似た者同士
部屋に戻るなり、アイリがまずこう言った。
「ヨージ、ちょっと可南子ちゃんを捜索する前に聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ?」
僕は内心焦りがあったので、少しイライラした口調になる。
「さっき、お母さんに謝られていたことがあるわよね?お母さんの“一人娘”という言葉に対して、なぜ謝らなければならなかったのか、違和感があるわ。確かに娘はひとりであるのは間違いないけれど、なぜそこでお母さんがあんなにもお詫びをしなければいけなかったのか、わたしには分からないの」
あぁ、そのことか、と僕は思った。
「アイリも実は薄々は気づいたいたんだろ?」
「…」
「アイリが感じている違和感は間違いがないよ」
「そう、やっぱり」
声に力がなくなっている。
「内緒でやっていたことは誤るわ。でも、わたしはあなたに興味があったの。なぜわたしと出会ったのがあなたなのか、そして、あなたはどんな人物なのか」
「アイリは悪くないよ。それにアイリのことだから、もう早々前に気づいていると思っていた」
「ごめんね、悪気があるわけでは全くないのよ。ただ、あなたを知りたくて」
「分かってるよ。それに僕はいたはなんとも思っていない、大丈夫だよ」
「ありがとう、でもごめんね。わたしのこの機能が悪いのね」
「ううん、そんなことはないよ」
先ほどまでの、可南子を捜索するという興奮した感じはなくなり、僕とアイリの間には距離のような居心地の悪い空気が流れていた。
だが、いまはこの空気が自然に消えるのを待つのでは遅すぎる。
一刻も早く、可南子を探し出さなければならない。
僕はこの不穏な空気を断ち切る行動に出る。
次の瞬間から、僕は可南子の捜索に全身全霊をこめる。
「アイリ、答え合わせだよ」
「うん」
「僕は、この家の本当の子どもではない」
「うん」
「この家の本当の子どもは一人娘の可南子だけだ」
「うん」
「つまり僕は」
ここまで言って、一息ついた。
隠しても意味がない。
だってアイリはもう知ってるんだから。
「僕はこの家の子ではない。養子だ。拾い子だ。自分でも出生は分からない」
「やっぱりそうだったのね。ごめんね、勝手に検索してしまって」
「いいんだよ、気にしてないから。僕らは過去がわからないどうしで一緒だね」
そうね、とアイリは笑いながら言った。
「さて、本格的に可南子を探すとしよう」
僕は、デスクにあるノートとペンを手に取り、捜査を開始した。




