォンが立ちはだかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ