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第38話 バレスタ家の公会堂
証拠が揃った以上、隠し続ける意味はない。
俺たちは公会堂で開かれた評議会査問へ乗り込んだ。
前に立つのはバレスタ家当主ハルヴァン。五十代の男で、終始にこやかだった。
「遺品保全のための一時保管です」
そう言い張る彼の前へ、ミーナが帳面を広げる。
「なら、どうして同じ荷箱が三つの名義を通ってるの?」
リゼットは監査印付きの照合表を示し、ロムは補給長として第七荷の経緯を証言した。アルマの手紙、ケイドの通行片、剥がした家紋板。
積み上げた証拠は、もう言い逃れできる量じゃない。
ハルヴァンの笑みが初めて歪む。
「底辺の回収屋風情が」
俺は一歩前へ出た。
「底辺で結構だ。でも、底で拾った物の方が、あんたらの嘘よりずっと重い」
ざわめきが広がる。
公会堂の後方には、救助した修繕班や北荷役場の大人たちも集まっていた。三十代、四十代、五十代。表へ出ることのなかった人間たちだ。
その視線が一斉に当主へ向く。
結局、ハルヴァンはその場で拘束まではされなかった。
だが保管権限は剥奪され、評議会内の荷流しも正式監査に入ることが決まる。
十分だった。
隠し倉庫の扉は、もう閉まらない。




