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ヤクザと召喚師  作者: 緑一色
ガラム武術大会編
25/38

優勝候補

片桐組一同はガラムに到着した。



ちなみに武術大会の参加者は大会から援助され、専用の馬車でガラムへと向かった。





エレナの説明によるとガラムは基本田舎だが、この武術大会を目玉にしており、シーズンによっては観光客も結構入っているらしい。




「しかし、飛行機は入ってきてるのに車は入ってきてないってのも変な話だな・・・・・・」

「車ってこの馬車のことですよね?」


「・・・・・・ああ、そうだ」



そもそも自動車という単語自体中界には入ってきてないらしい。




説明も面倒なので狂助は素直に肯定しておいた。








狂助たちが馬車を降りると、すぐに係員らしき赤の軽鎧を身に着けた男たちに出迎えられた。



「武術大会の参加者ですね?」



「ああ」

「あたしも」



「では、こちらへ」




狂助とジルは係員に連れられて行った。



ジルは鼻歌を口ずさみながら呑気に、狂助は目をキョロキョロさせながらその場を去って行った。




それを見送ると、エレナがふと疑問を口にした。



「で、私たちはどうするんですか?」



「観客席で観戦だろ」

「しかし、どうやって・・・・・・」


「まさか・・・・・・誰も考えていなかったのか?」



ネイクの問いに一同は押し黙ってしまった。





そこへ意外な人物からの救いの手が差し伸べられた。



「君がいるってことは狂助さんもいますよね?」



エレナはその人物を見やり、思わず苦笑した。


ゼブラスとネイクは面識がないからかその人物に警戒心を抱いている。




「久しぶりですね。レイヴンさん」


「エレナ・・・・・・こやつは何者だ?」



ネイクが訝しげに尋ねるのに対してエレナはあっけらかんとした態度で答えた。



「ガードですよ。知り合い(・・・・)の」



「・・・・・・本当にエレナ殿の交友関係には感服いたす」




「あれ?2人も子供が増えてますね。もしかして狂助さん奴隷商」

「で、何の用ですか?」



エレナはこのままじゃ埒が明かないと感じ、自らレイヴンに質問した。



「ああ、そうだった。君たちは武術大会には?」




3人は同時に首を横に振る。


「だったらvip席が3つほど取ってあるんだけど、どうですか?」



レイヴンがポケットからチケットを3枚取出し、ヒラヒラと目の前で振って見せた。


「ありがたいですね。で、何が望みでしょうか?」

「話が早いですね。狂助さんがどこにいるかですよ。俺が知りたいのは」



レイヴンはそう言って不敵に笑った。





「そもそもレイヴンさんは武術大会には?」

「あれの参加は一般人だけです。そもそもガードがしゃしゃり出てきたら面白くないじゃないですか」



「だったら大会が終わってからですね。そしたら身柄を引き渡します」


「じゃあ交渉成立ということで」



レイヴンは3枚のチケットを手渡し、さも嬉しそうに去って行った。




ゼブラスがそれを見計らって意見した。


「お前・・・・・・結構ひどいよな」

「大丈夫ですよ。死なないんですから」



3人はその後、近くにいた係員に会場の場所を尋ね、会場へと向かった。



















3人が観客席に座った時には既に開会式は始まっていた。



レイヴンがvip席と言うだけあり、3人の席は最前列の試合が一番良く見える席であった。




周りの金持ち達は誰もが何故こんなところにこのような汚らしい子供が?

と不思議がっている。




遅れて来たので詳しくは分からないが、開会の辞などの面倒な前口上は既に終わっているようで、今はルール説明を行っている。




「えー、魔術と召喚術の使用は原則として禁止しておりますが、その他は何を使っていただいても結構です。

勝敗に関しては相手を戦闘不能状態にさせる、或いは降参させたら勝利とします。

ただし、選手が死亡の危機に瀕しているとこちらが判断した場合は勝手ながら試合を中止してでもこちらが処置を行いますのでご理解のほどを。

なお、対戦相手はこちらがくじ引きで決めさせていただきます。それをそちらに見えますトーナメント表に記します」




そう言ってこの大会の主催者でもある老人が箱の中のくじを2枚引く。


それを総勢80人以上の参加者が固唾を飲んで見守る。




「第一試合場第一試合、18番対40番」



「あ、俺だ」


一同が狂助に視線を向ける。



狂助の持つ紙には18と記されている。



そして、40番の紙を持った男も狂助と共に名乗りを上げる。




「一回目から俺と当たる不幸な奴はどいつだ?」



狂助はその男を見て、思わず吹き出した。




男はプロレスラーが被るような赤いマスクを被り、同じく赤いパンツ一丁で誇らしげに立っていた。



「あーあ。キョースケも運が悪いね」


すぐ後ろにいたジルが小声で狂助に耳打ちをする。



「去年の優勝者だよ、相手」

「これが?ブフッ!」



「俺のこと笑ったな?貴様」


赤マスクの男はギロリと狂助を睨む。



ジルは他人顔で


「うわー、貴様って実際に言う人初めて見た」



などと興味なさげに言っている。




2つあるうちの片方の闘技場に狂助と赤マスクが上がると、すぐにもう片方の試合場での対戦のカードが読み上げられ、該当者はすぐに闘技場へと上がって行った。





と、同時に試合開始を宣言する銅鑼が鳴り響く。



「うおおおらあっ!!」



赤マスクが狂助へとラリアットを繰り出した。



スピードもパワーも申し分ない。


だが、それは観戦者の採点である。




狂助は赤マスクのがら空きの腹に軽めのジャブを入れた。




声も上げずに赤マスクは後ろに倒れた。



だが、寝たままで赤マスクは狂助に啖呵を切り始めた。




「ふっ、やってくれたな!!よくもこの俺を怒」


続く言葉は狂助の軽快な顔面へのストピングによってかき消された。



赤マスクの顔は元からそんな色のマスクを被っていたのか血によってか真っ赤に染まっている。


赤マスクは痛みからか涙や鼻水を垂らしている。



「大したことねーな。これくらいで泣くなボケ」



狂助は倒れたままの赤マスクの腹にエルボードロップ。




赤マスクは天に向かって吐瀉物を吐き出した。


そして、吐瀉物で自分の顔や体が汚れる。



「ちょっ、ちょっと待った!!分かった分かったから」



「何が分かったんだ?言ってみろよ」


「えーと、その、あー。そのギブア」



「俺は嘘が大嫌いなんだよ」


「いや、そうじゃなくてギブ」




狂助に無理矢理立たされた赤マスクの腹に刺すようなストレートが入った。




赤マスクは約3m程飛び、地面を滑った。





赤マスクの表情は恐怖一色に染め上げられており、その表情のまま気絶している。



前大会優勝者の秒殺に観客、審判、隣の闘技場で試合をしていた選手たちですら動きを止めた。























謎のダークホース登場にガラム武術大会は例年以上の盛況を見せた。




当日券の奪い合いは現在進行形で当たり前のように起き、立ち見でもいいから中に入れてくれと言い出す者たちまで現れたくらいだった。



「取引しておいて損は無かったようであるな」



「ネイクさんもそう思いますよね~。本っ当に良かった」




「おーい、この表見てみろよ」

「ゼブラス、何だこれは?」


「競馬ならぬ競人だ。1番人気がバカ大人でぶっちぎりだ」



以下がゼブラスの持ってきた下馬評の結果である。






1位   キョースケ


2位   ローリン・ジェン


3位   ジル・ネイロン


4位   カール・レヴァノン


5位   ライアック・ザバス

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