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6話「散髪と殲滅」

なんだか不穏なタイトル...

そして書きたいことが増えてきたからか、

ここら辺からところどころ1話1話の文字数増える~

その後の日々はあっという間だった。


気が付いた時には二人はクラスになじんでいて、

ずっと視線が痛かった...


それでも優と陽翔が仲良くしてくれたのは本当にありがたかった。


──さいごまで陽葵は断固として俺らとは話そうとしなかったな、

  さすがに俺も傷つくかもしれないぞ?



でも今日は気分一転、散髪して身も心も生まれ変わるんだ!




俺は今美容室の前にいる。


「なんだこのオーラは、魔王城かなにかか?」


魔王を倒した勇者ともあろうものがなぜ道端で立ち尽くしているか説明しよう。


このオーラだ。

キラキラして、一言でいうと──陽キャ


でもまぁ、行くしかあるまい。

魔王城とは違って死ぬことはないだろ。



「「いらっしゃいませー!」」

きれいなお姉さんが挨拶をしてくれててんぱりそうになる。

もう俺、高校生男子に丸戻りだな。


「13時から予約していた黒川です。」


「はい、黒川さんですね。

 こちらへどうぞ」

案内されて席についた。



「本日はどうなさいますか?」

少し戸惑っていたところに助け船が来た。

でも、

((どうしていいか全くわからん!))


「実は、こういうところは初めてでして。

 お任せする。ってできますかね?」

恐る恐る聞いてみたところ

「おまかせください!」と快く引き受けてくれた。

いい人だな...


「こんな感じでどうですか?」

参考として見せてくれた写真にはとんでもない美青年が映っている。

陽翔やエリック達のようで、よりモデルとして研ぎ澄まされているのかな。


自分がここまでなれる気もしないが、

自分で考えていてもわからないし。

「はい。お願いします。」

「まかせてください!」


明るい返事と共に俺の大改造が始まった。


美容師さん距離近っ?!

必死に心を無にしようと努める。



「これでどうですか?」

あの勇者がされるがままにされて早1時間以上

気がついたら夢のような地獄は終わって、

鏡の前で優斗は自分らしき者が映ってる鏡を見ていた。


「ありがとう...ございます。」

意外と...悪くないかもな。


失敗したわけでも無く、なかなかよさげな仕上がりになっている。

自分の顔を見たところでどうということも無いがな。


そのあとはお会計を済ませて店を出た。

なんだか外が騒がしいような気がするが、

路上ライブでもやっているのだろうか。




美容室から出るとなんだかすがすがしい。

髪型を変えるってこんなに気持ちがいいことだったのか


この後は予定も無いし、エリックとセレナに髪型でも見せに行こうかな。




ドン!!



「なんだ?!」

急にそばですごい音がして振り返った。


「ゴブリン?!日本に?!」


ゴブリンが電柱にめり込んで伸びていた。

アメリカに転送されていたらしいが、日本にも転送してきたのか?

なぜ?


──ベアトリスが優斗の向かった世界へ、

  モンスターを送り込んでいるのが見えた。


まさか狙いは、俺?

でもベアトリスに限って...


いや、今はそんなことより目の前のこと。

なぜめり込んで、飛ばされてきたのか?


飛んできたと思われる方向では


「お、ユート!

 髪切ったんだな!似合ってるぞ!」

町の人たちが逃げ回っている。

その中で、目立つ金髪が思わず見とれてしまうような動きで

ゴブリンを殲滅しながら話しかけてきた。


「エリック、これは一体?」

「わからん、急に現れてな。

 扉はもう消えたから転送は終わっているはずだ。

 ほら、ユートの剣だ。」


「剣、なんで?」

「ユートが帰った後なぜかユートの装備一式が扉の前に出てきてな。

 フル装備は無理だったが剣だけアイテムボックスで持ってきたんだ。

 俺のは容量が小さいからな。」


帰ってきたとき元の服のままだと思ったけど、扉の前に置いてきていたのか。

アイテムボックス、勇者である俺を例外として

本人の魔力量に比例したサイズの異空間の倉庫を使える魔法だ。


ちなみに俺のやつの中身は水と食料、ポーションぐらいしか入っていなかった。

勇者の装備は絶対に壊れないから替えは無かったんだよな。


「ありがとう」

やっぱりこの剣はなんだか安心する。

この剣もまた三年間を過ごしてきた相棒だ。


面倒ごとはもうごめんだと思っていたがそうは言っていられないらしい。

前を向くと不思議と視界が晴れ渡ってきた。


エリックが言うには扉が現れたらしい。

ベアトリスの仕業ってのが濃厚だな。

それにしてもエリックの活躍か、

怪我人はいてもまだ死者はいなそうだ。


エリックに教えてもらった扉の出現地点の方へ近づくと、

10体ほどのゴブリンに加えてコボルト数体が一気に襲いかかってきた。


コボルトはすばしっこいから面倒だけど、

こいつら程度なら警察でも戦えるぐらいの雑魚だ。

異世界では何度も戦ってきた。


極力人目につかないように、人がよってこないように静かに倒──

そうとしたがなにせこの数だ。

とっとと倒すことに専念しよう。


「普段こいつらはあまり賢くない、

 それが待ち伏せしてくるなんて...

 何かいるかもな、先を急ごう。」

待ち伏せしてきたゴブリン達は倒したけど

でも、なんだか嫌な予感がする。


そういえば、美容室に行く途中で見かけた陽葵も心配だ。

失恋した相手とはいえ幼なじみだ。

無事だといいんだが。



角を曲がったところで見覚えのあるミルクティーブラウンの髪が...


「陽葵っ!」

陽葵がゴブリンジェネラルに襲われていた。

まだ怪我はなさそうだが、

今にもジェネラルが剣を振り下ろそうとしている。


「まだ、間に合う!」

息を大きく吸って、右足を踏ん張る。

一蹴りで景色が飛び、ジェネラルとの距離が縮んだ。

そのまま一気に背後まで駆ける。


シュパッ

ジェネラルに剣を一振り。

そのまま倒れていく。


敵の背後まで一息に近づくこの技は重宝したな。

言うなれば

──縮地だ。


それにしてもなぜゴブリンジェネラルか。

こいつはゴブリンの指揮を執るから、

群れで来ると一気に討伐は難しくなる。

都市や国であれば問題ないが、村の規模であれば1つや2つ滅ぶ可能性もある。


さて、残りのゴブリンを倒しに行くか。


とりあえずこちらに向かってきているゴブリンを倒していると、

近くにファイアボールが飛んできて、すぐ後ろから声が聞こえた。

「あ、ユート!

 髪切ったらかっこよくなったじゃん!」


満面の笑みのセレナだ。

近くのゴブリンはもう死んでいるというのに、

セレナが気づいていないのかまだ火魔法を浴びている。

心なしか火力が上がっていっているような...

南無阿弥陀仏。


「こっちはもう倒しきったわよ。

 魔力反応無し。」

「このあたりももう倒しきったかな。

 そのゴブリンももう死んでるぞ...」


「あっやっちゃった..」

慌てて消火を始めたセレナを見ていたら勝手に笑顔にさせられる。


「あ、二人とも。

 こっちも終わったところだ。」

エリックも剣を納めつつこっちに来た。


「ひとまず討伐完了だ!」

「いえーい♪」「だね」


エリックの宣言に合わせて三人でハイタッチをした。

なんだか異世界に戻ったみたいだ。


あの世界の人は嫌いだったけど、三人での冒険は楽しかった。





「優斗...なの?」

ミルクティーブラウンの髪の奥で小さな声がこぼれた。


陽葵の想いと優斗の今

追いつけない三年の隙間

次回はどうなるのか

7話でまた

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