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第37話 俺は荷を継いで前へ出る

救助が一段落したあと、俺はひとりで崩れた梁の前へ戻った。


 背負い具をもう一度肩へかける。


 昇降係の重心、地図師の線、補給長の荷札、名もない運搬係たちの未練。


 それらが、妙に自然につながっていた。


 俺は戦士じゃない。


 英雄みたいに一人で全部なぎ倒す力もない。


 でも、運ぶ人間の癖なら分かる。返したい物の重さも分かる。捨てられた帳面の値打ちも、名前のない荷の痛みも、少しは分かる。


 崩れた梁の下から、最後の荷箱を引き出した。


 中身は古い補給札の束だった。


 箱を抱えた瞬間、胸の奥へひとつだけ、はっきりした感覚が落ちる。


 前へ出ろ。


 誰かの未練じゃない。多分、俺自身の答えだ。


「レイン」


 振り返ると、セリアたちがいた。


 リゼットが俺の手元の荷札を見る。


「あなたはもう、偶然拾っているだけじゃない」


「そうかもな」


 俺は箱を抱え直した。


「次は取りに行く」


 捨てられたものを、拾いに行くために。


 遺品回収屋の俺が、荷を継いで前へ出る。


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