出会い
アイリとの出会いは、あの駅までの爆発事故のときだった。
ドンッ!と耳が割れるような凄まじい音が目の前で起きた。
同時に赤々と熱い炎が空に向かって燃えていた。
黒い煙と、何かが焼けるような匂いが、鼻を痛くする。
幸い、携帯電話を主に見ていたので、直接的な怪我はぼくには無かった。
気がつくと、謎の電話は終わっていた。
僕が車の爆発の衝撃で音声を切ってしまったのか、間違い電話だと気がついて向こうが切ったのかはもうどうでもよかった。
それどころか、さっき買ったばかりの僕の携帯電話が地面に横たわっていた。
爆発に驚いた衝撃で、落としてしまったのだ。
はぁ、とため息をつきながら、足元から数十センチ離れたところにある携帯電話を拾いに体を動かした。
駅前という人通りが多いところでの爆発でもあったので、道行くひとが群れをなして事故現場を見ていた。
消防車や警察車両がわらわらと集まってきた。
僕は特に尻餅をついたぐらいで、怪我はなかったから、携帯電話を拾って家に帰ろうと自宅がある方向に向かおうと決めた。
人混みが増えてきたので、急いで携帯電話のある方向に行き、画面を見たときに、黒い画面の中で白い光のようなものがゆらゆらと揺れていた。
どうやら衝撃で再起動が掛かったようだった。
拾い上げた瞬間、その光がぐっと強く光を放ち、しゅんと音も立てずに画面の奥に消えていった。
ひとが増えてきたので、歩くのも面倒だ。まっすぐ進めない。
駅前に面したお店のひとも恐る恐る外を見ている。
さっきの携帯電話ショップのおっさんも、事故を眺めている。
さて、家に向かうかと、思い「やれやれ」と独り言を呟いた瞬間だった。
「大丈夫でしょうか?」
女のひとの声がした。
まさか、あの事故のとき僕がカッコ悪く尻餅を付いていたのを誰かが見ていたのか?
相当の美女だったらどうしよう?と頭のなかをぐるぐると疑問が浮かぶ。
声の主を探そうと周りをキョロキョロ見渡す。
すると、同じ英語の授業を受けている僕の好きな女の子がそこにいた。
長い黒髪、つぶらな瞳、愛らしい雰囲気、僕は絶対に見間違えない。
あの子は、有美ちゃんだ。
しかし、その女の子は僕から随分遠く離れたところにいて、他の女の子と一緒に事故の現場を見ていた。




