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第30話 第二封鎖室
第二封鎖室の扉には、三つの溝があった。
荷札、経路、受取人。
仮泊所の台帳に書かれていた通りだ。
俺は地図師の焼け残り地図を中央へ置き、アルマから受け取った木札を左の溝へ差し込む。最後に、ロッカーから見つけた補給台帳を開き、受取人欄の『アーク補給班』へ指を置いた。
沈黙。
次の瞬間、扉の奥で何かがかみ合う音がした。
鋼鉄が横へ滑り、冷たい空気が漏れ出る。
中は小さな保管室だった。宝物庫じゃない。物流室だ。
棚の上へ、荷札と記録筒が整然と並んでいる。
その中のひとつに、見覚えのある名前があった。
『第七荷 北壁先送り』
封を切ると、搬送記録が出てくる。
積み替え担当、補給長ロム。
受領予定者、記載なし。
備考欄には一行。
『市印を使う者に渡すな』
さらに棚の奥から、薄い金属板が見つかった。英雄アークの剣鞘の一部らしい。紋様が一致している。
「ここは証拠の倉庫だ」
リゼットが言う。
「戦利品じゃなく、渡してはいけない物を一時避難させていた」
英雄は自分の遺品を守るために、物流の連中へ託したのだ。
剣の強さじゃなく、運ぶ手へ。
それが少しだけ、嬉しかった。




