ガラム武術大会
「何、その反応・・・・・・怖いじゃん」
「いや、スカウトって言われてもな・・・・・・こちらの美少年美少女じゃ駄目なのか?」
狂助はそう言ってエレナ達を指差した。
「違うよ。スカウトってのはこれのこと」
ジルはベストのポケットからクシャクシャに丸めた紙を出し、狂助に手渡した。
「えー、ガラム武術大会。素手でも武器でもかかってこい。優勝者には金貨100枚(1000万円相当)。何だこりゃ?」
「この大会に出てほしいのよ。あんたの腕なら間違いなく優勝だからさ。本当、こんな酒場に来た甲斐があったわ。
で、優勝したら金貨50枚ずつ山分けでどう?」
狂助が否定の意志を口に出そうとした時、エレナが前へとしゃしゃり出てきて答えた。
「やります!山分け絶対ですよ?」
「おお、話が分かるね。じゃあ、あんた・・・・・・えーと」
「おい、俺は出るとは」
「片桐狂助さんです!」
「そう、キョースケね。その名前で登録しとくよ」
「だから何で俺が、それときょ・う・す・けだ。おを伸ばすな」
「分かってるよ。キョースケ」
「わざとだろ?」
「そんなことより飲み直そうよ。男がうじうじするな」
ジルは狂助が参加すると分かると、かなりフレンドリーになった。
狂助はエレナに小声で尋ねた。
「何で参加するなんて言ったんだボケ!」
「痛っ、叩かないでください。だってこれ見てくださいよ」
エレナはウサギが刺繍されている袋の口を開く。
中のコインは茶色の銅貨ばかりである。
「ただでさえお金無いんですしここで得られる情報はもう無いと思いますよ」
「金なんてまた俺がルーレットで」
「その狂助さんのルーレットでこうなったんじゃないですか!!」
「でも、まだ酒場での情報収集は出来るだろ?」
「ここの酒場のゴロツキ全滅させた4人組の噂なんてすぐに広まりますよ。そんな人達入れる訳無いじゃないですか」
狂助はもっともなことを言われ、黙って自分でいれ直したカルヴァドスの入ったグラスに口をつけた。
液体に自分の顔が映る。
その顔はひどくやつれている。
自分が子供たちを引っ張っているというより、子供たちに引っ張られている気がして一人苦笑した。
一方その頃、ジル、ゼブラス、ネイクの3人は。
「何か感じ悪いなー2人だけで。
・・・・・・もしかしてできてんの?」
「それだけはないな」
「私も同意だ」
ネイクとゼブラスは未だにジルを警戒しており、つっけんどんな口調で返した。
ジルは少し不満に思い、ゼブラスの飲む白い液体に目をやった。
「何それ?」
「牛乳だ」
「牛乳?」
ジルはキャハハハ、と幼い子供のように笑い、続けた。
「酒場で普通飲む?クフフフッ」
「俺は下戸だ」
「飲めないなんてね~。あんな女の子でも飲んでるのに」
もちろんネイクのことを指す。
ゼブラスは顔をしかめ、ネイクのグラスを奪い取った。
「ゼブラス!?な・・・・・・何を?」
ゼブラスは3秒程グラスの中の液体を見つめ、一気に飲んだ。
途端にゼブラスは白目を剥き、カウンターへと顔を埋めた。
「キャハハハ!!もう最高!!ねー、ネイク?」
ジルがネイクに目をやると彼女は頭を抱え、赤面している。
「あれ?ネイク?」
「ゼブラスが・・・・・・わ、私のグラスを。こ、これって間接キ、キ」
「もしもーし、ネイクさーん?」
「このまま結婚とか・・・・・・いや、でもその前に」
「ネイクー・・・・・・大丈夫?」
ネイクはその後もブツブツと何事か呟いた後、ゼブラスと同じように勢いよくカウンターに顔を埋めた。
酔っ払い2人に当惑したジルは席1つ分開けて座っている狂助とエレナへと助けを求めた。




