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第31話 台帳にいない荷
第二封鎖室の裏には、さらに細い通路が続いていた。
進んだ先で見つけたのは、箱だらけの隠し倉庫だった。大きさも木材もばらばら。けれど全部に共通しているのは、表の台帳へ載っていないことだ。
「……ひどい」
ミーナが唇を噛む。
箱を開けると、中には武具、指輪、手紙、名札、そして帰還記録のない荷札。
死者の荷だ。
しかも雑に積まれているんじゃない。売りやすいように分類されている。
片手剣、回復具、装飾品、希少素材。
人の人生が、そのまま商品棚へ並べ替えられていた。
俺はひとつの名札を拾う。
『エド・サフィン 三十七歳』
年齢まで残っているのに、街の記録からは消されていた。
「監査局の死亡台帳に照合をかければ出るはずです」
リゼットの声は震えていなかったが、指先は白い。
「出ないなら、局ごと改ざんされている」
さらに奥の棚には、アーク遠征隊の区画があった。だが肝心の大物は抜かれている。
空箱の側面に、最近剥がした跡が残っていた。
『第七荷』
まだ誰かが動かしている。
ここは過去の遺品置き場じゃない。
現在進行形の隠し倉庫だ。




