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第36話 搬送路の決壊
墓標区画から戻る途中で、爆ぜる音がした。
北壁搬送路の支え梁が、連続して折れていく音だ。
「やられた!」
ダリオが叫ぶ。
走る。曲がり角を抜けると、旧搬送路の天井が半分崩れ、下敷きになった修繕班の大人たちがいた。全員三十代以上の現場労働者だ。
追手が仕掛けたのだろう。証拠ごと、通路も人間も潰す気だ。
「セリア、左の支柱!」
「了解!」
剣が落石を弾く。
リゼットは負傷者の人数を即座に数え、ダリオは搬送縄を投げる。ロムは古い梁の規格を叫び、俺は背負い具を肩へ通した。
重さの偏りが見える。
この梁は全部を持たなくていい。三点だけ、先に受ければいい。
「今だ! 右を上げる!」
荷重を散らし、落石の流れをずらす。背中がきしむ。腕が焼ける。
でも落ちない。
修繕班の一人が這い出る。四十代の男だ。次に三十五歳の女技師、最後に五十歳の監督が引きずり出される。
誰も置いていかない。
それが補給の仕事だ。
崩落が止まった時、俺は膝をついていた。
けれど腕の中には、まだ背負い具の感覚が残っている。
運ぶべきものを落とさないための力が。




